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山鹿豊前街道絵巻(八)・・・芝居小屋 八千代座

 芝居小屋「八千代座」には、随分足を運んでいない。5年ほど行っていないのではないか。特に、コロナ禍となり、ほとんど通り過ぎるばかりで、立ち寄ることがなかった。

 因みに、全国には11の芝居小屋が残されていると言う。「八千代座」以外は足を運んだことはないが、先々、他の芝居小屋の歴史や造り、仕組み、仕掛けなどをじっくり取材したいものである。


<資料提供:山鹿市教育委員会>
※25年前、山鹿市教育委員会現地にて資料提供頂きました。

 熊本県北部の山鹿市。いで湯と灯籠祭り、装飾古墳などで知られる歴史の街。そこには江戸時代の参勤交代にも利用された豊前街道が通り、その街道沿いに「八千代座」は今も尚歴史を語り続けている。

 明治43年当時商工業で栄えた山鹿の旦那衆が八千代座組合を創設、一株参拾円の株を購入し建てた芝居小屋である。こけら落としは同44年1月で、歌舞伎の松嶋屋総勢91人による興業であった。当時の記録を紐解くと、松井須磨子、岡田嘉子、長谷川一夫、片岡千恵蔵らの名前を見ることが出来る。八千代座は大正から昭和初期にかけて、当代一流といわれる芸能人の熱演を多くの人々の心に深く刻み込んできたのである。

 国指定の重要文化財である八千代座であるが、昭和40年代に老朽化し朽ち果てる寸前であった。山鹿の老人会が「瓦一枚運動」で募金を行い、5万枚の屋根瓦を修復。現在では若者も活動を始め、平成2年から「坂東玉三郎舞踊公演」が定期的に開催されている。「い・ろ・は」から始まる桟敷席、廻り舞台やスッポンなどすべてが健在である。ちなみに、奈落の底で廻り舞台(人力式)を支え続けるレールには、1910年のドイツ・クルップ社の刻印が刻まれているのである。


<全国の芝居小屋>

1)康楽館:秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字松ノ下2

2)門和佐の舞台(白雲座):岐阜県下呂市門和佐

3)鳳凰座:岐阜県下呂市御厩野

4)旧金毘羅大芝居(金丸座):香川県仲多度郡琴平町乙1241

5)内子座:愛媛県喜多郡内子町内子2102

6)嘉穂劇場:福岡県飯塚市飯塚5番23号

7)八千代座:熊本県山鹿市大字山鹿1499
※表紙下にある『山鹿温泉郷』からお入りください。

8)自然舎:山梨県北巨摩郡須玉町上津金
 案内WEBサイトなし
9)永楽館:兵庫県出石郡出石町柳町12

10)旧広瀬座:福島市上名倉字大石前地内

11)ながめの劇場:群馬県大間々町大字大間々1635


芝居小屋 八千代座の鬼瓦
芝居小屋 八千代座 正面
八千代座のロゴ入り提灯
芝居小屋 八千代座 外観
提灯 別バージョン!?
雨の八千代座 裏庭
芝居小屋 八千代座 内観
提灯
芝居小屋 八千代座 舞台と天井広告、桟敷席
天井広告とシャンデリア
舞台側から
桟敷席
奈落回舞台の滑車とレール
ドイツ KRUPP社(1910年製)
奈落回舞台の滑車とレール
ドイツ KRUPP社(1910年製)
入口通路の照明
薄暮時の芝居小屋

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