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#3 「サスティナブルな創造」(鼎談編)

日本酒の枠を超え、色とりどりの分野で活躍する「ニホンジン」を訪ね、
日本の輪を広げて行きます。それはまさに「和の輪」。
第3回の最後は、一般社団法人the Organic代表理事・小原壮太郎さんとの対談(
前編後編)に続いて、スーパー高校生、山本乃々佳さんを交えて3人の鼎談をお届けします。


小原壮太郎さん(左)・山本乃々佳さん(中央)と、薄井一樹(右)

山本乃々佳さんは、栃木の高校3年生、将来は政治家になりたいという希望を抱き、日本の明るい未来を切り開く若きインフルエンサーとして活躍しています。
「高校生プレゼンテーションコンテスト国際学生賞高校生プレゼンテーションコンテスト国際学生賞」「高校生プレゼンテーションコンテスト最優秀賞」など輝かしい成績を残しながら、さらには「サステナブルコスメアワード」の学生審査員に高校生としてはじめて選出される等、オーガニック・サステナビリティの推進においても幅広く活躍されています。
また、the Organicの小原代表のアシスタントや、酒蔵「仙禽」コンサルも手がけています。
高校では男子バスケットボール部のマネージャーも兼任。部活も全力でサポートするまさにスーパー高校生。

薄井 スーパー高校生の山本 乃々佳さん。いつも乃々佳ちゃんって呼ばせてもらってますけど、自分の高校生時代と比べると、ほんとに頭が下がります。で、今,現役高校生な訳ですけれども、普段どういう活動をしてるんですか?
 
山本 アースデイ東京ユースっていうアースデイ東京の学生版があるんですけど。これは環境省のアンバサダーの方と一緒にイベントをして、オーガニック給食を広めるために Z 世代としてどう関わっていくかということが目的でした。
 
薄井 うちの酒粕※からアップサイクルして作られた美容液が受賞したサステナブルコスメアワードの高校生としてはじめて選出された学生審査員でもあるし。(※仙禽のシグネチャーのお酒「仙禽オーガニックナチュール2023」の酒粕。オーガニック米で作り、且つお米を磨かないとか、添加物を入れないとか、江戸時代の製法で作った日本酒の酒粕)
 
山本 元々、環境活動の一環として始めたのが、廃棄されてしまう外装不良品のコスメを販売するという活動で、それをきっかけに、サステナブルコスメアワードの審査員もさせていただいたのです。
 
薄井 小原さん、山本さんのお二人には、仙禽の農業についても、色々とアドバイスをいただきたいと思っていますが、今、サステナビリティという言葉が一般化して、環境であったり、一人一人の人間の健康であったり、どんどん 見直されていく いい時代にもなっていくと思いますよ。でも、乃々佳ちゃんの若い世代にはどうなのかなあ?
 
山本 私の同年代の子達は、ほんとに日本に対してもう呆れてるっていう部分もありつつ、怒りを持ってる人もいたり、それにはSDGs教育を大人から押し付けられてるっていうのもあるし。私たちの間では正直SDGsって聞いたら、「SDGsか…」みたいな風潮になりつつあるんですよ。
 
薄井 ええ! そうなの?
 
山本 だから言葉に頼られすぎないのも大切だなと思っていて、生活の一部の中に「あっ、これってサステナブルだったんだ」とか「あ、これってオーガニックだったんだ」みたいな、少しずつ介入していくということも大切だと思ってるので、そこに自分が関与できたらなって思っています。
 
薄井 素晴らしいね。
 
山本 実は若者の間では、環境にすごい悪いことをしてきたのは、今大人の50代とかの方が多いと思っているっていうデータも出てるので、そんな大人から押しつけられるという怒りを持ってる若者が多いと思います。
 
薄井 おお、その辺りどうですか? 50代にこれからなろうとする小原さん・・・
 
小原 いやあ、俺、ちょうど明日50になるわ(一同爆笑)。でもねえ、若い子達が絶望感とか、怒りとか持つのはほんとにもっともだし・・・でもそれをもっと出すべきだなとも思いますよね。一樹さんとか僕の世代は下の世代に対して責任取らなきゃいけないし、高度経済成長で大量生産・大量消費で破壊してきたものを次につなぐ「つなぎ役」の世代な気がするなあ。
 
薄井 具体的にどんな風につなぎますか?
 
小原 僕は全国有機農業推進協議会や日本オーガニック会議などのオーガニック農業推進団体にも関わり、60、70代の先輩方と話しています。有機農業系の先輩っていうのはその大量生産、大量消費の中で、四面楚歌の中で戦い抜いてきた人たちなので、ある意味、その世界を0を1にしてきた、恩人というかパイオニアね。でも先輩世代だけでは成し得なかったことをこれからやるのが僕ら世代と若い世代。今、まだオーガニックは0.5、0.6パーセントなわけですから本当にちゃんとメジャーにしていく。これまでの苦労をなんとか乗り越えて壁ぶち抜いた時に、ようやく次世代に残せる社会の土台が築けていくので、未来にちゃんと続く社会環境の仕組みを社会実装して、それを当たり前にしてくっていうのが僕らの役目だと思います。
 
薄井 僕は「仙禽」という日本酒を作る中で、次世代につなぐ土台作りに有機農業の米を大事にするということから始めたわけです。最初は小さな事かもしれないけど、日本酒の作り手として、まずはそこから・・・

薄井 ところで乃々佳ちゃんは、幼い時から意識高い系だった?
 
山本 いや、そんなことなくてですね。私、3歳の頃に難病指定の病気が見つかって、小学校の時も治療のために病院に入院することが多かったので、学校に行けない日も続け内向的な性格だったと思います。
 
薄井 そうだっんだ。で、体質改善したの?
 
山本 母がオーガニックに凄い興味を持って、家でもオーガニックの食品を取り入れて。ご飯は玄米に変えてから、野菜もオーガニック。すると数値も良くなって、体質改善された実感はあります。
 
薄井 乃々佳ちゃんの今のサステナブルな生活、サステナビリティライフってのは友達はどう捉えてます?
 
山本 私が環境問題に興味を持って活動を始めても、最初は「また何やってんの?」とか、中には「オーガニックってなんだよ」みたいな凄いバカにする人もいたんですけど。SNSで発信する中で、最初は全然応援してくれなかった人たちに、段々どんどん応援してくれるようになりました。手のひら返しすみたいに「あー凄いね、オーガニックって肌綺麗になってるからいいのかな?教えてよ」とか、凄い自分が発信できてるのかなと実感できる時があるので、凄いやりがいを感じる時があります。
 
薄井 一人でもそういう人が増えていくとね、嬉しいですよね。若い世代にもっともっと広めてほしい。僕たちは、なかなか高校生にリーチすることってできないんですから。
 
山本 私自身、世代をつなげる 架け橋にもなりたいなと思っているので、その点でお力添えできればと思います。
 
小原 乃々佳ちゃん世代の怒りとか悲しみとかを未来の希望に変える、僕らもそのエンジンにならなきゃいけないね。踏ん張りを効かせて!

薄井 僕は仙禽のある栃木県さくら市っていう町をね、オーガニックタウンにしてこう、オーガニックヴィレッジにしてこうっていう、といったビジョンをちゃんと持っていて、1つの小さな企業が、皆そういう意識になればね、やがて日本全体が大きく変わると思っています。
 
小原 仙禽さんがオーガニックなお酒を作って、世界からも評価されるような日本の食文化の最上級のプレゼンテーションとして世に放っていく・・・
それってものすごい努力がいることだと思うけど・・・僕らも一緒に何か作れたらいいし、乃々佳ちゃんみたいな若者が「こういうことやったら面白いよね」「こういう風にやれたら私たちも友達も皆参加しちゃうよ」みたいなのを情報交換、意見交換しながら作っていくのが、やっぱりすごい大事だと
思ってるので。
 
山本  楽しくてワクワク!
 
小原  そういう意味でも仙禽さん、一樹さんが町のオーガニック化を考えるっていうのはすごい素敵なことだし、日本の新しいまちづくりのモデルになるんじゃないかなっていうのはすごい可能性感じますね。
 
薄井 製造業という二次産業の仙禽もこれから有機農業の会社を新しく別に作って一次産業も手がけてやっていこうとしています。今後小原さんにもいろいろアドバイスをいただくことになりますけれど、乃々佳ちゃんからみてどうですか?
 
山本 ただ農業をやるだけじゃなくて、その地域の皆さんを巻き込んで地域が一体となって農業とかオーガニックとかに取り組んで行こうって姿勢が本当に素敵だなと思うので、もうそれこそ若者・同年代の人たちにも知ってもらいたいので、そこで農業を知るイベントを一緒にできたらいいなと。
 
薄井 例えば?
 
山本 学校生活でいうと、給食のお米をそのオーガニック米にするのであれば、そのオーガニック米を実際に自分たちで作るっていう体験をするのが一番いいなと思っているので。例えば「学校米」を作る田植え体験から始めて、普段食べているお米との差とかを感じたりして、あ、そこで 「オーガニックっていいんだ」って実感することが大切だと思ってるので、ぜひそういう活動をやっていただければと思います。
  
薄井 なるほど!そうですね。日本酒を作るためのお米。これは毎年 僕たちは 手植えをするんですよ。

小原 そういえば・・・栃木県って魅力度ランキング的なものは低いじゃないですか。
 
薄井 あー、出た!この話。(一同笑)
 
山本 栃木県民は、もうその話、聴きたくないですよね。
 
小原 でも、さくら市をオーガニックタウン、オーガニックヴィレッジにしていくっていうビジョンの中で、町の魅力度上げるのって、県全体の魅力を上げるってことと、切っても切り離せないことだと思うんだよね。世代を超えたコミュニケーションにもなっていくし、今はだいぶ衰退してきたこの日本の祭りみたいな文化を再考することにつながるんじゃないかなとも思いますよね。
 
山本 そうですね。必然的にオーガニックが取り入れられてるお祭り、サステナブルな祭りっていうのがあったら、本当に地域にも優しいし、かつ、人も呼び込めるということで なかそれが本当に栃木県の中で大きな一大イベントみたいな感じになったらもっと人も呼び込めるし、しかも 若者も楽しめるし、その多世代交流もできるということで 本当に素敵なイベントになると思うので、私たち若者と、小原さんや一樹さんの世代と一緒にタッグを組んでなんか活動して栃木県を盛り上げていきたいなって思います。
 
薄井 やりましょう。サステナビリティとかSDGsというものを、押しつけではなく、若い人はファッション化できるから!
 
小原 本質を見失ないようにしながら実現したいですね!
 
薄井 そう、本質から離れないように、そういう体験を若いうちからしていくというのはすごく大切かな。食育もそうですけどね。たしかに本質を失った大人は、自分たちで地球を汚し、自分たちで負担をかけてきたにも関わらず、バッチをつけて、アピールするんだけどね。
 
小原 (胸元のバッチを見て)あ、つけてる……笑
 
薄井 本質がある人はいいんですよ(笑)。その辺の見極めというものを若いうちからきちんとしてもらえればね、日本の未来は明るいかなって気がしますよね。
 
小原 そうですね。まあ 本当にやっぱ体験。情報を読むだけではなく、人間は五感があって、まあ六感もあるかもしれないけど、空気や食物に触れて、甘みとか苦味とか色んな味わいだけでなく、匂いとか、香りとか、嗅覚とかもやっぱり強烈な記憶に残るんで、そういう強烈な体験をどれだけできるかというのはすごい大事だし、やっぱその場を僕ら世代が提供してくっていうのは とっても大事なことだと思います。
 
薄井 大事だね!
 
山本 栃木愛を持って!
 
薄井 町を僕も変えたいっていうのが、楽しみというよりは責任の方が大きいのかもしれないけど、でも自分自身もその健康になれるんだとか町の景色が良くなるんだとか、そういったことによって楽しみがあるから取り組めるんだと思います。大先輩から色々と教わって、そして仙禽の、将来的な大きなビジョンであるオーガニックヴィレッジ・タウンという大きな目標があり
ますから、共感・共鳴が大事なので、引き続きご尽力よろしくお願いしたいと思います。
 
小原 ぜひぜひ。
 
薄井 今日はありがとうございました。
 
小原・山本 ありがとうございました。
  
※#4に続く
 


 
 

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