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誰も見たことのない衝撃的な熱を帯びる作品に。堤真一だけでなく森田剛と西野七瀬の熱演際立つ仕上がり…★劇評★【舞台=みんな我が子 -All My Sons-(2022)】

 この「みんな我が子」という作品ほど、観始めたころと観終わる直前で登場人物に対するまなざしの範囲が狭まり、その深度が深まっていく演劇作品もないだろう。そして逆にテーマの社会性は、のどかな家族の風景から果てしなく大きなものへと広がっていく。それらを導いたであろう、アーサー・ミラーの構成力の見事さと、70年以上経っても色あせない言葉の選択のセンスにはつくづく驚嘆させられる。そして、外づらの良さから人間的な信頼感を一手に受けていた男が徐々に崩壊していく様を鮮やかに描き出した堤真一の揺るぎのない演技と、一人の人間の中におびえからはじらい、優しさ、抑えられない怒りなどさまざまな感情を巧みに表現し分けた森田剛の多彩な能力、不安と希望がないまぜになった不安定な精神という薄氷の上でもがく母親の姿が鮮烈な伊藤蘭、純粋な可憐さが一家に希望の灯火をともすとともに運命もまた引き寄せていくアンという存在を丁寧な演技で印象付けた西野七瀬の熱演で、物語が誰も見たことのない衝撃的な熱を帯びる作品となった。演出は、英国を中心に活躍する世界的演出家、リンゼイ・ポズナー。(画像は舞台「みんな我が子 -All My Sons-」とは関係ありません。単なるイメージです)

 舞台「みんな我が子 -All My Sons-」は2022年5月10~30日に東京・渋谷のシアターコクーンで、6月3~8日に大阪市の森ノ宮ピロティホールで上演される。


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★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。堤真一さんや伊藤蘭さん、森田剛さん、西野七瀬さん、大東駿介さん、山崎一さんら俳優陣の演技に対する批評、リンゼイ・ポズナーさんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。

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★舞台「みんな我が子 -All My Sons-」公演情報

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