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ないがしろにされる感性や文化、庶民がユーモアや希望を忘れずに戦争という時代に立ち向かった軌跡鮮やかに…★劇評★【舞台/音楽劇=きらめく星座(2023)】

 太平洋戦争のころの日本の庶民の暮らしがどれほど悲惨で大変だったか、焼夷弾がどれほど恐ろしいものだったかについては親や、親戚、近所の大人から嫌というほど聞かされたが、祖父母からは、「楽しいこともあったんやで」と思わずクスっとしてしまうようなエピソードもたくさん聞かせてもらった。それは何も大人同士で子どもに対する戦争教育の役割分担をしていたからではなくて、本当に、そして現実に、楽しいことと悲しいことがあざなえる縄のように玉石混交していたに違いない。統制経済下の暮らしをたくましく生き抜き、笑い飛ばすのも庶民の力強い生きざまだ。時にはユーモアも必要だっただろう。井上ひさしは時に厳しい刃を観客に突きつけ、現実の厳しさを考えさせるが、喜劇性を帯びた戯作者の血ゆえか、明るく前を向き、笑いで全編を包む作品も多く生み出している。その代表的な一作が「きらめく星座」だ。東京から北海道、関東、東北、九州と旅公演を続けるこまつ座40周年記念の第146回公演「きらめく星座」はそんな庶民がユーモアや希望を忘れずに戦争という時代に立ち向かった軌跡と、それでも近づく破局や絶望への予感、戦争がいかに理不尽にいのちや文化というものをないがしろにしていくかを怒りとともに描いている傑作舞台であることに改めて気付いた。演出は栗山民也。(画像は舞台「きらめく星座」とは関係ありません。単なるイメージです)

 舞台「きらめく星座」は、2023年5月14日に釧路市の釧路市生涯学習センターまなぼっとで、5月20~22日に神奈川県川崎市の幸市民館(主催団体は3日間とも別)で、5月24~27日に神奈川県藤沢市の藤沢市民会館(主催団体は4日間とも別)で、5月29~31日に福島市のキョウワグループテルサホールで、6月3日に山形県川西町の川西町フレンドリープラザ・ホールで、6月9日に群馬県高崎市の高崎芸術劇場スタジオシアターで、6月19日に大分市のJ-COMホルトホール大分大ホールで上演される。これに先立って2023年4月8~23日に東京・新宿南口の紀伊國屋サザンシアターで開かれた東京公演、5月7日に札幌市のかでる27かでるホールで開かれた札幌公演(NPO法人演劇鑑賞会北座)で、5月9日に函館市の函館市芸術劇ホールで開かれた函館公演(函館演劇鑑賞会)、5月11~12日に旭川市の旭川市公会堂で開かれた旭川公演はすべて終了しています。

★東京公演以外のほとんどの公演は、一般的な演劇公演や劇場主催の公演ではなく、全国各地に点在する演劇鑑賞会での公演です。それぞれに微妙な違いはありますが、演劇鑑賞会には3名以上のサークルを作って入会。会費を払うことで年間5~7本前後の芝居が観られるという会です。この「きらめく星座」が観たいからといってすぐに入会ができるかどうかは分かりません。入会方法などはご自身でお近くの演劇鑑賞会に問い合わせていただき、入会方法や最新の残席状況についてご自身でお確かめください。
 お問い合わせ先をすべて掲載することはできませんので、カッコ内の演劇鑑賞会の名称をインターネットで検索し、連絡先をお調べください。ちなみに連絡先の電話番号はこまつ座のホームページの一角に掲載されています。ご参考になさってください。
★こまつ座ホームページ内の舞台「きらめく星座」地方公演取材団体連絡先

www.komatsuza.co.jp

★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログでのみ公開しています。

★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。久保酎吉さん、松岡依都美さん、村井良大さん、木村靖司さんら俳優陣の演技に関する批評や、栗山民也さんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。その他、スタッフワークの評価が盛り込まれている場合もあります。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは原則として2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★舞台「きらめく星座」公演情報=こまつ座の最新公演を紹介するページですので、、公演機関から時間が経過してから見ると、「きらめく星座」とは違う公演が掲載されているケースがありますので、お気を付けください。

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