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読書記録2022年12月に読んだ本

 こんにちは、せ→る→です。

 本日は2022年最後の投稿。2022年12月に読んだ本の紹介と感想を書いていきます!
※登場人物は太字にしてあります
※あらすじ程度のネタバレあり

「君だけのシネマ」高田由紀子

 中学二年の史織は、行きたくもない塾に行かされ、したくもない小学校受験・中学校受験をさせられ、受験勉強のために学校を休まされ、ランドセルも服も自分の好きなものを選ばせてもらえない…
 過干渉、いやもう毒親…ですかね?の母の影響で、心も体も疲弊していた。

 そんなとき父の転勤が決まり、母を残して佐渡へと引っ越しをした史織は、そこで暮らす祖母やクラスメイトたちから刺激を受け、自分のやりたいことや居場所を探していく物語。

 何をするにも母の意見や機嫌を気にする史織。読んでいて苦しかったとともに、ものすごく共感しました。「あなたのために」「あなたを心配して」こういう言葉こそ、子どもを縛っているんですよ!(大声)

 夢、自分の好きなものに真っ直ぐなクラスメイトの瑛太一花と交流していく中で、成長していく史織の姿にグッときます。とっても面白かったです!

「凜の弦音」我孫子武丸

 道場で起きた殺人事件、学校で弓が盗まれる、試合前に道具に細工がされている…弓道に関わる事件を、主人公・篠崎凜が解決(?)していきます。
 ミステリというほど謎解きに焦点は当たっておらず、部活ものとしてとても面白かったです。

 とにかくがすごく好きでした。弓道にだれよりも真摯に向き合っている姿がほんとに素敵で、なんといってもこの表紙、見てください!めちゃくちゃかっこよくないですか?

 部内での先輩との接し方、同級生と弓道に対する熱量の差、新しい指導者に困惑する様子、弓道部ではなくても共感するところがありました。
 また、弦音や的中音がほんとに聞こえてくるようで、読んでいて心地よかったです。

 凜の射にベタ惚れしている、中田隆司との、友達でも恋人でも部活仲間でもない…このなんとも言えない関係性も、ものすごく好きでした。良き!

 ↓アマゾンさん「凜」の字間違ってますね 笑

「朝日堂オーダーメイド製本工房」相原罫

 製本をテーマにした作品。んー!面白かったです!続編読みたい…

 野島志乃は製本会社「朝日堂」で、誰かのための一冊を作る、個人依頼を受けている。一話では、志乃の師匠の孫・田中哉太のための日記帳を作ることに。

――最初と最後のページが同じ紙の上にある。物語の最初と最後は繋がっている。

「朝日堂オーダーメイド製本工房」(p294)

 やっぱり紙の本は良いですね。私は別に紙の匂いや触り心地が好きとかではないですが 笑
 「今日はこれだけ読んだ」「あと少しで読み終わる」と一目でわかるところが好きです。

「茜さす日に嘘を隠して」真下みこと

 はぁ……とても良かった。

 就活が上手くいかない皐月、リストカットを繰り返す愛衣、覆面シンガーとして活動する、友達に嘘をつき続ける智子……悩みを抱えた大学生たちの物語。

 私は一話の「さんざんな朝」が好きです。主人公の皐月は就活がうまくいかず、社会人の恋人やアーティストの妹との距離を感じていた。

どうしてみんな、何とかなるって、簡単に言うんだろう。

「茜さす日に嘘を隠して」(p30)

 皐月が一人で苦しんでいる様子が読んでいてすごく辛かったです。叫ぶシーン、泣きました。ああ……ラストめちゃくちゃ良いんですよ。ネタバレになるから言えないんですけど、まじで良いんですよ。
 行動だけじゃ想いって伝わらないんだな、と改めて感じます。もちろん想いを伝えて行動で何もしないのもダメなんですが。

「本屋図鑑」いまがわゆい

 書店員さんによるコミックエッセイ。ツイッターでたまたま流れてきて、表紙の「だから書店員はやめられない!」というフレーズにめっちゃ惹かれました。素敵!

 書店員さんの一日の仕事内容が詳しく載っていて、道具や流通、発注方法なども書かれています。イラストも可愛くて読んでいて楽しい一冊でした。ずっと書店で働いてみたいと思っていたので、色々知れて嬉しいです。(まじで求人が少ないんですけどね)

「ノッキンオン・ロックドドア2」青崎有吾

 第二巻!今回も面白かったー!!

 不可能事件担当の御殿場倒理と不可解事件担当の片無氷雨は、二人で探偵事務所を経営している。一巻では明らかにされなかった過去編を含め、六編収録されています。

 とにかくキャラが魅力的すぎるっ!ビジュアル面でもそうだし、性格もそう。二人に加えて、ゼミが同じだった穿地決糸切美影のキャラクターもすばらしく良い。

 そんでもって声優の斉藤壮馬さんが絶賛している、とのこと。美影が壮馬さんの声で再生されていました。ピッタリ!
 まだまだ続きが読みたい…

「温室デイズ」瀬尾まいこ

 めちゃくちゃ良かった。
 温かいわけでもほのぼのするわけでもない。救いもない。なのになんでこんなにも物語にのめり込み、心動かされたんだろう…ってなる。

 荒れた中学校を良くしようと立ち上がった中森みちるは、いつしかいじめの対象になってしまう。クラスみんなから無視され、物を壊され、暴言を吐かれ、暴力をふるわれる。

 また、みちるの友人・前川優子は教室にいるのに耐えかね、別室登校するようになります。これだけ暗い描写を描きながらも、どこかふわふわと軽く読めてしまう…不思議だ。

 今まで読んできた作品は、「ひどい状況から主人公が離れ、新たな場所で頑張る」ことが多かったのですが、みちるは決して逃げずに立ち向かっていきます。

どうしてみんなそんな風に言うの? 優子も先生も、教室行かなくたっていいって。学校なんて休めばいいって。どうして? だって、私何も悪いことしてないんだよ。病気にもなってない。(中略)学校に行かなくても大丈夫なようにするのが先生なの? つらいことがあったら、逃げ場を作ってあげるのが先生たちの仕事なの? そんなんじゃなくて、ちゃんとみんなが普通に教室で過ごせるようにしてよ。

「温室デイズ」(p92)

「ミステリと言う勿れ」という作品の中でも、どうしていじめられている方が逃げるんだ?ということに言及していて、上記のみちるの発言と似ているなと思いました。

 だんだん逃げることに寛容になってきているというか、逃げる=悪いことではないと認知されつつあると思います。でも逃げ道を作ってあげるだけで、根本原因が全く改善されないんじゃ、同じことが繰り返されるだけですよね…

「目を見て話せない」似鳥鶏

 主人公の藤村京は大学一年生。教室に忘れられた傘の持ち主を探したいが、あいにく藤村はとってもコミュ障。持ち主を探すための聞き込みもできないので、なんとか推理して見つけ出そうとします。

 めっちゃ面白かったです!藤村の一人称で書かれていて、心の声がリアルすぎる 笑
 共感しっぱなしでした…

 日常ミステリっぽい話はもちろん、藤村が法学部ということもあってガッツリミステリなお話もあって楽しかったです。
 事件を通じて知り合った加越さんや皆木さん、小学校の同級生である里中くんらと、ちょっとずつ友達になっていく様子に「頑張れ~」と思わず応援したくなりました。

にこやかに応じてくれる他人。笑わせると爆笑してくれる友達。だが、もしかしたら陰では笑われているのかもしれない、という不安。(中略)だが俺は、単純なことに気付いたのだ。もともとどうでもいい相手に陰で笑われたとして、一体何が困るだろうか?

「目を見て話せない」(p287)

  以上、12月に読んだ本の感想でした。最近は、数ページ読んだだけで自分の好みかどうかわかるようになりました。一番は、主人公が好きになれるかどうか、ですね。主人公が苦手だとどうしても物語にのめり込めなくて…笑

 2022年は圧倒的に小説を読みました。すっごく充実した読書ライフで、思わず笑っちゃう作品からボロボロに泣いちゃう作品まで、色々なタイプの物語を読めて楽しかったです!

 2023年も素敵な作品に出会えますように…


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