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時代を生きる戦友

私には弟が3人いて、年齢は私より1歳下、2歳下、8歳下です。すなわち男ばかり4人兄弟の一番上で、末弟以外の3人は年子というわけです。

上の3人は身近な遊び相手であると同時にライバル同士でもあり、幼い頃は対抗意識を燃やしていました。そして、運動音痴で腕力も弱い私は、物心ついた時から喧嘩では1歳下の弟に歯が立たず、2歳下の弟といい勝負でした。よその家がどうとか考えるような年齢ではなかったので自然にその力関係を受け入れていましたが、今から思えば精神的にきつい環境だったように思います。

もっとも、きついのは私だけではなかったようです。自分の意思で進路を選べるようになると、末弟も含めて弟たちは兄と同じ道を避けるようになりました。みんな比べられるのが嫌だったのです。

大学に入ると私は将棋と麻雀に明け暮れ、1歳下の弟は学業に勤しんで院に進み、2歳下の弟は地域のボランティアサークルで活躍し、末弟は陸上部の活動に注力しました。もちろん、大学はそれぞれバラバラです。

ところが、社会人になってからは、4人とも同じように苦労しました。マジョリティに合わせて器用に立ち回ることができないので、現代の日本社会には適応しづらいのです。順風満帆に20~30代を過ごした者は皆無で、私を含めて3人は鬱で働けなくなった経験があります。

近年は弟たちと会うことすらほとんどありませんが、彼らは厳しい時代をともに生きる戦友のような気がしています。会社員をやっていると出会うのは社会にうまく適応している人がほとんどで、同類だと思えるのは兄弟くらいなのです。

そういえば、全員に共通していて小学生の頃からまったく変わらないことがあります。独り言が非常に多いのです。4人ともずっと、感情のコントロールに苦労してきたのでしょう。

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