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【Iパス12問】毎回2問でる「プロジェクトマネジメント」の4段階学習

プロジェクトマネジメントは、ITに限らず重要な学習テーマです。モノづくりが大規模になるほど、膨大な工程を膨大な人数で取り組んで、予算と納期に間に合わせるよう管理する必要があるからです。

もちろんシステム開発でもプロジェクトマネジメントの考えは必要なので、ITパスポートに出題されます。しかも必ず2問出ています

プロジェクトマネジメントには、10個のマネジメントがあります。ITパスポートでも最多の用語数です。とはいえ半分以上は言葉から想像がつくので、幾つかを個別に理解する程度でマスターできます。

このNoteでは、10個のマネジメントを学習して、令和5年~令和元年から12問の演習をします。スコープマネジメントにだけ注意すれば大方解けるので、是非1問でも2問でも得点源にしてくださいね。


なお、このNoteは私が専門学校で教えてきた指導経験と970点合格をした実績に基づいていますので、ちょっとでも信用してくれたら嬉しいです。

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PMBOKの10の知識エリア

「PMBOKの10の知識エリア」は、ITパスポートで最多の用語数ですが、「最終的には」すべて覚えてください。

ここで、PMBOKはプロジェクトマネジメントのノウハウをまとめたものです。「ピンボック」と読みます


10個のマネジメント

覚えやすい順番で良いです。

多分スコープが一番分かりにくいでしょうが、問題を解いて慣れていきましょう。

なお、「統合マネジメント」は「統合」のように書いています。

  1. 統合は、プロジェクト「全体」の管理。複数のマネジメントを横断的に判断するとき

  2. スコープは、プロジェクト成果物の影響「範囲」。作る成果物や作業工程の一覧を定義し管理

  3. タイム(スケジュール)は、計画・スケジュール・納期

  4. コストは、予算や費用

  5. ステークホルダは、「利害関係者」とのやり取り

  6. リスクは、プロジェクト進捗への悪影響

  7. コミュニケーションは、プロジェクト内での「連絡」手段

  8. リソース(資源)は、部品「資材」や機器「機材」「人員配置」

  9. 調達は、必要な部品や機材の準備・確保

  10. 品質は、「成果物が求められている水準」・機能なのか


2つの注意点 | 表記揺れ・似ているマネジメント分野

表記揺れについて。

タイムマネジメントはスケジュールマネジメントとも云われるため、タイム(スケジュール)と書いています。リソースマネジメントも、資源マネジメントとも出題されます。

次は、区別しにくいマネジメントについて。

スコープマネジメントと品質マネジメントがちょっと似ていますね。スコープマネジメントは成果物や作業の一覧を定義したり管理したりです。品質マネジメントでは各成果物の品質を細かく確認して管理します。

調達マネジメントと資源(リソース)マネジメントも似ています。調達マネジメントはあくまで獲得段階、資源マネジメントは調達後と考えて大丈夫です。似てますよね。


4段階の問題演習

令和5年~令和元年から12問を、分類して4段階のカリキュラムにしました。

  1. 基本問題は「個別のマネジメント」

  2. 横断的な判断は「統合マネジメント」

  3. 少し分かりにくい「スコープマネジメント」

  4. 変わった問題

1~3段階目までは頑張りましょう。


1:基本問題 個別のマネジメント分野

各マネジメントについての問題から始めます。

システム開発プロジェクトにて、テストを実施するメンバを追加するときの、コストマネジメントの活動として適切なのはどれか。
ア:新規メンバにも情報が伝わるように、メーリングリストを更新する
イ:新規メンバへのテストツールのトレーニングをベンダに依頼する
ウ:新規メンバに担当させる作業を追加して、スケジュールを変更する
エ:新規メンバの人件費を見積もり、計画を変更する

「ITパスポート試験 令和3年度問39」より改変

正答はエ。

エは「人件費」からコストマネジメントと分かります。

アは連絡手段なのでコミュニケーションマネジメント。

イは分かりにくいですが、資源マネジメント(リソースマネジメント)です。資源には人も機器や設備も含まれます。

ウは「スケジュール」から、そのままスケジュールマネジメント(タイムマネジメント)。


プロジェクトメンバ間のコミュニケーションのルールを明確にする施策はどれか。
ア:作成すべき成果物を定義する
イ:実際に使った費用を把握し、計画とのずれがあれば対策する
ウ:スケジュールを作成し、進捗管理を行う
エ:情報の作成や配布の方法を明確にする

「ITパスポート試験 令和2年度問50」より改変

正答はエ。

  • アの「成果物の定義」は、スコープマネジメント

  • イは「費用」なので、コストマネジメント

  • ウは「スケジュール」から、タイム(スケジュール)マネジメント

  • エは「情報の配布方法」からコミュニケーションマネジメント


プロジェクトマネジメントでは、スケジュール・コスト・品質のバランスをとることが重要である。開発スケジュールを計画より短縮することになった場合の対応として、適切なのはどれか。
ア:コストが増加してでも資源を追加して、スケジュールを遵守するよう検討する
イ:開発するシステムの高機能化を図って、スケジュールを遵守するよう検討する
ウ:プロジェクトの対象スコープを拡大して、スケジュールを遵守するよう検討する
エ:プロジェクトメンバーを削減して、スケジュールを尊寿するよう検討する

「ITパスポート試験 令和5年度問45」より改変

正答はア。特段覚える問題ではありません。

イについて、開発するシステムを高機能化すると、開発工数が増えてしまうので、スケジュールを守れなくなります。高機能化によってシステムの適用範囲(スコープ)が広がっているので、スコープマネジメントの管轄です。

ウについても、イと同じです。スコープ(範囲)を拡大すると工数が増えて、スケジュールが守れなくなります。

エについて、人員が少なくするのはスケジュールを守れなくなる方向ですね。


プロジェクトマネジメントの進め方に関する説明はどれか。
ア:企画・要件定義・システム開発・保守の順番で進める
イ:戦略・設計・移行・運用・改善のライフサイクルで、ITサービスを維持する
ウ:目標を達成するために計画を作成、実行中は品質・進捗・コストなどをコントロールして、目標達成に導く
エ:予備調査・本調査・評価・結論の順番で、リスクの識別・コントロールが適切に実施されているか確認する

「ITパスポート試験 令和元年度問41」より改変

正答はウ。「品質」「進捗」「コスト」からプロジェクトマネジメントと分かります。

アは、システムやソフトウェアの開発手順です。

イは、「ITサービス」よりITサービスマネジメント。>>2~4問でるITサービスマネジメント対策Note<<

エは、システム監査です。「予備調査」「本調査」の手順、「適切に実施されているか確認」から分かります。>>必ず1問でる監査対策Note<<


A社がB社にシステム開発を発注した、B社でのシステム開発プロジェクトの関係者1~4のうち、プロジェクトのステークホルダになるものを全て挙げたのはどれか。
1:A社の経営者
2:A社の利用部門
3:B社のプロジェクトマネージャ
4:B社を技術支援する協力会社

ア:1, 2, 4 イ:1, 2, 3, 4 ウ:2, 3, 4 エ:2, 4

「ITパスポート試験 令和4年度問52」より改変

正答はイ。

ステークホルダは、全ての利害関係者です。

利用者やスポンサーは思いつきますが、開発者自身・開発者の所属組織なども含まれます。

かなり広範囲に考えて大丈夫です。


2:横断的な判断は、統合マネジメント

1つのマネジメント分野では対応できない「横断的な判断」は、統合マネジメントによって行います。

システム開発プロジェクトで、利用者からの要望に対応して、プログラムを追加で作成する。当該プログラムを作成するために、プログラマを割り当てることにした。また、結合テストの開始予定日までに全てのプログラムが作成できるように、スケジュールを変更した。このような変更要求をマネジメントする活動はどれか。
ア:資源(リソース)マネジメント
イ:スコープマネジメント
ウ:スケジュール(タイム)マネジメント
エ:統合マネジメント

「ITパスポート試験 令和3年度問42」より改変

正答はエ。

問題文から、

  1. 「プログラムを追加」で、スコープが変わり

  2. 「プログラマを割り当てる」のでリソース(資源)マネジメントもして、

  3. 「スケジュール変更」から、スケジュール(タイム)マネジメントも必要です。

ア~ウの1マネジメント分野では対応しきれません。横断的にマネジメントするには統合マネジメントが適切です。


システム開発プロジェクトにおいて、当初の計画にない機能を追加する場合のプロジェクト統合マネジメントの活動はどれか。
ア:機能追加にかかる費用を見積もり、必要な予算を確保する
イ:機能追加のために、納期を変更するか要員を追加するか検討する
ウ:機能追加のために必要な作業や成果物を明確にし、WBSを更新する
エ:機能追加のために所要期間を見積もり、スケジュールを変更する

「ITパスポート試験 令和2年度問40」より改変

イは納期(スケジュール)や要員(リソース,資源)と横断的な判断が必要なので、統合マネジメントです。

消去法でも確認しましょう。

  • アは予算だけなので、コストマネジメント

  • ウはWBSの更新(作業一覧)なので、スコープマネジメント

  • エは期間・スケジュール変更から、スケジュールマネジメント


3:一番分かりにくのは、スコープマネジメント

計画時に、成果物や作業の一覧を定義するのがスコープマネジメントです。プロジェクト進行中も、実際の成果物一覧と比較をします。

プロジェクトマネジメントにおける、スコープマネジメントの失敗事例を全て挙げたのはどれか。
a:必要な人件費を少なく見積もったので、予算超過した
b:開発期間を短く設定して、予定期間で完了できなかった
c:開発する機能の範囲を決めずに、プロジェクトを開始したので、開発期間を超過した
d:実施すべき作業が幾つか計画から欠落していたので、システムを完成できなかった

ア:a, b イ:b, c ウ:b, d エ:c, d

「ITパスポート試験 令和5年度問54」より改変

正答はエ。

aの「人件費」による予算超過は、コストマネジメントの失敗事例です。

bの「開発期間の設定」ミスは、タイムマネジメントの失敗事例です。

cは正しい。「機能の範囲」がスコープを指します。スコープマネジメントをしなかったので、タイムマネジメントにも影響がでています。

dは正しい。「実施すべき作業」の定義は、スコープ検討時のミスだから。


システム開発プロジェクトにおいて、成果物として定義した画面・帳票の一覧と、実際に作成した画面・帳票の数と比較して、際と理由を確認するプロジェクトマネジメントの活動はどれか。
ア:資源(リソース)マネジメント
イ:スコープマネジメント
ウ:調達マネジメント
エ:品質マネジメント

「ITパスポート試験 令和3年度問47」より改変

成果物を定義したのはスコープマネジメントなので、実際との比較もスコープマネジメントで行います。

エの品質マネジメントと迷いますね。

問題文は「定義された一覧」と「実際作成した数」を比較しています。品質マネジメントでは、個別の成果物を細かく見るのでちょっと違いましたね。

アの資源マネジメントは、人員や機器の割り当てなど。ウの調達マネジメントは入手なので違います。


プロジェクトスコープを定義したプロジェクトスコープ記述書の説明はどれか。
ア:成果物と作業の一覧・プロジェクトからの除外項目を記述している
イ:成果物を作るための各作業の開始予定日と終了予定日を記述している
ウ:プロジェクトが完了するまでのコスト見積もりを記述している
エ:プロジェクト内の体制において、メンバの役割・責任・必要スキルを記述している

「ITパスポート試験 令和元年度問51」より改変

正答はア。「成果物と作業一覧」の洗い出しは、成果物の範囲(スコープ)を決めているので、スコープマネジメントです。

  • イ:「開始予定日」「終了予定日」からスケジュール(タイム)マネジメント

  • ウ:「コスト」からコストマネジメント

  • エ:「メンバの役割~」なので資源(リソース)マネジメント


4:変わった問題

純粋なプロジェクトマネジメントの用語・事例問題ではなく、QC7つ道具やリスク対応など、別ジャンルの学習内容とリンクさせた問題も出ていました。

システム開発プロジェクトの品質マネジメントにて、品質上の問題と原因との関連付けを行って根本原因を追究する方法の説明はどれか。
ア:上限と下限を逸脱する事象から根本原因を推定する
イ:原因の候補リストから、原因に該当しないものを削除していき、残った項目から根本原因を推定する
ウ:候補となる原因を魚の骨のような形で整理し、根本原因を推定する
エ:原因を分類して、件数が多かった原因の順に、対処すべき根本原因の優先度を決めていく

「ITパスポート試験 令和4年度問48」より改変

正答はウ。問題文の「品質上の問題と原因」「根本原因を追究」より、特性要因図の説明と当たりがつきます。

ウは、「魚の骨」「根本原因」から、特性要因図(フィッシュボーンチャート)と分かります。

アは、管理図。「上限」「下限」から分かります。

イは、すでに候補リストを作っていて、問題文の「関連付けを行って根本原因を追究」をしていません。QC7つ道具で強いて言えば、チェックリストでしょうか。

エも関連付けをしていません。QC7つ道具のパレート図(ABC分析)のようにも思えますね。


次の問題は、リスク対応の知識が必要です。

  • 低減は、リスクが顕在化する確率・損害規模を小さくする対策です。

  • 回避は、リスクを完全に回避します。個人情報漏えいを完全回避するには、個人情報を「取り扱わない」のが一番です。

  • 共有は、保険加入などをして社外組織とリスクを共有・移転します。

  • 受容では特に対策しません。発生確率や規模が小さい場合、判断します。

詳しくは、>>リスク対応の対策Note<< で後で学習してください。必ず1問出るし、4用語なので重要な得点源になります。

システム開発プロジェクトで、PC納入が遅れるとテスト工程の終了が遅れるリスクがある。ア~エの対応策を決めたが、リスクの受容に該当するものはどれか。
ア:全体のスケジュール遅延を防止するために、テスト要員を増やす
イ:テスト工程の終了が遅れても本番稼働に影響しないように、予備の期間を設ける
ウ:テスト工程の遅延防止のための費用を納入業者が補償する契約を結ぶ
エ:テスト工程用のPCがなくても、テストを行える方法を準備する

「ITパスポート試験 令和2年度問54」より改変

正答はイ。

  • ア:増員によって発生確率を低めているので、リスク低減

  • イ:遅延を防ごうとしていないため、リスク回避

  • ウ:納品業者(社外業者)に補償させるので、リスク共有

  • エ:リスク要因であるPCがなくても遅延させないので、リスク回避

プロジェクトマネジメントで、リスク対応は珍しい問題でした。まずは、良くでる出題形式から学習を始めてください。>>リスク対応の対策Note<<


まとめ

プロジェクトマネジメントの問題は、

  • 個別のマネジメント分野

  • 統合マネジメント

  • スコープマネジメント

の3つが解ければ大丈夫です。

タイム・コスト・リスク・コミュニケーションなどは実感が沸きますし、リソース・調達・品質も用語が出れば想像がつきます。

ステークホルダも「利害関係者」、統合マネジメントも「全て」と覚えてしまえばどうにかなりますね。

最後はスコープマネジメント。「範囲」というのがなかなか分かりにくく、開発するシステムの機能だったり、成果物や作業一覧だったりと少し混乱してしまいます。

この順番で考えていって、「スコープマネジメントに要注意だったな」「最後に一応疑っておくか」と解いていけば正解率は上がりますよ。

必ず2問でています。まずは1問確実に得点していきましょう。

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p.s. 普段は >> 専門学校とIT就職のブログ << をやってます。

でわでわ(・ω・▼)ノシ


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