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佐渡相川街道 金の道2 八幡→小木港〔完〕

佐渡島で採れた金山の金を、島外へ運ぶためや人々の往来のために、相川金山から島の南部の小木港を結ぶ相川街道が整備されました。
山々に残雪が残るも、春の訪れを感じさせる3月に、歴史ある金の道を2日間に分けてゆったり歩きます。

2024.03.29

1.八幡

本日の朝食
お世話になった宿泊施設

宿泊した八幡館、かなり格式がある宿で、昭和天皇が宿泊されています。

佐渡博物館
佐渡ジオパーク10の紹介
街道の風景

天気は雨、午前中は大雨の予報です。

国府川 下流
国道350号から右に入ります
石仏
新潟交通佐渡 バス停留所
長石神社
杉玉

杉玉がある建物から、お米を炊くいい香りがしてきます。
これはもしやと覗き込むと。

逸見酒造

やはり酒蔵でした。
飲みたいですが、帰りのフェリーまで我慢します。


2.真野

ENEOS 国仲SS
街道の風景
森医院 国登録有形文化財
旅館 伊藤屋
通勤時間帯の賑わい
街頭演説

街頭演説。
激しい雨の中、通勤する自動車に向けて手を振り続けています。
後ろから挨拶すると、この雨の中歩行者がいた事に驚いていました。

真野郵便局
街道の風景
司馬凌海先生生家跡
司馬凌海先生生 顕彰碑
尾畑酒造 杉玉
尾畑酒造 内部

真野鶴で有名な尾畑酒造。
佐渡は酒蔵が多く残っていますね。
街道を歩くと酒蔵に必ず出会えます。
いままで街道を歩いた中で、印象的だった宿場が四つあります。

一つ目は、中山道信濃國にある間の宿(あいのしゅく)の茂田井(もたい)。間の宿とは宿場間の距離が長い場合に中間に置かれた宿場の呼び名。茂田井の中心部、川が流れる街道の緩やかな坂道の両側に向かい合う二つの酒造、大澤酒造と武重本家酒造が静かながらも堂々と佇んでいました↓

(2021.05.29 中山道 茂田井間の宿)


二つ目は、甲州道中の下諏訪宿。
300~400mの区間に立て続けに4件の酒蔵が並んでいます↓


三つ目が、日本三大酒どころのひとつ京街道の伏見宿。
小さな宿場町に全国展開している月桂冠・黄桜・宝酒蔵を含め、酒蔵・蔵元が22もあります。
三大酒蔵の残り2つは、兵庫県の灘と広島県の西条です。

(2022.11.11 京街道 伏見宿)


四つめが、西国街道の安芸國 西条四日市宿。
小さな宿場町に酒蔵が七つが密集、酒蔵の中に町がある感じです。宿泊施設の窓から見渡すと、酒蔵の煙突が6本も確認出来ました。

(2023.08.27 西国街道 西条四日市宿)


本陣山本家
本陣山本家 説明看板
山本悌二郎 有田八郎 産湯の井戸
山本悌二郎 有田八郎 産湯の井戸 説明看板
立派な黒門
雨の街道
街道の風景
豊田集落開発センター

真野の町を抜けて、これから山道に入ります。
只今の時刻08:28、雨脚は勢いを増してきました。
靴の中は水たまり状態です。


3.大雨の山道

国道350号から左に入ります
街道の風景
豊田諏訪神社
拝殿
能舞台
能舞台説明看板

佐渡島の神社の能舞台。
かつては佐渡島には、200棟以上の能舞台があり、現在は30棟余りに減りましたが、日本の能舞台の3分の1が集中しているほど能が盛んな土地。
能舞台では薪能(たきぎのう)が披露されます。

石仏棟
石仏群
木の電柱
白装束の地蔵
金の道 相川街道分岐点
金の道 相川街道分岐点 説明看板

上の画像の地点から、本日向かう小木港に向かう道と、赤泊港に向かう道に分かれます。
説明看板の高低差断面図がわかりやすくて、とても良いです。

黒い蔵
街道の風景
美しい棚田
石碑群
田圃から溢れる泥流
結構な迫力の泥流です

大雨の泥流をみていると、悪夢の三国街道を想い出しました。

2022年の夏、群馬県の高崎宿から三国峠を越えて新潟県の寺泊まで歩いた際に、大型台風14号が接近する大雨の中、三国峠を越えたました。
三国峠はヤマビル多発地帯。ヒル除けスプレーを足元に吹き付けて臨むも、雨に流されて効果ゼロ。
ヒルは雨が降ると大量発生し木の上から次々に飛来します。雨具の頭の上に着地しじわじわと下に向かい、靴の中に続々と入られて血を吸いまくられていました。
その時は、ヒルとの格闘に集中していたら、いつの間にか目の前の斜面が川の様になっています。あと1時間遅かったら歩けない状況になっていたかもしれません、無理は良くないですね。

(2022.09.18 三国街道 三国峠)


同行のKさん

今回の旅は同行者がいます。
昨日の昼まで一緒に佐渡の仕事でご一緒したKさん。
気軽に誘ったら気軽に快諾を頂いたものの、ここまで雨で悲惨な目に合うとは思っていなかったと思います。

水仙と街道
真野湾
恋するバス停

新潟交通佐渡の背合(せなごう)バス停留所が、恋するバス停と呼ばれ、人気のフォトスポットになっている様です。
次は晴れた日に来たいですね。

濁流の滝
街道の風景
濁流に濁る真野湾
街道の風景
濁流の滝
カフェ しまふうみ

しまふうみ。
真野湾を望む人気のカフェ。
ここも晴れた日に来たいです。


4.倉谷の大わらじ

ENEOS 真野SS
金の道相川街道道標
坂を昇ります
偉人の像
真野湾

真野湾の奥に、雲の切れ目が見えて来ました。もう少しで雨が止みそうです。

倉谷の大わらじ

倉谷の大わらじ。
この地域には大わらじを履く大きな荒神がいると思わせる、厄払いの役を担っています。

道標
倉谷馬頭観音
宇治金太郎さん

宇治金太郎さん。
日本の野性の最後のトキ、キンを餌付けて育てた方が宇治金太郎さん。その舞台となった地がこの先1.5km地点にあります。
今日は行けそうにないので次回のお楽しみに。

倉谷の大わらじ
倉谷の大わらじ 説明看板

二度目の倉谷の大わらじ。
倉谷集落の入口と出口にあるのですね。

里山風景
くだもの直売所

只今の時刻は10:19、歩き始めて3時間たちようやく雨足が静まってきました。
今回の雨は結構な降りでしたが、経験上雨は一日降ることは滅多になく半日でおさまります。
日本は三日に一度は雨とも言われており、街道歩きに雨は付きもの。天気予報に左右されていると前に進みませんので、しっかりした雨具を用意して、雨でも歩く様にしてます。


5.朱鷺

農家のお母さん

街道歩きは殆どが退屈なもので、その退屈しのぎを探すのも醍醐味のひとつです。
靴の中までびしょびしょになりながら、同行するKさんと田んぼの近くを歩く時は朱鷺を探そうと歩いていると、あっという間に時は過ぎていきます。

朱鷺らしき鳥発見

鷺と朱鷺の区別ができ始めた頃、視力が抜群に良いKさんが、頭が黒く顔が赤っぽいので朱鷺では!
興奮気味に呟きながら、畦道に吸い寄せられる様に、ゆっくり近づいていきます。

朱鷺!

右が青鷺、左が朱鷺です。

羽ばたく朱鷺

朱鷺が飛び立ちました。
翼の内側は見事な朱鷺色。図鑑や動画で見た淡い朱色の朱鷺色を、目の前で見る事が出来ました。
その時の動画はこちら↓


今から17年前の2007年、前職で観光開発の仕事をしていた際に、佐渡でケージの中で育てられていた朱鷺が放鳥される事を知り、あるプログラムを作りました。
その内容は、放鳥した後に朱鷺が餌で困らない様に、休耕田を耕し水を引いて餌のドジョウやタニシを放ち、餌場となるビオトープを作るエコツーリズムプログラム。
今日こんな形で朱鷺に出会えるとは夢の様で、街道の神様に感謝です。

街道の風景

その後も、田圃に朱鷺がいないか探しながら歩きますが、なかなかお目にかかれません。

田圃と真野湾
キンちゃん本舗入口
西三川郵便局
海辺の集落
西三川砂金山まで5km
防風壁のある家
防風壁のある家

海と崖に挟まれたわずかな土地に、防風壁に囲まれた集落があります。
冬の海が荒れる時期は、どんな気持ちでその波音を聞いて過ごしているのでしょうね。


6.ジオパーク

石碑群
石灰質砂岩
ジオパーク 説明看板
横穴

これぞジオパーク、といった感じの風景が続きます。

防風壁
高崎集落センター
街道の風景
椿尾弁天岩
椿尾弁天岩
薪小屋
本日の昼食会場
いただきます
いももちを頂きました
折紙飾り

雨で冷え切った身体を、ラーメンとストーブで暖めてからゴールを目指します。ずぶ濡れの二人を見て気の毒に思ったのか、食後にいももちの差し入れを頂きました。こういった恩は、一生忘れません。

使われなくなった国道
集落をふり返る
ヒメオドリコソウ
真野湾
水仙


7.能舞台

小泊白山神社能舞台道標
白山神社参道
拝殿
鈴尾の先の木彫男根

神社の賽銭箱の前にある、鈴から垂れ下がっている布綱を、鈴尾と呼びます。その鈴尾の先に珍しく木彫男根が縛り付けられていました。子宝祈願の神様なのでしょうね。

石臼塚
石臼塚 説明看板

石臼塚。
かつてこの付近はかつて石工で栄え、島内の石仏作りや、島外へ石製品を移出していました。
時代は移り、使われなくなった石臼が、白山神社に集められて作られたこの石臼塚、全国でも珍しいそうです。

能舞台
能舞台説明看板

能舞台。
扉で閉ざされていますが、祭事で薪能が行われる際は扉が外されます。

小泊須恵器窯跡
国道350号から左に入ります
街道の風景
小泊集落センター
椎茸栽培
黄色いポールのカーブミラー
広い田圃

広い田圃が見えたので朱鷺を求めて寄り道。
しかしそう簡単には出会えません。


8.おけさ柿

洒落たブロック塀
木壁の蔵
小泊の一里塚
両塚が残っています
街道の風景
森のトンネル
おけさ柿畑

おけさ柿。
佐渡の果物といえばおけさ柿。ちょうど今歩いている島の南部が産地。
佐渡はりんごの南限とみかんの北限が重なっており、フルーツ天国の様です。

フキノトウ

フキノトウ。
春ですね〜、天ぷらにして食べたくなります。

十王堂
横枕の大道標

横枕の大道標。
今まで数多くの道標を見てきましたが、一番の大きさです。
大きな常夜灯は時々目にしますが、大きな道標は何故ないのでしょう。明かりが灯らないからかもしれません。

ため池
番所跡
おけさ柿畑
街道の風景
本州方面の海

本州方面の海が見えてきました。
終点の小木港まであと少しです。

羽茂一里塚
羽茂一里塚
羽茂一里塚 説明看板

羽茂一里塚。
一里塚は街道沿いに一里ごとに、道の両側に榎や松を植えて造られていました。
相川街道にはかつて9つの一里塚があり、両塚とも原型を残しているのは、ここ羽茂一里塚のみです。

おけさ柿畑
盆栽おけさ柿

おけさ柿を見ていると、盆栽に見えてきます。
丁寧に人の手が加えられているから、盆栽みたいになるのでしょうね。

素浜海水浴場入口
小比叡に入ります
小比叡おけさ柿集出荷施設


9.蓮華峰寺

街道の風景
小比叡山入口
坂を降ります
宝積院
六地蔵
蓮華峰寺ご案内

谷底にある蓮華峰寺。
看板には葵の御門が描かれてます。

子授け大ケヤキに抱きつくKさん
子授け地蔵
山門
八角堂
八祖堂
奉行坂を降ります

奉行坂を降った先に金堂があります。
寺院は階段を昇った先にあるものと思っていましたが、降った先にある寺院は珍しいです。

金堂
金堂 説明看板

金堂。
金色の建物かと思って実際に見ると質素な建物。
寺によって本堂と呼ぶ場合と金堂と呼ぶ場合があります。
金堂は、平安時代前半までの寺で使われている名称で、大陸の文化。
本堂は、平安時代前半以降の寺で使われる名称で、日本の文化。
蓮華峰寺には長い歴史があるのですね。

更に階段を降りた先には唐門が
石仏塔
石仏塔
客殿
庭園と池

山の中にも関わらず、見事な庭園と池がありました。
この広大な敷地を維持し続けるには、かなりの労力がかかると思われます。

小比叡神社
拝殿の扁額に山王大権現

敷地には小比叡神社が併設されています。
拝殿の扁額に記されている山王大権現は、比叡山の山岳信仰と神道天台宗が融合した神仏習合の神。
明治の神仏分離令の時に、山王大権現の扁額は、取りはずされているはずですが残っています。
明治維新の流れから、佐渡は取り残されていたからかもしれません。

境内の風景
小比叡神社 説明看板

二人とも先程歩いて来た道を昇って戻る気力が既に無くなっていたので、海に向かって街道から逸れた道を進みます。


海が見えて来ました
処理場
海岸に出ました
小木温泉で休憩します
お楽しみ

冷えた身体をあたため燃料補給ができたので、小木の港町を散策します。


10.小木港

スーパーたんぽぽ
ようこそ歴史の郷
十石船絵馬
小木港ターミナル
周辺観光案内
たらい舟
日本アマチュア秀作美術館

日本アマチュア秀作美術館。
アマチュア作品だけを展示している博物館。立ち寄る時間はありませんでしたが、チャーチル元英国首相の油絵や、夏目漱石の墨絵が展示されているそうです。

木崎神社
街道の風景
街道の猫
脇道
お宿 宝家
美しい街並み
街道と猫
小木郵便局
三階四階建て住宅

裏道を歩きましたが、どこを切り取っても味がある街並みです。

三味線堀 説明看板
脇道
おけさ笠の街灯
旧喜八屋旅館
旧喜八屋旅館 説明看板

旧喜八屋旅館。
木造五階建て、良く見ると二階建ての建物の上に増築されています。

佐渡汽船 こがね丸
たらい船の像
また佐渡にお越し下さい
乗船します
記念品

佐渡汽船の小木港から直江津港までの小木航路は、冬季は運休しており本日が偶然にも再開初日、乗船前に記念品を頂きました。
小木航路は一日二便運航なのですが、午前中の初便は荒天の為欠航で、島から出られるか少しヒヤヒヤしながら歩いていましたが無事出航となりました。

船内の様子
船のお供
佐渡島と夕陽
日没の瞬間
船内平面図
御船印ギャラリー

御船印。
御朱印ブームにあやかって、城や街道の印は知っていましたが、船もあるのですね。

デッキのフォトスポット
漁火
直江津の街の灯り

2時間40分で直江津港に到着。
寝転がって移動できるフェリーは快適でした。

電車の出発まではこちらで
いただきます
直江津駅
えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン
北陸新幹線
いただきます

朝から大雨、朱鷺との遭遇、小比叡の古刹、夢の様な一日でした。
船・新幹線を乗り継いで現実の世界に戻ります。

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