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【Iパス8問】著作権問題は消去法が基本

このNoteには、著作権の問題の解法をまとめました。過去12回のITパスポート試験を分析して、ステップアップ式にまとめています。

知的財産権(産業財産権4種と著作権)は権利系法律の必須科目。令和5~平成28年度春の12回で、毎回1~2問出題されてます。

  • 産業財産権は7回

  • 著作権は8回

著作権は、意外なものまで保護するので、判断に難しい問題が出題されます。そこでまずは「保護されないもの」を覚えて「消去法」が最も効果的です。

あとは問題演習を通じて「保護される実例」を少しずつ覚えれば、「感覚」が身についてきますよ。とはいえ、私たちは弁護士さんではないので、深堀はほどほどで

知的財産権を完全対策するために、>>産業財産権のNote<< も併せてお薦めします。

なお、このNoteは私が専門学校で教えてきた指導経験と970点合格をした実績に基づいていますので、是非参考にしてくださいね。

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保護対象外から知っておく

著作権は自然発生する権利で、結構色々保護される印象がありますよね。

よってまずは「保護されない」ものから知っておくと良いです。

  • プログラム言語

  • アルゴリズム

  • 規約(プロトコル)

例えで理解してみましょう。

  • プログラム言語=日本語

  • アルゴリズム=数学の解法

  • 規約=サッカーのルール

もし保護されて自由に使えなかったら、困ったことになるのは分かりますよね。


ステップ1 | 「消去法」が基本

では問題演習をしましょう。

著作権の保護対象になり得るものを全て挙げたのはどれか。
a:公開されたフリーソフトウェア
b:データベースの操作マニュアル
c:Javaなどのプログラム言語
d:プログラムのアルゴリズム
ア:a, b イ:a, d ウ:b, c エ:c, d

「ITパスポート試験 令和3年度問7」より改変

正答はエ。cとdが確定で選択肢を見たら1つに絞れていました。

aの「ソフトウェア」も、bの「マニュアル」も、頑張って作った「創作物」なので保護されます。

特にaの「フリーソフトウェア」は無料で公開してますが、著作権を放棄しているわけではありません。

このように保護対象は、保護されない対象から消去法で少しずつ知っていっても良いですね。


開発したプログラムと、開発するために用いたアルゴリズムで、著作権保護される組み合わせはどれか。
ア:どちらも保護されない
イ:アルゴリズムだけ保護される
ウ:プログラムだけ保護される
エ:どちらも保護される

「ITパスポート試験 平成30年度秋問7」より改変

正答はウ。作ったのはプログラムであり、アルゴリズムは解法です。

「プログラム」は「プログラム言語」を使って作成されたので保護されます。「小説」が「日本語」を使って作成されたので保護されるのと同じです。

「アルゴリズム」も「フローチャート」などの図に描くと著作権保護されます。

このように、保護されないものを使って「作ると保護対象になるもの」がある点が特徴です。


プロトコル(規約)の事例も学んでおきましょう。

著作権法の保護対象はどれか。
ア:情報検索機能に関するアルゴリズム
イ:プログラムの処理内容を記述した仕様書
ウ:プログラム作成のコーディングルール
エ:プログラムで用いるインタフェース規約

「ITパスポート試験 平成31年度問9」より改変

正答はイ。仕様書は明らかに創作しています。

ウの「ルール」も、エの「規約」と同じです。


著作権は何に関する権利であるか。
ア:新規の工芸品などについて、そのデザインの工業利用
イ:文学や学術・美術などの作品、および作品の利用

「ITパスポート試験 平成29年度秋問28」より改変

正答はア。

デザインは意匠権が保護します。>>産業財産権のNote<<をどうぞ。


ステップ2 | 「実例」を知っていく

著作権は「一方的に使ってはダメ」ではありません。

よく出題されるケースは「私的利用」と「引用」です。

著作権侵害のおそれがある行為はどれか。
ア:音楽番組を録画し、録画した本人と家族で楽しんだ・
イ:Webサイトに公表された他人の日記を、断りなく自分のWebサイトに公開した。
ウ:行政機関が作成し公開した人口に関する報告書を、断りなく引用して試験問題を作成した。
エ:他人の研究論文から数行を自分の論文に掲載した。なお引用箇所・出典元を自分の論文に明記している。

「ITパスポート試験 平成30年度春問10」より改変

正答はイ。「不特定多数が見れる状態」は私的利用ではないです。たとえ自分のWebサイトがプライベート・非営利・アクセス0でもダメです。

  • アは、私的利用であれば使える例

  • エは、条件を満たせば引用できる例

  • ウは、公的機関が周知するための資料は転載できる例。他にも憲法や判決など。


著作権について正しい記述はどれか。
ア:偶然に内容が似ている2つの著作物が同時期に作られた場合、片方の著作者だけの権利が認められる。
イ:権利取得のための申請・登録手続きは不要
ウ:保護対象に技術的思想も含まれる。
エ:著作物とみなすには、創作性に加え新規性も必要

「ITパスポート試験 令和元年度問25」より改変

正答はイ。著作権は自然発生です。

  • ウ:「技術的思想」はアイディアを指します。

  • エ:「新規性」などの評価不要。「創作物」であれば保護対象。

  • ア:パクりではなく偶然なので、両者に自然発生。

現実ではアで揉めるかもですが、確実に正解と分かるイがあるので大丈夫ですね。揉めれば判断は法廷がします。


ステップ3 | 「例外」への対応も

最後に「判断に迷う例外的な実例」への対策です。

著作権に創作物を保護するため、単なるデータの集まりは創作物とは認められません。

  • 時刻表・電話帳・データベースなどは保護対象外

  • ただし「職業別に分類した電話帳」は保護対象内

時刻表・電話帳・データベースなどは、単なるデータなので創作性がありません。しかし、「職業別に分類した電話帳」は意図や意味を持った著作物を認められます。

とはいえ、私たちは弁護士さんではないです。

法律をなんでもかんでも知る必要はありません。

判断が難しい問題の場合は、最悪失点しても仕方ないです。

著作権特許権に関する正しい記述を全て挙げたのはどれか。
a:偶然に内容が似ている2つのものが同時期に作られた場合、特許権は双方・著作権は片方の者に認められる
b:ソフトウェアソースプログラムリストは、特許権も著作権も認められる。
c:特許権取得には出願・登録が必要だが、著作権は不要。
ア:a, b イ:b ウ:b, c エ:c

「ITパスポート試験 令和4年度問1」より改変

正答はエ。ウかエで迷ったらOKです。

cの記述は正しいので、ウかエになりますね。

さて、bの「ソースプログラム」はプログラム言語で書いた創作物なので著作権保護されます。一方で特許権で保護されるのはソフトウェアであり、ソースプログラムではないです。微妙ですよね。

念のためaも見ておきます。パクりではなく「偶然」ですし、双方に権利が認められるため不適切です。

私ならエを選ぶかもしれません。「確実に分かっているエ」か「分からないのを追加したウ」であれば、分かっている範囲で解答します。

もし「分からないを勘で追加して不正解」だったら悔しいですよね。


著作物になるものを全て挙げたのはどれか。
a:原稿なしで話した講演会の録音
b:時刻表に掲載されたバスの到着時刻
c:創造性の高い技術の発明
ア:a イ:a, c ウ:b, c エ:c

「ITパスポート試験 令和5年度問2」より改変

正答はア。

cは、「発明」から特許権です。bは単純な時刻データなので創作物ではなさそうです。

よって、残りのaを考えると、録音して創作物になっています。もし保護対象外だとしたら、ラジオドラマも保護されないことになりますよね。


まとめ | 産業財産権と併せて完全対策

ここまで見てきたように、著作権問題への対策は保護されない3つ(プログラム言語・アルゴリズム・プロトコル)が最重要・消去法が基本です。

  1. 「保護されない3つ」を覚える

  2. 「保護されるケース」を少しずつ覚える

  3. 「例外」は余裕があれば少し覚えても良い

また、産業財産権(特許・意匠・商標・実用新案)と併せて理解すると、1~2問の正解が狙える得点源です。

>>産業財産権のNote<<と併せて「知的財産権」は完全対策できます。「確実な合格」にどんどん近づいて行って下さいね。

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p.s. 普段は >> 専門学校とIT就職のブログ << をやってます。

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