犬の散歩と人間力

動物が好きなのだけど、ペット界の王様である犬猫を飼ったことがない。
子供の頃の家庭事情もあったのだが、大人になった今でもペットがいない生活を送っている。じゃあそれほど動物好きじゃないんじゃない？と思われそうだが、犬猫を飼ったことがない話をすると意外！とびっくりされるくらいには大好きなのだ。

私はまず、ペットを飼うことはとても凄いことだと思っている。だって私は自分のことで精一杯だとのに、自分以外のお世話をしているなんて！犬なら毎日の散歩も欠かせないだろう。"毎日"、だ。しかも朝夕一日2回の可能性だってある。自分じゃない命のお世話を毎日する。それって物凄いことなのだ。
だから私からするとペットを飼っている人達のことは、飼い主様って呼びたいくらいの尊敬レベルなのである。

知らない世界

毎朝歩くことを日課にしていて（犬の散歩に比べれば一人で歩くのなんてお気楽なものだ）、普段はふらりと気分次第でルートを変えているのだけど、偶然にも何日か同じ時間に同じコースを歩いたときがあった。すると、全く同じ場所で全く同じタイミングで犬の散歩中の人と毎日遭遇したのだ。しかも、何ペアも。

ということは、だ。
彼らは毎日同じ時間に同じコースを歩いていることになる。しかも、犬の散歩中の人同士で挨拶を交わしたり、おしゃべりが始まったり、そんな光景を目にした。毎朝会う人同士で会話をし、犬同士もじゃれ合う。（最強かわいい）

私はというと、犬を連れている訳ではないのでその輪には入れない。でも私は確信している。犬は覚えているのだ、私のことをーーー。
数日経ってからすれ違うときに犬に二度見されるようになり、信号待ちではこちらを凝視している。絶対に覚えられている。だけど、ただの一度もこちらから声はかけなかった。

なぜなら私は、犬を飼う世界のルールを全く知らないのだ。

犬を飼っている人達の話を聞いて初めて知ることがたくさんある。例えばとても可愛い犬がいてその犬がこちらに来ようとも、勝手に触っちゃいけないとか。飼い主様に許可を得てから触るという暗黙のルールらしい。足元に犬が来ていたら反射神経的に「わあ〜」と遊びたくなってしまう。

あとは大きい公園や広場でも、人がいれば基本的にはリードを外してはいけないこととか。犬が駆け回っているイメージがあるのだが、それは近くに人がいないところを選んでいたり犬を離して良い場所だったりするのだろうな。

多分犬を飼ったことがある人からすると当たり前の一般常識のようなのだが、飼ったことがない私からするとどれも初めましての案件で、暗黙のルールは教えといてくれよという気持ちになるのだ。（犬、可愛いから全然いいけど。）

だから無闇に距離を詰めないようにしている。ルールを知らないのだから、簡単に破ってしまう気がして。しかもそれを、飼い主様と犬の邪魔になってしまうことが、自分を許せないのだ。

飼い主様になるための人間力

ご機嫌にお散歩している犬を見ると本当に癒される。飼い主と犬がおしゃべりしていてもほっこりする。その空間は愛情いっぱいに包まれていて、外野である私にまで幸せが伝染するのだ。愛情いっぱいの飼い主様は、人間力がめちゃくちゃ高いのだと思う。本当にすごい。

私もいずれは犬や猫と一緒に生活したい。
そのためにはやはり自身の人間力アップが必要だ。私はまだまだ自分以外の命を預かれるレベルにはないと思うから。しばらくは、愛情に包まれた空間からこっそり幸せをお裾分けさせてもらおう。