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漫画日記2『応天の門』灰原薬

舞台は平安京都。主人公 菅原道真と在原業平のタッグが、京町で起こる様々な怪事件に立ち向かうミステリー作品です。。物語の進み方は、所謂『名探偵コナン』と同様に一つひとつの事件が起きて、それを解決しての繰り返し。その中に、一貫したライバルや敵との政治的攻防が繰り広げられます。

古典学習に活用の可能性
細かい文法や語彙を身に着けるには心もとないですが、古典の世界観をイメージする助けになると思います。高校の古典学習では、従来から漫画作品の効果が評価されてきました。大和和紀作『あさきゆめみし』は、今でも進学校の古典学習ですすめられています。

1千年前の世界観と主人公 菅原道真
かつて、まだ科学が進歩していない時代。その時代を生きた人々の感覚は、今の私たちの感覚と大きく乖離しています。私たちは怪奇現象と出くわしたとき、疑問を科学的な説明で解決しようと試みます。かつてはそうではありません。理解を超える現象が起きたとき、それは呪術や祟りなどと呼ばれます。
本作の主人公は稀代の研究家。限られた文献から己の智を磨き、事件に巻き込まれることを嫌がりながらも、思考停止する人びとを救っていきます。

専門家による監修
近頃の漫画作品ではめずらしくないことですが、本作は専門家監修のもとで連載されています。監修は歴史学者の本郷和人。東京大学史料編纂所教授で、単行本には彼の書いた解説文が掲載されています。その解説が面白い。漫画では説明しきれない中世社会の文化・風俗に関する専門知識をわかりやすく説いています。

こんな人におすすめ
・古典の勉強をする学生
・『名探偵コナン』などミステリー漫画が好きな人
・藤原氏など日本史の有名人についてもっと知りたい人

歴史学・古典文学の敷居を取り払ってくれる作品です。サスペンスな展開をぜひ堪能してください。

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