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時代が変わっていく地響きのような音にあおられながら、悲哀に満ちた人間関係が描かれる…★劇評★【舞台=リチャード二世(2020)】

 たとえシェイクスピアでも「史劇」は面白くないと思っていた。政権を倒す話はわくわくするが、王様には絶対服従の時代。人生も家柄の上下や貧富の度合いによってほとんど決定してしまう時代の人間関係や権力争いには面白みがないのではないか、と思っていたからだ。しかしそんな愚かな考えは、2009年から今年まで数年おきに断続的に上演された新国立劇場の「シェイクスピアの歴史劇シリーズ」で根底から覆った。9時間にもわたる「ヘンリー六世 三部作」が2009年作品対象の賞を総なめにしたことで、2012年の「リチャード三世」、2016年の「ヘンリー四世 二部作」、2018年の「ヘンリー五世」と続いたこのシリーズが、今年10月に上演された舞台「リチャード二世」によって完結したのだ。絶対的な存在であるがゆえの孤独を抱える王や、さまざまな入り組んだ事情に縛られ苦悩する臣下、地位は低いながらも自由に歴史のすきまを飛び回る庶民たち。それぞれの感情はむき出しになり、復讐や抵抗も最高レベルの激しさで描かれる。時代が変わっていく地響きのような音にあおられながら、悲哀に満ちた人間関係が描かれる様には常に心が震わされた。シェイクスピアが描いた実在の王たちの中で、時系列的には最も早い時期に君臨したリチャード二世を主人公に描かれた今回のシリーズ最終作「リチャード二世」は、シリーズ全体に通奏低音のように響いていた孤独と悲しみが最も色濃く描かれ、わたしたち観客の胸を締め付けた。演出は、シリーズすべての作品を手掛けてきた元新国立劇場演劇部門芸術監督の鵜山仁。(写真は舞台「リチャード二世」とは関係ありません。イメージです)
 舞台「リチャード二世」は10月2~25日に東京・初台の新国立劇場中劇場で上演された。公演はすべて終了しています。

阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます。舞台写真は「SEVEN HEARTS」でのみ公開しています。
★「SEVEN HEARTS」の舞台「リチャード二世」劇評ページ

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★舞台「リチャード二世」公演情報=公演はすべて終了しています

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