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2019年1月の記事一覧

僕が間違っているとあなたは責める
僕が独りを望むのを薄情だと責める
僕が考えることを無駄だと責める

そんなあなたといて僕は
孤独以外の何を感じればいい?
だからあなたを愛するためには
僕は孤独を認める必要があるんだよ

誰から何を毟り取っても幸せは手に入らない
僕達は二人で何度も確かめた筈だ
優しく抱きしめ合い
違う命をあたため合って
恐怖の向こうで心を繋いだ時にしか
愛の味はしないのだと

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所有権

ぼとり私の悲しみが
あなたに叩き落とされるのを見た

あの時あなたを信じてた
小鳥が床で潰れた
もう何度目だろう

何を信じようとしていたのだろう
証明され続ける事実を
受け入れないから繰り返す羽目になる

「お前に何がわかる」
というセリフを手に入れてから
僕を救える人はいなくなった
だって誰にも
わかるはずがないのだから

どんどん吸い込まれていくから
限りなく溢れているから
血が流れるのを誰

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追懐

君と手を繋いだ時
多分思い出してしまったんだ
どこまでも続く緑のトンネルを
誰かに手を引かれ歩いた
いつかの日々を

その時も僕は
このままこの気持ちが
ずっと続きますようにと願っていた
どうかこの康寧を
壊さないで汚さないで消さないで
このままどこにも辿り着かないで
満たされるまで…

追懐に呑まれた僕を君は抱き寄せたけど
僕は怖かったんだ
思い出のその先が

恐怖がすれ違って
冷たい言葉がボタ

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いつでも

いついなくなってもいいように
僕は人に深入りせずきた
踏み込まれるのも
踏み込むのも
好きではなかった

けど寂しさは埋めたかった
矛盾に僕自身振り回され
同じ物語を繰り返した

結局は誰も彼もいなくなるのだ
信じるべきものなど何も無い
何も無いから
何かあるのは怖かった
何も無いはずなんだ
そのはずなんだ

いつでも消えていいように
僕は君に何も約束しなかった
君の言葉のいくつかに頷いただけ

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見葬り

夢で君の後ろ姿を見た
幸せそうに
愛する人の手を握り
光の方へゆっくりと歩いていく
君の美しい後ろ姿を見た

僕は振り返って欲しいのか?
君にどんな言葉を期待している?
そのまま光の中に消えて
もう二度と会えなくなっても
君が幸せならそれで
それでいいと…

最初から結末が決まっていたかのように
僕は運命に抗えなかった
いや僕自身に向き合うことができなかった
だから君は僕を振り返らずに
行ってしま

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stay

いつでもリカバリの可能性を残せば
後悔の落とし穴は浅くなる

最後通牒を突きつけられて狼狽える
君は僕のドアを叩いた

いつだってやり直せるはずなのに
「もう終わり」
「君は手遅れ」
今日も誰かが誰かを追い詰め
光を奪おうとする
ねぇ、何故?

自分を諦めてしまった後の世界は
グレースケール
水墨画を極めようなんて言い出した
君の手が泣いている

誓いを果たそうと茨の道を血塗れでゆく
君に着せられ

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learned in time

その悲しみは色を失って
世界中に放たれてしまった
僕は償いを続けながら生きているけれど
そもそも誰の罪だったんだ?

この寂しさが害悪だと
どうか僕に感じさせないでくれ
この嫉みが浅ましいと
どうか僕に感じさせないでくれ

君と手を繋ぎ旅立てるなら
そこは楽園の片隅で
時々鳥と風が通り過ぎるだけの
ささやかな暮らし

who taught you emotion?
いいえ彼はまだ知らないの
受け止

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バベル

ここがどこかわからない
そんな気持ちがずっと続いていた
誰にも言葉が通じない
そんな悲しさをずっと抱えていた

誰もが僕に理解を期待し
耳を傾ければ安心した笑顔を見せる
しかしその「見返り」かのごとく降ってくる
「愛」のふりがなを振られ
持ち主を離れ暴走した孤独が
僕を苛んだ

望んだのは同じもの
理解に他ならない
共に僕を解体し分析し
狂った回路を修正して欲しい
それにしか興味がない僕を
冷たい

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ハツミ

「それでも好き」
都合のいい女の
苦し紛れの言い訳か
時空を超える愛か

実力主義
行為は結果を証明する
落として割ったら
はいアウト
しかし時には
壊れるほど傷つけ

そっと離れる
その先に何を見る
即物的な快楽で
虚しさを埋められるのか

欲しいものなど
何も無い
ここに生きていること以外の
何が奇跡なのか

死体の山を越えて
この荒野を旅してきた
今君に会えたこと以外に
どんなリアリティを期

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二等船室の毛布

失望という言葉が
今私の心に突き刺さっているのが見える
誰が刺したのか
無数のナイフや杭や針には
持ち主の名札が付いている

母さんが刺したマチ針の一群は
中枢に集中し
父さんが刺した五本の焼き串は
その周りを囲むように配置されてる
兄さんが投げた玩具の手裏剣と
割れたフラスコの破片は
一番太い血管を切断したまま根を生やし
まだ誇らしげに輝いている

一番最近耳から入ってきたそれは
夢を見るための

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審判

ボーダーラインは
どこで引くべきか

痛み止めを飲むほどの痛みとは
どこからなのか
僕にわかるまで
1~10の痛みを順に教えてくれまいか

どこまで痛ければ
声を上げたらいいのか
僕は体の方も心の方も
あまりに痛みに馴れすぎていて
その境界線が見つからない

熱を出したら
解熱剤を使うほどの熱は
何度からか?
これはわかりやすい
体温計が教えてくれる
それでもほとんど
飲まないけれど

自然治癒の

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only

only

彼女の一番だったことがない
ブラウン管の中から
世界を眺めるように
心は水槽を漂っている

彼女の一番は彼のものだった
彼の一番も彼女のもので
私を一番と言う人が私は怖かった

私だけではない
私だけになり得ない
今世では

誰かのたった一人になるために
必要なものがあるのなら
どんなことでもすると
必死な私がいるけれど
そこにあるのは願いと餓えだけで
半端に条件が揃っても満たされはしない

私は

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世界中の言葉で

その想像はあまりに馬鹿げていて
私はいつも三秒で投げ出してしまうけど
大真面目に考えているフリをして
嘘つきの裁判を先送りにしてきた

私の言葉は全て嘘だと
誰か気付いてくれないか
本当はまだ
私は言葉を知らない

私の小鳥は
自分の名前を知っている
あとは私の言葉を真似して
美しく可愛らしい声で繰り返すだけ

私は彼女と同じだ
私が知っているのは
私の名前と私の存在の
恣意的な結びつきだけ
あと

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哲学的ゾンビ

明日僕が哲学的ゾンビになって
君の望むことを全て叶えたら
君は気づくだろうか?

今確かに僕がココにいることを
君はどうして確信している?
明日僕がココにいないか
君はどんな質問で試す?

何もかもロールでタスクで
そこに哲学的僕が不要なら
それはとてもこの上なく
さみしくいたいことで
僕はさみしくていたいことを
誰かにわかってほしくて
ありとあらゆる罪を犯し続けるだろう

君と僕は共犯だったはず

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