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【短編小説】 追い求めたその先に


私たちは畏怖に苦しむ今と足元しか照らされていない明日の狭間にいる。


普通だと、当たり前だと思い込んでいた日常は、取り上げられた。


罰を受けた。
いや、これは然るべき結末なのかもしれない。


長い歳月をかけ邁進してきた私たちは、
自分達の利益ばかりを望み求め、他を顧みなかった。

“何かを得るには、何かを捨てるしかない”

より良くするためのことも多々あっただろう。
だがしかし、必要のないことが多すぎた。
くだらない己の欲のために。
捨てる選択を間違えたんだ。

現状では飽き足らず、
他の世界にまで侵食し、奪い、そして穿った。
いくら猪突猛進しても収まることのない我欲が自らの首を絞めてるとも気付かずに。


さらには仲間内で永劫に睨み合いを続けている。
くだらない自尊心を握りしめ、
自分たちがさぞ正しいと言わんばかりに。
同じベクトルに力を向ければ、
もっと可能性を見出せるのは頭では必ずわかっているのに。

あまりにも愚かだ。
だから”スミュ”は私たちに罰を下した。
いつ何時でも見られている、いや、監視されてるのかもしれない。

“原始に戻す”

私にはそう聞こえて他ならないのだ。
精算するための代償を今払わなければ、
この先、”スミュ”の矛は首元に届くだろう。