ダイバーシティアワード2021 グランプリ受賞者インタビュー~メンター面談で実現した視点・経験の多様性
こんにちは。セプテーニグループnote編集部の宮崎です。グループのD&I推進を担当しています。
セプテーニグループでは、2020年から「ダイバーシティアワード」を実施しています。ダイバーシティアワードは、グループ内から「ひとりひとりが活躍できる環境をつくり、イノベーション・成果創出を目指す取り組み」を集め、特に評価の高い内容をグループキックオフで表彰するアワードです。
本日は、第2回となるダイバーシティアワード2021でグランプリを受賞した「メンター面談」の推進者である石井さん、西田さんに、受賞した取り組みの詳細やその裏話、今後目指していきたいことなどをお伺いしました。ぜひご覧ください!
メンター面談は経験の多様さ、多様な思いを昇華できる場所
─ ダイバーシティアワード2021、グランプリ受賞おめでとうございます!まずは受賞の感想からお聞かせください!
西田さん:
正直、かなり驚きました。表彰式の数日前に、一次審査を通過した他の方の取り組みが紹介されていましたよね。外国籍社員についての取り組みをしているチームなど、素晴らしい内容が多くて、自分の中で「ここがグランプリかも」と他チームの受賞を予想してたんですよ。
石井さん:
私もすごくびっくりしましたね。多様な人をすごく上手に巻き込んで取り組みを推進しているチームもありましたし。
西田さん:
ただ、代表の佐藤さんをはじめとする審査員の方々から「経験の多様性」に着眼しての評価というフィードバックがあって、なるほど、とハラオチしました。
石井さん:
メンター面談は、いろんな人が、いろんな活用の仕方をしてくれている企画なんです。取り組みのきっかけは、なかなかキャリアの相談ができない人に機会を提供する、だったんですけど、蓋をあけてみたらキャリアの相談以外にもいろんな用途で活用されているんですよね。
そういう意味でいうとまさに経験の多様さとか、多様な思いを昇華できる場所になっていると思っていて。そんなところまで評価いただけて嬉しかったです。
コロナ禍でのコミュニケーション手段としても有効に活用された
─ 当初想定していなかった使われ方って、どのようなものがあるんでしょう?
石井さん:
メンター面談は、新型コロナウイルスの影響でリモートワーク中心の働き方になる前にスタートしたんです。一定のオフラインコミュニケーションがとれる環境を前提にしていました。
でもコロナ禍でコミュニケーションがとりづらくなったときに、「誰かと話したい」「他部門がどんなことをしているのかわかりづらいので、他の人の仕事について知りたい」という動機で使ってもらったケースもあります。もともとキャリアに軸をおいて成長のきっかけに、という想定だったのですが、もうちょっと幅広くコミュニケーションの場として捉えて使っている方がいるということですね。たくさんの方にさまざまな形で利用してもらえていることを本当に嬉しく思います。
─ 取り組み自体がもちろん素晴らしいのですが、すごく良いタイミングでの取り組みスタートだったんですね。では次に、今回アワードに応募した理由を教えていただいていいですか?
西田さん:
直接的なきっかけは上長からの声がけでした。「HRビジネスパートナー本部で取り組んでいる内容はどれも対象になると思うよ、エントリーしてみたら?」と。私が担当しているいくつかの取り組みの中で、募集要項を確認した上で、いちばん求められている内容に近いメンター面談をエントリーすることにしました。
メンター面談って、知っている人が増えれば増えるほど発揮する価値が大きくなると思うんです。受賞できなくてもできても、こういうことをやっていますっていうのを広く認知したいという思いも含めての応募でした。
─ そういう形でこのアワードに応募してもらえるのは、実行委員会としてもとても嬉しいです!ではもう少しメンター面談についてお話をお伺いしたいと思います。さきほど「キャリアに軸をおいて成長のきっかけにしてもらう」という目的でメンター面談をスタートしたというお話がありました。取り組みのきっかけについてもう少し詳しく教えていただいてもいいですか?
メンター面談スタートのきっかけ
石井さん:
10年以上前から「キャリア面談」という役員に直接キャリアについての相談や意思表示をする機会を設けています。「キャリア面談」はとても貴重な機会だと今でも考えていますが、会社や組織の規模が大きくなったことで、「キャリア面談」だけでは機能として足りなくなってきたんですよね。実際に社員規模に対するキャリア面談の利用率も減少傾向にありました。
普段直接コミュニケーションをとる機会がもてない役員に直接相談する機会が貴重な一方で、その前の段階のもっと気軽な相談、たとえば「チーム以外の先輩と話したい」「役員に相談するまで決心が固まりきっていないけどキャリアチェンジに興味がある」といった声を拾えていない、という課題がありました。そんな課題を解決したかったというのがきっかけのひとつ。
もうひとつが異動についての判断だったら役員の意思決定が必要になるケースもありますが、キャリア相談先ってもっと身近にあってもいいですよね。社内には多様なキャリア・経験を積んでいる先輩がたくさんいるので組織範囲に留まらず、もっといろんな人と対話をして、考え方や価値観を広げる機会にして欲しいという思いがあった、それがきっかけのふたつめです。
「誰でも相談に乗ってくれるよ!」「誰に相談してもいいよ!」と言っても、そもそも社歴の浅い社員は誰がどのようなキャリアを歩んで、どんな経験を積んでいるのかわからない。それでは何も解決しないということで、仕組み化して取り組むことにしました。初めて実施したのは2020年の7月でしたね。
西田さん:
印象的だったのが、この取り組みについて上司に相談した際の「相談したい人も多いだろうけど、相談されたいと思っている人もいると思うんだよね」という発言でした。たしかにそういった方々に活躍の場を提供することにもつながると思いました。
─ なるほど。実際にメンター役を担ってくれる人はどんなマネージャー、エキスパートなんでしょう?
西田さん:
とても幅広い層のマネージャー、エキスパート職の方々が名乗りをあげてくれています。営業部門、バックオフィスなど部署もさまざま、若手もベテランもいますし、回を重ねるごとにどんどん広がっていますね。
石井さん:
あくまで経験を伝える場であって、マネジメントをする場ではないんです。壁打ち相手になるという感じでしょうか。「話を聞いてもいいよ、という人はぜひ協力してください!」とメンターの募集時は敷居が高くならないように広報しています。
メンティーはもちろん、メンターにとっても貴重な機会に
─ はじめての募集の際はメンターどれくらい集まったんでしょうか?
西田さん:
ものすごく多くの応募がありました。あんなに応募してくれると思わなかったです!
石井さん:
みなさん忙しいし、全然応募がなかったらどうしよう・・と不安だったんですけど。マネージャー、エキスパートのうち、25%くらいの方が応募してくれて。今では半数近くがメンターを担ってくれています。
─ それは多いですね!実際に協力してくれたメンターの方から感想などは届いていますか?
石井さん:
「考えを整理する機会になった」「参加してよかった」という声がとても多いんです。相談する側にとって有益な機会だとは思っていましたが、相談される側にとっても価値ある機会になっているというのは、実施してみてはじめて実感しました。
─ そうなんですね!ダイバーシティアワードへのエントリー内容を拝見していて、「メンター面談」はすごく丁寧に仕組みが設計されていると感じました。メンターに対してもメンティーに対してもすごく細やかに配慮されていて。特に気をつけて運用したポイントなどはありますか?
メンター面談は、利他的で当事者意識の高いメンターたちによって成り立っている
西田さん:
メンター側への配慮でいうと、立候補制をとったというところが一番大きなポイントだと思います。大前提、マネージャーもエキスパートも、みなさんものすごく忙しいんです。そんな中で、他部署のメンバーの話を聞く、聞くために時間を確保するには、本人の意思がないと難しい。メンター活動自体、本業以外の課外活動的な意味合いが多分に含まれているものなので。
なので「メンターになってくれたらすごく多くの相談希望者がくるだろうな」という人がいたとしても、本人が手を挙げてくれない限り運営側からは一切アプローチしないと決めています。メンターへの配慮ではありますが、それがあったからこそ「役に立ちたい」という思いをもった人の集まりになり、面談のクオリティが担保されて、この仕組み自体の評判の高さにつながっているんだと思います。
石井さん:
本当にそうですね。「メンター面談」って、私たちは仕掛けを作っただけなんです。実際にメンティーの相談にのって悩みを解消してくれたり、目線を上げてくれたりしてくれているのは全部メンターなんですよね。利他的な人たちがたくさんいるから成り立っている。メンターたちにものすごく感謝しています。
─ 手挙げで参加してくれる方の熱意・当事者意識って本当にものすごく高いですよね。私自身、グループの横断委員会の事務局を担当しているのでよくわかります。
▲セプテーニグループでは手挙げ有志による横断委員会の活動が活発です。こちらは環境プロジェクトの「ECHO」の記事。
西田さん:
それからいつでもメンター離脱OKとしたことも、敷居を下げること、メンターの負荷を軽減することにつながっていると思います。業務が忙しくなることもあるでしょうし、自身の心境の変化もあると思いますので。
─ なるほど。メンターはどれくらいごとに募集をするんですか?
石井さん:
3ヶ月に1回メンター面談を実施しているので、そのタイミングでメンターを募ります。あとはこの仕組が健全な機会として運用されるように、「メンターによる自部門への引き抜き」が起きないように運営としてはすごく注意していますね。
西田さん:
ガイドラインを設けて、何回もメンターとして活動してくれている人にも、毎回全文を送って注意喚起しています。
メンター面談の特徴のひとつ、細やかな配慮と仕組みの設計
─ 大事ですね。メンティー側、相談をする側への配慮としてはどのようなことがありますか?
石井さん:
3つくらいありまして、1つ目は秘匿性の確保です。相談した内容や、相談したこと自体を他者に知られたくないメンティーも多くいます。心理的安全性を担保するという意味でも面談内容は他言しないというルールを設け、周知しています。
2点目は、「どのメンターがどんなキャリア・経験をもつ人なのか」を周知することです。運営としては、よりいろんな人と話をしてほしいという思いがありますが、誰が何をしてる人なのかわからない、誰に相談したらいいのかわからないってよくあることだと思うんです。
なので西田さんがイントラサイトを作ってくれて。このメンターはこんな話ができますよ、このメンターにはこんな相談ができますよ、という内容がメンターごとにわかるようになっています。それでも適切な相談先がわからなければ、運営側からおすすめすることもありますね。
3点目は、1人のメンティーにつき2人までメンターを選べるようにしている点です。この職種も気になるけどこの職種も気になる、この人の意見も聞いてみたいけどこの人の意見も聞いてみたい。そんな希望を持つ人に対していろんな人の意見を聞きに行く機会を提供できるようにしています。
─ ありがとうございます。各所への配慮の仕方にとても学びがあります。ちょっと角度を変えて次の質問をさせてください。「メンター面談」、企画から運営の中で苦労したポイントってありますか?
西田さん:
オペレーション面ですね。メンターそれぞれに、エントリーについての連絡事項を一通一通Slackダイレクトメッセージで送るのが毎回地味に大変です。秘匿性を担保するためには一通ずつ送るしかなくて。
石井さん:
でも逆に言うと「メンター面談」って、かなりの人数に利用してもらっている中で、苦労したことがオペレーションくらいしかない、すごく順調な取り組みなんですよ。誰かを巻き込むのが大変とか、メンターがなかなか集まらないとか、そういう本質的な問題がなく運用できているので、欲されていた仕組みなんだなと感じますね。
─ たしかに!まさに三方良しの取り組みですよね。相談する側もされる側も、会社としても、みんなにとってメリットがある。では最後に、今後の展望について教えて下さい。
今後の展望
石井さん:
まだ具体的な計画があるわけではないのですが、リモートワーク中心の働き方が継続していますし、キャリアの多様化も進んでいますし、「必要な人が求めたときに」相談機会を提供できる状態を作りたいと思っています。
個人的には「メンター面談」は、最終的にはなくなると良いなと思ってるんですよね。メンターを自分で見つけられる状態が理想だなと。でもそれはなかなか遠い未来の話だとも思っています。
なのでクールに1回実施しているメンター面談を常設化して、いつでも相談できる状態が作れると良いかなと。
西田さん:
そうですね、常設のマッチングサイトのようになるのが現状のベストかもしれません。
それからいま積極的に中途社員の採用をしているんですけど。新卒もそうですが、中途の方も、入社したばかりで知り合いが少ない時ってすごく不安だと思うんですよ。リモートワーク中心の働き方の中でどうやって人脈を開拓していけばいいんだろうと不安に思うのは当然だと思っていて。
そういったことを払拭するひとつの材料として「メンター面談」のような仕組みが当たり前に展開されていて、みんな活用していますよと言える状態にする。そんな形で、この取り組みがセプテーニの競争力につながり、事業の発展にさらに貢献できるようにアップデートしていきたいですね。
─ 楽しみにしています!本日はありがとうございました。
* 編集後記 *
ダイバーシティアワード2021の最終審査は、グループ代表の佐藤さん、社外取締役の入山さん、社外取締役の岡島さんに担当いただきました。その中で「メンター面談」は、満場一致でグランプリが決定するほど審査員のみなさまから高く評価されていたのが印象的でした。
こういった取り組みをフィーチャーし、グループ内に横展開することで、ダイバーシティアワードがグループにとってますます価値あるアワードになるよう、そしてイノベーション創出に貢献する機会となるよう、実行委員会のメンバーとともにアップデートしていきたいと思います。
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