稽古日誌(2019/12/18) 「後悔の裏に潜むもの」
どうも、斜陰です。
今日は初めての通し稽古でした。
本番まであと3日という中での通し稽古でした。
そんな状況の中で、稽古前、稽古中、稽古後の僕はどんな風に変化していったのか。
今日の稽古の反省点を踏まえながら、今日はなるべくダイレクトに伝えようと思います。
・・・・・・・
すー、はー。
すぅぅぅぅぅぅぅー、はぁぁぁぁぁぁぁー。
すーすー、はぁぁぁぁぁぁぁー。
稽古前に聞こえた深呼吸の音。
不規則ながらも、どこか落ち着いている。
誰のものかと思って周りを見渡してみるけれど、
そこにいるのは、自分だけ。
通し稽古が始まるのは30分後。
それまでどうやって過ごせばいいのか分からず、ただ呆然とする僕。
不安な台詞を確認しようと台本を開くものの、
開いては閉じ、めくっては戻し。
ただただよくわからない時間が僕の目の前を駆け抜けていく。
それ以外に何をしていたのかは忘れてしまったけれど、
稽古前の30分で2回もトイレに行ったことは覚えてる。
・・・・・・
ついに始まるんだ。
ついに、ついに……
いやでもあれ、あそこの台詞なんだったっけ?
あれ、ちょっと待ってよ。
まだ始まらないでよ。
まだ心の準備ができないって。
まだ……いやだからまだ……
そんな僕の気も知らず、始まりを告げる音楽が稽古場に広がり、
いつしかどこかに去ってゆく。
そして、舞台に走り出す僕。
でも、すぐに頭が真っ白になって。
あれ、どうするんだっけ?
これでよかったっけ?
そんな不安が次々に押し寄せてきて、
ふと気づいたら、口の中がカラッカラで、
だんだん口も思うようにまわらなくなって、
なんだか、自然と声が小さくなってる気がして。
そんなことで頭がいっぱいでふらつく足元。
どうにかちゃんと立っていないとって、
目の前のことに集中しろって、
そんなこと考えてても仕方がないぞって。
そうやって自分に言い聞かせてみるけれど、なかなかいうことを聞いてくれない僕の体。
そこにいるのは確かに僕だけど、
なんだか自分が自分じゃないみたいで。
なんていうか……どこか遠くから自分を見ているような……
・・・・・・
序盤はそんな感じで、あっという間に時間が過ぎ去っていった。
けれど、一度だけ時間が止まった瞬間があって、
それは僕の台詞が出てこなかった時で。
その瞬間、やっちまったなぁーって。
「しまった、だめだ、あれなんだっけ?」
僕はその場で固まっていた。
「あ、やばい、でてこないって。」
その時はプロンプをもらって何とか一命をとりとめた僕だったけど、
本番はそんなことはできない。
だからその場面が終わって舞台裏に去ってから、僕は次の出番までずっと頭を抱えていた。
「はぁー、なんでや、なんで台詞でてこーへんかったんや。」
・・・・・・
ひとしきりへこんだ後、舞台に走り出す僕。
そしてまた、真っ白になる僕の頭の中。
そんな自分にだんだん自信がなくなって、
少しずつ目線も下がっていって……
・・・・・・
正直なところ、中盤以降のことはあまりよく覚えてない。
ただただ目の前のことに必死で、
本当に時間があっという間に過ぎ去って。
でも、台詞を間違えたところとか、
動きが足りなかったところとか、
感情の起伏が少なかったところとか、
自分が失敗したなぁって思ったところは、はっきりと覚えてる。
なんでなのかな。
それが人間の嵯峨なのかな。
なんで、人は後悔したことばかり記憶に残ってるんだろう。
あのときだって、このときだって……
もっとこうすればよかったのにって。
・・・・・・
でも僕は、そうやって「後悔」を積み重ねていくとで前を向ける気がする。
「後悔」するからちゃんと自分と向き合うことができる。
だって、「後悔」するってことはさ、
お前がそれに本気で取り組んだ証拠だろ。
本気でやったから悔しいんだよ。
だから、もっと「後悔」しろよ俺。
もっともっと「後悔」して、もっとすげーお前を俺に見せてくれよ。
明日のお前も楽しみにしてるからさ。
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