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MAD MAID WARRIOWS

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麗しいメイドたちが織り成す儚い物語です。中学生の時に思いつきました。私自体、歴史だ好きなので中世を舞台にしました。
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記事一覧

MAD MAID WARRIORS/打ち解ける

「アイリーンと、お呼びしてもよろしいでしょうか?気に入ってしまいましたので」
「いいですよ」
この人は、委ねられる。信じられると思いました。
でなきゃ、こんなに綺麗な眼をしていませんから。
少なくとも、私はそう思います。
でも、それを伝えても変な子だと思われないか。
いや、大丈夫だと思います。なので
「あの、言いたいのですが」
「なんですの?」
「私、ケイリィさんともっと一緒にいたいです。こんなに

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MAD MAID WARRIOWS/実践訓練

「改めまして、ジェスミア・エマ・クレイソンです。よろしくね。基本的な説明は受けているね。じゃあ進めるよ。止めて欲しかったら言ってね。急に馴れ馴れしくて悪いけど、同年代の娘がなかなかいなくてさ」
ジェスミアさんは親しみやすい気さくな人です。
おかげですぐに一緒にいる緊張感は溶け、安心しました。

前向きで熱心なジェスミアさん。私に料理と掃除を教えてくれています。とても分かりやすく丁寧ですし「大丈夫。

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MAD MAID WARRIORS/慣れる事

夜中に目が覚めました。確かあのまま寝たはずです。
机にご飯が置いてあって、「起きたら食べてくださいませ ケイリィ」と書かれていました。
私の部屋はケイリィさんの隣なので、夜が明けたらお礼を言いに行きましょう。
頂きます。・・・?
何か音が聞こえたような・・・
隣から聞こえてきますね。なんでしょうか。少し怖いですけど、見に行ってみます。
「ふふ、うふふふ」ケイリィさんの笑い声が聞こえてきました。心臓

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MAD MAID WARRIORS/因縁の故郷

「おい、何をしている!」
「す、すみません!」
「この野郎!使えない奴だ」
銃声が市場に響き、街の人がまた一人殺されました。
驚く事はありません。酷い事を平気でできる人たちが私たちを支配しているのは今に始まった事ではありません。

遺体がいくつも目に入る通りを通って家に帰ると母が迎えてくれました。母は深刻な病気で体を動かすことはできませんが、私を10年の間優しく育ててくれました。
でも、母が元気に

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MAD MAID WARRIORS/装備

ケイリィさんが渡してくれたのは、長い丈の給仕服でした。
「可愛い・・・よくお似合いですこと」
そういえば、気になっていた事がありました。ヴェンティルさんとケイリィさん以外、ほぼ腰に帯剣しているのが見えますが、それはなぜでしょう。
「付いていらっしゃい」
「はい?」
速い足取りに頑張って付いていきます。
「好きな物を取ってくださいませ」
ずらりと並べられた色々な武器。最初に不思議に思ったあの部屋です

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MAD MAID WARRIORS/すべてを終わらせるための

今は好きな音楽を聴きながら心地よく寝ている。
木漏れ日が差し込む暖かいベッドで。
妹が私に手を添えて・・・

目を覚ました。私は戦場にいる。あの曲が流れる中で、兵士たちが肉弾戦を繰り広げている。敵兵を拳で、スコップで殴りつけている。
私はなにをすればいいのか。私は・・・

畑に囲まれた小さな家に私は生まれた。優しい母に育てられ成長してきた。父は軍人なので会える機会は少ない。
私はあまり不自由なく過

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MAD MAID WARRIORS/下準備

他愛のない雑談に花を咲かせていたら想像していたよりも早くお屋敷に着きました。
「ケリーウェスト侯爵様、お帰りになられたのですね」
「待たせたね。少し話しながら歩いていたもので」
若い執事が出迎えてくれました。その方は私にも
「こちらの方ですね、お話は聞いていますよ。同僚、という関係性になるでしょうからお見知りおきを」
丁寧な方でした。とても暖かい雰囲気をお持ちで。
「それでは、私は一旦これで。ヴェ

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MAD MAID WARRIORS/オリジン

1874年11月30日は私が生まれた日です。電撃的な運命の出会いを得て、そこから気が狂ったように戦い続けました。
私は小さな村の出身でした。地図にも載らないような場所です。
その村に偶然いらっしゃった貴族の方に「私のところで働くかい?ありきたりに聞こえるかもしれないが、君のような美しい少女はそういない。申し訳ないが、私は君に一目惚れしてしまった」
ロマンティックな展開でした。こういった事は小説の中

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