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3月のライオン

仕事で疲れても、なぜか休みの日って早起きしてしまうものですよね。あんなに眠たいはずなのに、いつもより肉体も精神も元気なのが休日というものです。

でも、最近僕は休日でも起き上がることのできない日があります。仕事で肉体を酷使しすぎて、起き上がれないんですね。しかも内線の呼び出し音がずっと頭の中で鳴っていて、熟睡できない。眠りにつくのは一瞬なのに。たぶん脳のスイッチがずっと入りっぱなしになっているんだろうと思います。

湯船に浸かっても、お酒を飲んでも熟睡できない。2時間くらいで「はっ!」と目が覚める。脳内にはあの仕事やこの仕事のことがぶわっと駆け巡り、何か重大なミスをしたんじゃないかという気持ちがずっと収まらない。時計を確認して「まだこんな時間か」と安心して再び眠りにつこうとする。でもまた1時間くらいしたら「はっ!」と目覚めてしまう。

今週は特にその兆候が強く出て、休みの日に全く起きられない事態が発生しました。目覚ましが鳴ったのはわかっていた。でもそこからの記憶が飛び飛びになっていて、あれ?と次に目が覚めたら9時とかになっているんです。仕事の日だったらと思うとぞっとするのですが、もう一つ考えてしまうのが「もっと早く起きたかった」という後悔です。

休みの日は朝から活動的になることで充実感を得られるタイプの僕は、家のことをしたり本を読んだり映画を見たりジムに行ったりということを全部詰め込んだ予定を、前日に頭の中で組み立てておきます。まぁそのときの気分によるものが大きいので、そうやって思い描いた予定をすっぽかしてしまうことだってたくさんあります。

でも1日のスタートの時間だけはなんとなく守ってきた。遅くても7時くらいには起き上がり、家のことをやり始める。そうすれば8時過ぎくらいにはだいたいのことが終わって「なんか食うか」という気持ちになってくる。今の自分にはこのスタイルが合っています。だから起きていきなりYouTubeを見始めてしまったとしても、決まった時間に行動を開始するということが、僕の中で重要なんですね。

それが崩れたことによって、ものすごく精神的に落ち込んでしまう状況が発生した。今からこれとこれをやるとこのくらいの時間になる。考えているのは「午前中を無駄にしてしまった」という後悔です。予定が後ろ倒しになっただけだから、夕方やることを何か調整して、夜とか次の休みの日にするとかにすれば良いんです。でもその前に「午前中を潰した」という後悔が僕の脳に重くのしかかってきます。仕事のときもそうなんですが「どう午前中に生産したか」によって1日の生産性が全然違ってくることを日々の労働で痛いほど感じ取っているんですね。

だから休みの日にも無駄のない時間の使い方というのを、すごく強調して考えてしまう。どこまで行っても「内容」よりも「効率的にこれとこれをこなした」というタスクの数が僕の中で重要なんだろうなとわかります。

しかしです。もう起きれなかったんだから仕方ないじゃないですか。ということを15分くらい座ってぼんやりしている中で理解するわけです。

「じゃあ仕方ないから、めっちゃ砂糖ぶち込んだコーヒーでも飲むか」

そうやって1日がスタートします。

あっという間に午前中が終了すると、すでに「夕飯に何を食べようか」という思考になっているのがわかります。誰とも会う予定がない日の休日。午後の予定は「どう今の自分が満足できる夕食をとるか」ということのためだけにあります。肉を食べようか、お刺身を食べようか。それとも外食に行こうか。お風呂は何時に入ろうか?

結局、仕事の日にすき家とかマックとか行ってしまうので、スーパーに行ってサラダとちょっとしたおつまみを買って、17時過ぎからちびちびやるのが最高の時間になります。でも13時にスーパーへ行ったら、きっと帰ってきてすぐにお酒を飲み始めてしまうだろうな。その前にどこか行きたい。

そうやって先日の休みに選ばれたのが「ブックオフ」というわけです。僕は休日にどこへ行くか迷ったら、とりあえず「活字」があるところに行きます。つまり書店ですね。日々の仕事ではひたすらアウトプットに偏っているし、ロクに本も読めていない。でもその反動が休日にやってくる。脳から溢れるくらいインプットしたくてうずうずしているんです。

でも仕事で疲れ過ぎて活字を読むことにも疲れてしまう。でもでも何か脳に入れたくて仕方ない。そんなとき僕は「マンガ」を読みたくなります。

いろんな作品の1巻だけを読み漁る。読んだことのない作品の中で「島耕作シリーズ」に目が止まりました。パラパラとめくってみると面白いんです。あれ?こんな面白いマンガだったのか!経済界で生きるためのドロドロとした人間模様がとても面白い。自分にはこんな生活なんてできないなぁと「空想の話」として読むことで、純粋にエンタメとして楽しむことができます。

最近の漫画って「◯◯さんが」とか「◯◯さんの」みたいな、苗字がタイトルになっていることが多いですよね。こうやって流行りみたいなのを知れるのも、棚に実際の書籍が並んでいる書店ならではだと思います。だってネットだと「これが人気!」ってランキングづけされてて、どうしても目に入る情報に偏りが生まれてしまうから。

次に手に取ったのが「3月のライオン」という作品です。ずっと集めていたのですが、自分で部屋を借りるようになってなんとなく漫画を購入しなくなってしまい。この作品ともしばらく離れてしまっておりました。でも読み返すとやっぱり面白いんです。なんと言っても、心に突き刺さってくる登場人物の胸の内が、全部共感できる。

生来ドライな人間なので、あまりこういったマンガやドラマなどに感情移入することは少ないのですが、この作品に登場するすべての人に共感できるんです。その中で「ああ、そうだ」と思った言葉を少しだけ紹介したいと思います。それは主人公が通う高校の先生なんですが

「人はみんな最終的に時間の使い方で悩む」というものです。

やりたいことがあるのに仕事がある。やらなければならないことに人生が支配されて、身動きが取れなくなる。人生の残り時間を考え出す頃には、自分の手から離さなければならないことがたくさん生まれるようになってしまっている。

じゃあ残り時間をどうやって使おうか。そのヒントも3月のライオンの中にはたくさん散りばめられています。

貧乏な生まれから立身出世する下剋上の物語も面白い。
強い相手を倒し、冒険する漫画も面白い。

でも僕は現代社会でもがく姿を描きながら、少しずつ、ゆっくりと、人間として強くなっていく「普通」の物語が好きだなぁと思ったのでした。

買ってなかった3月のライオン、揃えなきゃ。
今度の休みにすること、一つ決まったね。

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