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シャベルP
2019年3月19日 23:47
「そういう経緯で、このプワルでは、花の精に対する信仰が根付きつつあります。その信仰がリルケさんにも宿り、その姿を見ることができるようになってきたのではないかと」 マリュの長い話が終わった後、リルケがジョージ達の前に立った。 それに反応したのは、まだジョージとモカナのみだ。「ジョージさん、私、しばらくここに残ろうと思うんだ」 リルケは寂しげに笑って、そう言った。「そうか。俺もそれ
2019年3月18日 23:22
それは、春から突然冬になってしまったかのような光景だった。 プワル村に近づくに従って増えてくる道端の花々が、一様に細く、白くなって枯れているのだ。 最初に気付いたのは、プワル村とマルクの間を往復する花売りの行商人だった。何十年も見慣れた光景だけに、違和感の正体にはすぐに気づく事ができた。 白枯病は、その名の通り植物に取り付いて枯れるまで栄養を貪り食らう、凶悪な伝染病だ。固い幹を持つ樹