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またナウシカの話

以前の記事でも書いたとおり、ぼくは風の谷のナウシカの物語が大好きで、自分の設定もある困ったおっさんです。風の谷は限界集落とまではいかないけれど小規模の集落でありながら自治を認められた国家でもあります。

ナウシカの父ジルは物語の冒頭で亡くなるので、物語のほぼすべてにおいてナウシカは一国の王でもあるわけです。

宮崎駿氏が描いたのは彼が思う理想の政治なのでは

風の谷はいきなり侵略されます。しかも同盟関係にあるはずの大国トルメキアによってです。彼らは勝手に領空に入り、種まきしたばかりの畑に着陸し、あれこれ要求するしとんでもない。

まあナウシカ若いのでブチ切れます。即座に敵兵の前へ飛んでゆき、地面に大剣を突き刺し、

この剣より一歩たりとも先へ進ませない

原作マンガたぶん1巻:抜粋編集

これは映画でも出てくるシーンですね。ナウシカすんげえ気迫で結局トルメキアのエリート兵と一騎打ちになっちゃってしかも勝ってしまう。もうそのまま皆殺しにする勢い。

そりゃまずいからここで初期ではまだナウシカの師匠的な存在である叔父のユパが仲裁に入り、

小なりとも一国の領土へ立ち入るのであれば踏むべき手順があるはず。いくら大国とはいえ、これが他国に対するトルメキアの礼儀か。

原作マンガ1巻:抜粋編集

カッコいい。さらにユパは最強の剣士としても有名で、まあ顔も名も知られたランボーみたいなもんです。クシャナ率いる精鋭たちであっても一人で皆殺しにできるくらいヤバい人です。

それプラス、ブチ切れたナウシカ。ケンカになれば住民だって黙ってない。考えてみるとじつはトルメキア、かなりやらかしちゃったわけで調子こいて乗り込んでみたものの圧倒的不利な状況。

しかしそうした状況でいい気になって偉そうにするわけでもなく、相手が大国だからって卑屈にへりくだることもせず、さらにブチ切れちゃってるナウシカをなだめつつ賢いクシャナに撤退の判断をさせる。

これが外交。繰り返しになりますが、風の谷って国なんですよ。だから自分たち以外は基本的に敵あるいは潜在的な敵(じゃなかったらおんなじ国になりゃいいんだからさ)なわけで外交も防衛もちゃんとこなす。

いい国だぜ風の谷

風の谷の主要な産業は農業。貿易目的の農業ではなく、住民が生きていくための農業なので労働者に不満が生じにくい。貿易が絡むなら儲けてため込むやつが出てくるけどそんなゆとりがある国じゃない。

みんなの分をみんなでつくる共産主義なんだけどコミュニティが小さくてお互い知った者同士だから同志と違ってインチキできない。

外交・防衛は先述の通り人材と地の利を生かしたコンパクトかつ十分なものがあり経済システムは単純。たぶん物々交換と城への備蓄およびそれらの再配分だろう。

教育は各家庭で行われるものが基本となり、必要に応じて各分野に長けた住民から個別に受ける仕組みと思われる。

そして防衛や諜報など必須だけれど人数はいらない特殊知識は谷の中枢である城で特別な適性を持つ選抜された住民にのみ施される。

けどけっこう怖いぜ風の谷

先述の通り風の谷の主要な産業は農業。しかも自分たちが生きていくためのもの。

農業に必須なものといえば水。風の谷の水源は1か所しかない。それが城。城についてる風車で深い地下から水をくみ上げて貯水池にためたものを住民たちが利用している。

つまり…生殺与奪の権をナウシカをトップとする城がしらっと握ってる。

まあみんな仲良し風の谷なんでそんな城でも住民なら自由に出入りできるようで、住民の方からすると「支配されてる感」はあまりないはず。しかも、ヤバい時には美少女トップが先頭に立って守ってくれるんでね。

とはいえ、水をくみ上げる風車のメンテナンス技術とか、もちろん凧や戦闘機の乗り方なんてのは秘伝として守られ、選抜された者、あるいは族長家系の者しか知らないんだろう。

けどね。これも住民を守るためなわけ。みんなが(あの時代ではかなり主要なエネルギー源の)風車の取り扱いや戦闘機の操縦法を習得しているようだったら他国から見たら人材の鉱山なわけで危なっかしくて仕方ない。

大事なのは状況に応じたバランスなんだろう

おお。風の谷方式いいじゃん!日本でも導入しようぜ、なんてことになったらきっとおれが生きてるうちにめちゃくちゃなことになる。日本はでかすぎるから。

ただし学ぶこともあるはず。共通点があるから。

まず、人口減少という問題を抱えている。加えて、他国とケンカしてのすほど強くない。

そのままってわけにはいかないけど、いいヒントがたくさん詰め込まれているんだから参考にしたらいいと思うけどね。

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