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誰のため?そんなもん決まっとる! 49歳主夫の精神科入院日記(18)

薄衣です。

前回の日記で、「誰のせい?」
みたいなことを書かせて頂きました。

今回は「誰のため」です。

薄衣は20年間、
地方公務員として働きました。

その時、念頭にあったことは
「市のため」、「住民のため」です。
たとえ木っ端役人でも、
一応公務員として
お給料を頂いておりましたので。

でも、私の小役人感覚からみても、
それってなんのためにやってるの?
誰のためになるの?
ということもしばしば。

これが病気の治療となれば、
もちろん第一には、
【自分のため】
だと思うのですが。

今回は病棟でのそんなお話し。

世のため人のため

病棟には、
病気の種類も病状も、また年齢も、
実に様々なバックボーンを持つ人々が、
「同居」していました。

若い方から、お年寄り、
知的障害をお持ちの方も。

そして食事時は、
多くの患者がロビーに集結します。

なかには歩行に難のある人、
箸を使うのが困難な人、
ジッと座っていられない人 などが
いらっしゃいます。

うちの病棟では、基本
そうした人々に対するケアはありません。
看護師達は
部屋食の患者のケアにかかりきりです。

なので、看護師が気付いたとき、
食卓に着けていない人、
こぼしている人、
まともに食事を取ろうとしていない人
などは、よく怒られていました。

そのせいか、一部の患者さん達が
常に誰かのケアをしています。

部屋まで迎えに行ったり、
一緒に食卓について、介助したり。

私も、ある時まで食事時は
常にゆうちゃんと一緒でした。

ゆうちゃん問題は、
まずはこちらからご覧ください。

介助、というと大げさですが、
お世話を強要されていました。


ケアする人たち、みんな口々に言うのは
「あの人は私がケアしないとダメだから」
「あの人は1人じゃ
    ここまで来られないから」
「あの人は1人じゃ不安がるから」

などなど、
皆さん揃って「人のため」です。
まぁ、確かに仰るとおり。

そんなん看護師の仕事やん
とも思いますが、
それはそれとして、
そのケアは、
誰かのためにやっている
と言うわけです。

でも私やザルさんが
ケアを押しつけられたように、
「誰々のためだから」
という大義名分を引っさげて、
人に強要しだす人もいます。

どこにでもいるかもしれませんね。
こんな人は。
皆さんの職場にも
大義名分という看板を掲げて、
人様の懐にズカズカ入ってくる人
いませんか?

私のいた病棟での場合、
ケアされる人のためには
なるかもしれませんが、
私やザルさんのためにはなりません。
ある人のため、言わば私たちが
犠牲」に。

あちらを立てればこちらが立たず
となるわけです。

これって結局バランスですよね。

そして何より、お互いに患者。
あそこには、
自分の病気を治しに来ているはずです。


回りまわって結局は

モチベーションの1つとして、
世のため人のため、社会のため、
というのは大切です。

それがないとしんどい時も、
また続かない時もあるでしょう。

でもそれって結局は
自分のため
なるんじゃないかと思うのです。

イチローさんがかつて
こんな話をしていたそうです。

まずは自分。
自分のことができなかったら、
フォア・ザ・チームも何もない。

丹羽政善著『イチローフィールド』P133

フォア・ザ・チームで悩んだイチローさん。
自分がヒット打ってもチームが負けると
素直に喜べない。

そんな時、当時の仰木監督から
「選手は自分のすることをちゃんとやれ」、
「それでいいんだ」と
アドバイスされたそうです。

あの時、
あの病棟にいた私は、患者です。
閉鎖病棟という特殊な世界に
居ざるを得ない状態の、患者です。

あの時の私は、
まず自分の病気を治すのが何より先。
しかも、【誰のため】を考えても、
自分と家族のためです。

他の患者さん達のため、ではありません。

だから、
薄衣はゆうちゃんのケアを
NO!と言いました。
それは彼のためには
ならないかもしれません。

でも自分のためですから。
自己犠牲もほどほどにしないと、
持ちませんし続きません。

自分のために、自分を守りました。


一方で自己犠牲だって、
自分で決めたことなら、
長い目で見れば
自分のためになることもあるでしょう。

そんな時は、
ここまでなら受け入れられる。
でもその先はNO!
みたいな、原則やバランスを
自分で決めることが必要。

そこらへんの感覚は、
入院中かなり勉強さしてもらいました。



しかし、退院してみると、
まだまだ未熟だと気付かされる毎日。


自分の中に原則を持ち、
それに従って生きられる人間に
なりたいものです、いつの日か。

自分のため、
家族のため、
人様のため、
世の中のため、
世界のため、
宇宙のため・・・

おっとっと。失礼しました。
どこまで行けるか分かりませんが、
まずは自分のことから。

自分に伸びシロが残っていることを
切に願う49歳でした。

今回も最後までお読みくださり
ありがとうございました。

今回のタイトル画像はノラ猫ボチさんから。
我慢もほどほどに。ですよね。
かわいい猫さんをありがとうございました。

サポートに心から感謝です。主夫、これからも書き続けます。