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#7 彼らは何故急いでいるのだろうか?
──ほー、これが50か。実車は初めて見るが、なかなか…いいじゃないか。
「そうだろ、クラッチレスだしシートも低いし、アイツにゃ丁度いいと思うんだ」
しかし新車だろ、これ。あげちゃっていいのか?
「約束だしな。親父と折半になったが、何、飽きたら飽きたで俺がありがたくいただくさ」
「──やあ諸君、ご無沙汰していたね。ところで川上君は来ていないのかな?」
「会長!てめえ犬の世話押し付けて…マッ
#6 オープンカーって重たいの?
「──あんた、いつもこんな所でお昼食べてるの?」
「んー、いつもは教室だよ?今日は先生に質問があって来たの。ゆうのちゃんは?」
「あたしはっ…今朝は、起きられなかったから…」
「いつもはお弁当作ってるの?すごい!でもサンドイッチ買ったのなら、お友達と食べれば良かったのに」
「(学校に友達なんていないわよ…弁当作ってるのも女子力アピールのためだし)…今日は他人と食べる気分じゃなかったの。他意
#5 これはどこの車ですか?
──だーっ!マリオカートはともかく、GTでもForzaでも勝負にならんとは…
「ふふーん。せんせ、ハンデあげよっか?あたしハンコンやめてパッドでいーよ。でもノルドシュライフェはもうパス…1周長いし」
「2人とも真面目に部活やってくださーい!っていうか先生、教材の車はどうなったんですか?」
車?そこにあるでしょ、白いやつ…じゃあ筑波2000・パワーウェイトレシオ5以上の短期戦でどうだ?
「あ
#4 北海道に行きたいか?
「わあ、なんというか…いろいろついてるバイクですね。重そう」
「──念願の純正ケースを落札し、このVストもいよいよフルパニア。今年の夏はこれで勝負だ!」
こいつに荷物積んだら確実に200kg超えるよな。250ccなのに…
フェリーに限らず、予約は大変です「ジン先輩は夏にどこか行くんですか?」
「北海道だ。去年はバーディー90を持ち込んだんだが、パワー不足を痛感してな。今年は新しい相棒でリベ
#3 これでも自動車部なんですの?
「──ここですわね。お姉さまがまとめていらっしゃる自動車部というのは。それにしても、ホンダ…のバイク?」
「なんだお前」
「ひぃ、犬が喋った!」
「犬は喋んねーだろ…おいせんせー、客だぜ客。ったく車ばっかり構ってないで人間や犬の面倒も見てくれよ?」
──やあツバサ、お散歩ご苦労さん。おや1年生だね。入部希望かな?いやいや今年は大入りで大変けっこう。
「入るだなんて言ってないでしょう?それ
#2 ベスパってかわいいですよね?
「先生、免許取れたよ!…原付のだけど」
「やあ。君は…本田の妹さんだったね。元気いいね?」
「わ、マックス先輩!…こんにちは…えへへ」
「はい、こんにちは。原付乗るの?」
「高校合格したら原付くれるって言ってたのに、お兄ちゃん昨日もごまかしたんです!もーお父さんに言いつけちゃおう!」
(からから)おーい川上、手伝ってくれ…あ、べるのも来てたのか。悪いけど部で使う車はまだ準備中で…
「こ
#1 お医者さんが外車に乗っているのはなぜ?
「こんにちは…あれ、先生だけですか?」
うむ。
「せっかくお兄ちゃんと同じ部活に入ったのに」
ツバサならジンと一緒に出ていった。一足違いだったね。
「もー入学のお祝いに原付くれるって言ったのどうなったの!
じゃあ今日は何すればいいのかな…」
教材になる車もないし、やることもない。一緒にテレビ見るかい?ミステリーの再放送、これからいいとこだ。
「(ここの部、大丈夫なのかな…)」
お医
六鱗館高校自動車部:序
受験勉強の長いながいトンネルを抜けて、ひとつ上の兄が通う学校に合格したあの春。
早咲きの桜を散らしてしまった嵐が過ぎた4月の週末。
夏より青い空の日に、わたしはみんなと、みんなが「せんせい」と呼んでいたあの人に出会いました。
──これはちょっと変わった高校の、ちょっと変わった自動車部のおはなし。