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漫画日記1『ここは今から倫理です』雨瀬シオリ

自粛ムードが続き、ついつい漫画にも手が伸びます。
私も自分が生徒だったころは漫画を多読していましたが、大学以降はすっかり漫画離れしていました。ゆえに最近の作品には疎いのですが、生徒からすすめられた知った作品を紹介します。

雨瀬シオリさんの作品『ここは今から倫理です。』です。
所謂学園もの。一人の倫理教師が、生徒の抱える悩みと真正面からぶつかります。ぶつかると言っても、80年代から90年代に流行したような熱血教師ものではありません。主人公の高柳教諭はいたってクールです。

作品の魅力
生徒が抱える問題はさまざまですが、その中心は人間関係にあると言っていいでしょう。私がこの作品を高く評価したいのは、主人公教師が自らの専門教科「倫理」で生徒を救おうとするからです。
従来の教師漫画では、主人公の教師が何の教科担当であっても本筋に影響はありませんでした。教科指導よりも、生徒指導で生徒と接する内容だったからです。
それに対して、この作品の高柳教諭は自らの専門知識を駆使することで、生徒の道を切り開く手伝いをしていきます。学校の勉強内容が、きちんと現実の問題と向き合うために活かされています。本来、学問はそうあるべきでしょう。

勉強熱心な作者
第1巻から第3巻までは、巻末のおまけに作者の体験記があります。そこを読むと、作者の「倫理」という題材に対する熱意が伝わってきます。自ら専門書にあたり、さらに大学まで足を運んで取材をして専門家からの1次情報を得ています。そして、作者がこの題材を選んだきっかけを知り、遣る瀬無い気持ちになりつつも、本気で漫画を描こうとする意志を感じました。それは本書でお読みください。

テレビドラマ化が決定
先月に発売した第4巻の帯で、テレビドラマ化の決定が発表されました。たしかに、ドラマ化しやすい題材だと思います。詳細はまだ発表されていませんが、どんな脚本・演出・配役になるかたのしみです。

こんな人におすすめ
テーマは重たいものもありますが、肩の力をぬいて読める内容です。
・いずれ選択科目を選ばされる中学生・高校生
・倫理を高校時代に受けなかった社会人
・社会科にどうしても興味をもてない人
・倫理、哲学、宗教などに興味がある人
・学園ものが好きな人

自粛ムードで在宅時間の多いこの時期に、ちょっといい時間を過ごせます。

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