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話せば分かる!わけじゃない ‼️ 49歳主夫の精神科入院日記(13)

主夫の薄衣です。

現在は退院して、通院中です。
体調は日々変化し、風邪をひいて服薬した時のように、一本調子でスゥ~ッと回復していくわけではありませんが、メチャメチャ酷くなっていないだけでも、今は良しとしています。

今回はゆうちゃんとの日々、というか有無を言わさず押しつけられる行為に対して、私なりに取った行動について書きたいと思います。


前回の記事はこちら。

なお、本稿に登場する人々のお名前は、薄衣がつけたニックネームなど、全て仮名です。


薄衣 離脱します

ゆうちゃんと行動を共にして2週間ほど経った頃です。この頃になると、ゆうちゃんはもう自動的に、ロビーで私の顔を見ると寄ってきます。

にも関わらず、つまり彼や私の意思に関係なく、連れてくる2人はいつ何時でも連れてくるし、私にはケアを求め、ゆうちゃんにはケアしてもらえとなるのです。それがとても嫌になっていました。

ある食事時。

ボンちゃんがゆうちゃんの手を引き、
私の隣に座るよう促しています。

放っておいても1人で来られるんですけどね、彼は。

そして

「良かったねぇ、いつも仲良しで。
楽しそうだねぇ~」

ゆうちゃんにそう言ったかと思うと、

私に

だろ?

と一言。

この一言で、私の我慢が限界に達しました。


私は無言で席を立ち、自室に食事を運んで食べました。
背中の方ではボンちゃんが
おい、こいつどうするんだ!?
と騒いでいます。

ゆうちゃんからは、あとで

「おっちゃんどこ行ってたのぉ?」

と、寂しがられ申し訳なく思ったのですが、
あそこが私の限界だったのでしょう。

すると、
ある看護師さんがそれを見て
私の後を追ってきました。

そこで私はこれまでの経緯について
極々簡単に話し、今後は自室で食事をとる旨を伝えました。

すると

「そういうときは、頑張らずにすぐに看護師に相談してください。薄衣さんは患者さんです。ゆうちゃんのケアは看護師がします。」

また

「このことは看護師間で共有します。
(問題の)おふたりのことは見ていますから。」

と言ってもらえました。

この時、確かに安心はしたのですが、
それよりも自分がとても情けなく思えて
複雑な心境でした。

かといって、ゆうちゃんを押しつけてくる2人と、どうコミュニケーションをとればいいものかも分からず。

私からすれば、話が通じないのです。

私も言うことは言うのですが、いつも一方通行で、こちらの意思表示はシャットアウトされてしまいます。


そのため、

こんなことも解決出来ないダメ人間。

自分のことをそう捉えて、自己嫌悪に陥っていました。

かなわんなぁ

このあと、結局離脱するのは食事の時だけなので、ゆうちゃんは相変わらず私の隣で多くの時間を過ごしました。


ただ、それを見た看護師さんが

「薄衣さん、チョット離れても大丈夫ですよ。休もうか。」

などと、
声をかけに来てくれるようになりました。

「薄衣さん、ここに休みに来ているんだから、その仕事(ゆうちゃんのケア)は看護師に任せて」

とも言ってもらえました。

(ゆうちゃんは自動的に来るから、
  俺にはなんともしようがないんだけどなぁ)

と思いつつも、少し気が軽くなりました。

ゆうちゃんとの時間は、元々そんなにストレスでも無かったのですが、それ以外のところにも、看護師さんのケアが入るようになりました。

例えばボンちゃんが、ゆうちゃんの手を引っ張って私の方に向かって来た時、看護師がそこへ割って入り制止してくれたことも。

また、丸さんが私の隣に座ると、多くの場合その後ろに看護師が立つように。そして丸さんが気づくと、早々に私の隣を離れるようにもなりました。

看護師さん達のおかげで、
嫌なストレスから解放されました。



しかしそこは丸さん。
転んでもただでは起きません。


私とザルさんがロビーのベンチで談笑していた時、彼女がザルさんの隣に座ったかと思えば、

ねぇ聞いて、薄衣さんがゆうちゃんをひとりぼっちにしているの。可哀想だと思わない?

とザルさんに話しかけます。
もちろんその隣に私がいるのに、です。


ザルさんとて、
ゆうちゃんの対応にかなり苦労された方。

私とザルさんは顔を見合わせ、渾身の苦笑いを見せるしかありませんでした。

心の奥底から

この人にはかなわんなぁ

と思った薄衣でした。



振り返ると

私はようやく行動に移しました。
ようやくです。

でも看護師に相談するでもなく、
1人で戦線離脱することを選んだのです。

まだまだですね

看護師から声をかけられた時も、
なんやら情けなくて、この時の事情を詳しく説明できませんでした。

説明する時も卑屈になって、
早口でしどろもどろでした。

それでも、そこから汲み取って対応してくださった看護師さん達には感謝です。

それと、私の離脱に気づいてくれた看護師さん。この方、独房の時に私の買い物を忘れた方なんです。

あの時は怒り心頭になりましたが、
とってもお世話になりました。

独房での出来事はこちらから。


何がどうなっていくのか。
人って分かりませんね。

また、私は

話せば分かる

という先入観を強く持っていたようです。

なので、丸さんにせよボンちゃんにせよ、
私は頑張って説明し続けました。

止めて欲しい、
これはおかしい、と。

しかし通じなかったのです。

あの時私は、
打つ手無しの状態に陥りました。

しかし、丸さんがザルさんに話した時、
苦笑いしながら思いました。


話せば分かる わけじゃない


と。また

通じない人もいる」と。

文化の違う外国人のように、
そもそもが違うんだと思ったのです。


そもそも
今回のことは
ゆうちゃんへの自らの不安を払拭出来ればなんでもいいわけで、たまたまその手段が私だったのです。


だから、そもそも私の話なんて、彼女らに入る余地は無いんですよね。聞く耳が無くても、当然なんでしょうね。




そんなもんだよなぁ、

くらいに今では思えます。


当時はなんとも、自分の無力さに打ちひしがれていましたが、今では自分なんて

そもそも そんなもん


だと思っています。


今回も、最後までお読みくださり
ありがとうございました。


続きます。

今回お借りしたタイトル画像はT&S夫婦さんです。
かわいい画像ありがとうございました。


私は相手の【?】に気づくのが遅かったです。
相変わらず、無駄な気苦労の多い男です。

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