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人と違うのは当たり前 49歳主夫の精神科入院日記(19)

主夫の薄衣です。

息子の描く絵を思い、
以前こんな記事を書きました。

今回は私が入院中に体験した、
患者という大人達の【くらべる】お話しです。


人のことが気になる

私が入院している病棟には、
概ね30人前後の患者がいました。

病気の種類、程度、
また障害の種類、程度も人それぞれ。

そこに至る経緯、バックボーンも
もちろん様々です。


入院した時期、その時点の状態、
そこからの回復の具合等々。
そんな患者の状態を見ながら、
医師は治療計画を進めている、
と思います。

だから、退院までのプロセスは
人によって全然違います。

私がいたのは急性期病棟。
基本3ヶ月がリミットです。
でもそこまでに回復しない方は、
そのまま慢性期病棟に移られていました。

逆に1週間から10日程度個室にこもって、
そのままサクッと退院される方も。

前提として、入院から退院までは
人それぞれのはず。

でも、患者側としては、
ほかの患者の動向が気になるようです。

よく聞く声が、

「あの人、私よりあとに入ったのに
 ○○なんておかしい!!」

というもの。
ものすごく小さなことを、
倍率をグン!と上げて見てしまい、
そこだけを比べちゃうんですわ。

その結果、取り乱す人もいます。

みんな病状が違うんです。
前提がバラバラなんですから。

とすれば、退院までの道のりだって、
バラバラなのは当たり前です。

これはしんどいですよ、
ご本人にとって。

薄衣 比べられる

私も、病室が常時解錠され、
程なくして外出許可が出た頃、
他の患者から

「薄衣さんは私より後から入ったのに、
 もう外出許可が出るなんて、おかしい!」

と言われました。

私としては

「そんなん言われても、困ります・・・」

で終了です。
するとこの方、なんと
主治医に手紙を書いて訴えました。

「私も早く外出許可を出せ!
 一時帰宅させろ!
 そのあと早く退院させろ!」

みたいな手紙だったそうです。
そうしたら、本当に
外出許可から退院までが
トントン拍子に進んだのです。

手紙を書いてから
1週間チョットでしょうか、
退院されました。

退院されたのは
ご本人のお望みどおりなのでしょうけど、
どう見ても・・・・
少し心配になりました。

また、別のある方は

「薄衣さんは主治医と上手くやってるから、
 なんでも早いですね。羨ましいわぁ!
 私は嫌われているので、
 意地悪ばかりされるのです。
 ほら、今も私の方を見て
 嫌な顔をしたでしょ?
 やっぱり嫌われとるわ。」

と言います。

私的には

「そういうとこですやん。」

と言いたかったのですが、
病気に口を出すのは
患者の領分ではありません。
安易に意見をすると、ここでは危険です。
意図せず、お相手を苦しめることにも
なりかねません。


比べても仕方がないのに

皆さん結局、
入院日数や病室の解錠時間、
外出や外泊許可の早い遅いなど、
その前提を無視して
ある特定の部分だけにとらわれ、
比べることでストレスを溜めていました。

人より遅い!
人より損してる!

ということがお怒りに繋がっていきました。

遅いには理由があるし、
損しているわけでも無いのに。

なにより、ここ(病院)には
自分の病気の治療に来ているのですから。
人より早いとか、遅いとかや無しに、
自分の病気と向き合わないと・・・・・・




振り返ると

自分の病気と向き合う。
私はまだそれができたからこそ、
そう思えたんです。

危ない時はありましたが、
それでも早期治療が
できていたんだと思います。

だから、自分で自分を病人だと自覚し、
病状(今の心身の状態)の把握に努め、
治療のことをメッチャ考えました。

それは、しんどいことです。
それでも、
自分の病気と向き合ってこられました。

入院中、周りの方からは、

「自分は病気じゃないのに
    入院させられた!」


という声もたくさん聞かれました。

きっと、ご本人はやるせない思いや、
やり場のない怒りを、
もう抱えきれないほど抱えているんです。

そう思われるのも無理はありません。
それについて、
私がなんやかやとは言えません。
実際に様々な状況を見てしまったので、
なおさら。


改めて自分に置き替えます。
私はまだポンコツです。
出来ないことがたくさんあります。

最近はこんな感じです。

ただ、諦めずに続けていくだけです。
受け入れて、折り合いを付けながら。

デコボコでも、不格好でも、
道行く私以外のすべての人々が
私より幸せに見える時があっても、
比べず、諦めずです。

1歩1歩。今も歩みを続けています。
そしてこれからも。


今回も、最後までお読みくださり
ありがとうございました。

タイトル画像はたなかちこりさんから。
どんなに強い風に吹かれても、
なんとか立って前に進みたい。
そんな気持ちです。
ありがとうございました。

サポートに心から感謝です。主夫、これからも書き続けます。