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高畑充希の魂をふるわせる演技と歌声。クリエイターらとの総合力が代表作を誕生させた…★劇評★【舞台=宝飾時計(2023)】

 俳優には「出会うべくして出会う」作品がある。たとえ演じるキャラクターが自分に似ていても似ていなくても、それまでのイメージをぶち壊すような役柄でなくても、その俳優にとっては、それ以前とそれ以後に分けられるような作品に出会う時がある。高畑充希にとって、舞台「宝飾時計」がそんな作品であるのは、憧れの作家である演出家・劇作家の根本宗子のオリジナルの新作だからであり、子役時代からもがき続けてきた女優が30歳にたどり着いた時に過去と現在と未来がめぐりあったような不思議な空間の中でもう一度自分を見つめなおすというストーリーの中で、高畑自身も自らに向き合い直さざるを得ない作品だからである。若いころから大きな評価を得てきた高畑の演技力が新しい段階へと力強く昇華していく音が聞こえるような魂を震わせる演技を私たち観客が観ることができているのは、高畑自身が何よりもそのことを分かっているからだろう。根本の戯曲がいつにも増して豊かな深みを持っているのは、物語の中心にある愛の物語だけではなく、主人公に対して親しみや憎しみや妬みを乱反射させていく周りの人々の存在がよく描けているからだ。椎名林檎が書き下ろしたテーマ曲や生演奏される繊細な楽曲はそんな物語に確かな翳(かげ)とおぼろげな光を与え、登場人物それぞれの苦悩と希望を浮かび上がらせる。初めて舞台衣裳を手掛けるというデザイナー神田恵介のファッションも舞台空間に美しい記憶を刻み付けていく。まさに総合力によって、高畑充希の代表作が誕生した瞬間を私たちは味わっているのである。(写真は舞台「宝飾時計」とは関係ありません。単なるイメージです。本来、人ではないものや状況の場合「出合う」を使いますが、この劇評では恣意的に「出会う」で綴っています。ご了承ください)
 
 舞台「宝飾時計」は、2023年1月9~29日に東京・池袋西口の東京芸術劇場プレイハウスで、2月2~6日に大阪市の森ノ宮ピロティホールで、2月10~12日に佐賀県鳥栖市の鳥栖市民文化会館 大ホールで、2月17~19日に愛知県東海市の東海市芸術劇場 大ホールで、2月25~26日に長野県上田市のサントミューゼ(上田市交流文化芸術センター) 大ホールで上演される。
 
★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログにのみ掲載しています
 
 
★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。高畑充希さん、成田凌さん、小池栄子さん、伊藤万理華さんら俳優陣の演技に関する批評や、根本宗子さんの演出や舞台表現、戯曲に対する評価などが掲載されています。
 
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★舞台「宝飾時計」公演情報=東京公演は1月29日が千穐楽です

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