#286 GDPとGNIの違いは?

経済成長の指標として用いられるGDP。
GNI、GNPと似たような単語があるがどう違うのか。

GDPは(Gross Domestic Product)の略で、日本語にすると国内総生産だ。
国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を示す数値である。

GNPは、(Gross National Product)の略で、日本語にすると国民総生産となる。日本企業が一定期間内に生産したモノやサービスの付加価値の合計額を示す数値である。

GDPは、「国内」で生産されたモノやサービスの合計のため、生産した企業の国籍は関係ない。海外の企業でも、日本国内で生産した額はGDPに含まれる。

GNPは「国内」ではなく「国民」となっているため、国内の海外企業が生産したものやサービスの額は含まれない。かわりに、海外で日本企業が生産したものやサービスの額は含まれる。

高度経済成長期の頃は、GDPではなくGNPが経済の主要な指標として用いられていた。
歴史の教科書に「1968年には日本のGNPがアメリカにつぐ第2位になった」などと記述されるのはそのためである。

しかし、グローバル化と産業の空洞化が進む中で、海外に進出する日本企業は年々増加し、逆に日本で生産を行う海外企業も増加した。
そのため、1つの国の経済をあらわす指標としてGNPの妥当性が薄れていき、現在ではGDPが国の経済をあらわす指標として用いられている。

また、現在ではGNPにかわり、GNIという指標が用いられている。GNIは、「Gross National Income」の略で、日本語にすると「国民総所得」。

国連が「どれだけ生産したかという観点よりも、どれだけ所得を得たかという観点のほうが個人の経済的な豊かさをとらえやすい」として、統計の基準をGNPからGNIに変更した。

GNPとGNIの数値は一致するため、GNP(GNI)などとほぼ同義として記述されることもある。

いずれにせよ、現代ではGDPの方が経済を反映する主要な指標として用いられている。

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【参考】


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