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芝居や演技が愛すべきものであることを示すとともに、演劇がさまざまな思いの突破口、噴出口になることを示した力作…★劇評★【舞台=連鎖街のひとびと(2023)】


 いろんな災厄や災害があった時、もっとも早く再開される、あるいはその状況を受けて新たな作品が世に問われるのは演劇だ。新型コロナウイルスの時代には「不要不急」のものとして扱われることも多かった演劇だが、有史以前から、演じる者と観る者さえいれば、即成立するのが、演劇であることを考えれば、立ち上がる速さを演劇が持っていることは当然のことである。国家によって入植をあおられたあげく、いざ戦争に負けてみると国家からも占領軍からも徹底的に虚無的な存在として扱われた日本人たちにとって、災厄はこれから訪れるシベリア送りや内地引き揚げの苦闘だったが、終戦直後のエアポケットのような時期にそれでも演劇に取り組んだ演劇人たちの人間くさい悲哀と愛に満ちた時間を、実力派の俳優たちと名匠、鵜山仁の演出によっていつくしむような視線の中に描いた井上ひさしの舞台「連鎖街のひとびと」が、2000年初演の翌年に再演されて以来、実に22年もの時を経て、こまつ座第148回公演として再演されている。芝居や演技が愛すべきものであることを示すとともに、演劇がさまざまな思いの突破口、噴出口になることを示した力作だった。(写真は舞台「連鎖街のひとびと」とは関係ありません。単なるイメージです)
 
 舞台「連鎖街のひとびと」は、2023年11月9日~12月3日に東京・新宿駅新南口の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、12月10日に山形市の東ソーアリーナで、12月22日に群馬県前橋市の昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)で上演される予定。以降、2024年1月16日から2月10日にかけて、名古屋市、三重県津市、三重県伊勢市、愛知県稲沢市、愛知県江南市、愛知県幸田町、愛知県豊橋市、岐阜市、愛知県岡崎市、愛知県知多市、石川県金沢市、石川県野々市市、富山市、富山県砺波市、石川県七尾市の演劇鑑賞会などで上演される。
 
★東京、山形、前橋公演以外のほとんどの公演は、一般的な演劇公演や劇場主催の公演ではなく、全国各地に点在する演劇鑑賞会での公演です。それぞれに微妙な違いはありますが、演劇鑑賞会には3名以上のサークルを作って入会。会費を払うことで年間5~7本前後の芝居が観られるという会です。この「連鎖街のひとびと」が観たいからといってすぐに入会ができるかどうかは分かりません。入会方法などはご自身でお近くの演劇鑑賞会に問い合わせていただき、入会方法や最新の残席状況についてご自身でお確かめください。
 お問い合わせ先をすべて掲載することはできませんので、カッコ内の演劇鑑賞会の名称をインターネットで検索し、連絡先をお調べください。
 
★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログにのみ掲載しています

★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。高橋和也、千葉哲也、加納幸和、霧矢大夢さんら俳優陣の演技に関する批評や、鵜山仁さんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。場合によっては、スタッフワークについて言及することもあります。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは原則として2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

 
★舞台「連鎖街のひとびと」公式サイト

www.komatsuza.co.jp

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