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小説『肖像画』

都の美術館で肖像画を見つめながら考えていた。どうして、かつては似顔絵と呼んでいたものを肖像画と呼ぶようになったのだろう。いつからそう呼んで観るようになったのか。追憶してもたどり着きそうにない昔日の感覚を、閉館までに手繰り寄せようとしていた。 そういえば、かつての似顔絵には印象派も分離派もなかった。そこにあったのは絵画の魅力そのもののほとばしりだった。 人一倍に絵を描いてきたわけではない。人並みの観賞力がある自負もない。私にあった唯一のものは、絵画に関するいっさいの知識を伴わな

    • 読書日記3『話術』徳川夢心

      読書日記第3冊は徳川夢声著『話術』(新潮文庫)です。著者の徳川夢声さんは、いわゆる知る人ぞ知るという人物でしょうか。肩書は「活動写真弁師」ですが、残された業績はこれに限りません。今回は稀代の漫談家が名著の一端を紹介します。 雄弁術 昨今、「上手なプレゼンの仕方」や「話し方の上達法」などをテーマとした書籍は爆発的に増えました。本が売れない時代にも、このようなハウツー本に手を伸ばす人は一定数いるようです。にしても実際にこういう本は売れています。かつてよりも人前で話す機会が増えた

      • 漫画日記2『応天の門』灰原薬

        舞台は平安京都。主人公 菅原道真と在原業平のタッグが、京町で起こる様々な怪事件に立ち向かうミステリー作品です。。物語の進み方は、所謂『名探偵コナン』と同様に一つひとつの事件が起きて、それを解決しての繰り返し。その中に、一貫したライバルや敵との政治的攻防が繰り広げられます。 古典学習に活用の可能性 細かい文法や語彙を身に着けるには心もとないですが、古典の世界観をイメージする助けになると思います。高校の古典学習では、従来から漫画作品の効果が評価されてきました。大和和紀作『あさき

        • 読書日記2『グリム童話』池内紀訳

          読書日記第2冊は『グリム童話』(ちくま文庫)です。少し前に、『本当は恐ろしいグリム童話』が話題になりましたが、実際にゾッとする描写が多く含まれています。当noteの筆者も、先週のうら寒い時期にゾッとするものを読んでしまい、少し後悔しています。 子供向け絵本との相違 「赤ずきん」「ラプンツェル」「ヘンゼルとグレーテル」というと、子どもの頃に読んだおとぎ話の世界を思い浮かべるでしょう。話の大筋はそれと変わりません。あくまで童話。小学校高学年であれば十分読める内容です。 それでも

        小説『肖像画』

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        記事

          漫画日記1『ここは今から倫理です』雨瀬シオリ

          自粛ムードが続き、ついつい漫画にも手が伸びます。 私も自分が生徒だったころは漫画を多読していましたが、大学以降はすっかり漫画離れしていました。ゆえに最近の作品には疎いのですが、生徒からすすめられた知った作品を紹介します。 雨瀬シオリさんの作品『ここは今から倫理です。』です。 所謂学園もの。一人の倫理教師が、生徒の抱える悩みと真正面からぶつかります。ぶつかると言っても、80年代から90年代に流行したような熱血教師ものではありません。主人公の高柳教諭はいたってクールです。 作

          漫画日記1『ここは今から倫理です』雨瀬シオリ

          読書日記1『不実な美女か貞淑な醜女か』米原万里

          読書日記の第1冊は、敬愛する米原万里さんの著書です。 『不実な美女か貞淑な醜女か』 私と米原万里 国語教師である私も、かつては野球少年で読書などしていませんでした。そんな私が「たまには本でも読むか」と思い、親の本棚から何気なく手に取ったのがこのエッセイでした。 エッセイというと、エライ実業家が聞きたくもない成功談を語ったり、どこぞの評論家が一方的に体験談を語るようなイメージもあるかもしれません。当本は、そんな負のイメージをもってる人に打ってつけの良本です。 ロシア語通

          読書日記1『不実な美女か貞淑な醜女か』米原万里