マガジンのカバー画像

剪画作品紹介

99
剪画作品をご紹介します。
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

鳴門の渦潮

鳴門の渦潮

坂上 裕子 作 210×279mm
“Naruto Whirlpools” by Hiroko Sakagami

 徳島に旅行した方が一度は見に訪れるもの…鳴門の渦潮。大潮の際には渦の直径が30mにもなることがあり、このサイズは世界最大級のものだそうです。
 坂上さんは、その壮大な風景を剪画で表現しました。あえて黒ではなくグレーの輪郭線を使用。海の色も鮮やかなブルーではなく、少し灰色がかった優

もっとみる
稲の波

稲の波

菅谷 順啓 作 242×272mm
“A Wave of Rice Plants” by Jyunkei Sugaya

 もう 1点、水ではない波の作品をご紹介します。
 昨年逝去された菅谷さんの色紙作品を何点かお預かりしています。作品展の度に、その中から出展できるものがないかどうかチェックするのですが、この色紙にこの歌が添えられていなかったら、今回のこの「波」展にふさわしい作品だということに

もっとみる
甍の波

甍の波

高橋 隆 作 488×338mm
“Iraka-no-Nami (A Wave of Tiled Roofs)” by Takashi Takahashi

 今回出展された作品のほとんどが水に関係した波であったのに対して、甍の波を描いたのがこの作品です。5月の青い空。その下に延々と連なる瓦屋根…。今ではこうした純日本風の屋根だけが続く光景もなかなか見ることができなくなりました。
 規則正しく

もっとみる
クジラの学校 空もおよぐ?!

クジラの学校 空もおよぐ?!

石野 千鶴子 作 242×272mm
“School of Whales - Do they swim in the sky too?“ by Chizuko Ishino

 先日ご紹介した日野さんの描いた作品はリアルな感じのクジラでしたが、石野さんが描いたのはメルヘンの世界のくじらです。
 石野さんは波間にたくさん泳いでいるクジラをまず描いたのですが、何となく寂しそうな絵になってしまったとの

もっとみる
ブルーな気分の時は夢の世界へ

ブルーな気分の時は夢の世界へ

トドロワ プロレチナ 作 265×195mm
“Whenever I feel blue all I have to do is dream...” Proletina Todorova

 前回ご紹介した「自由な気持ち」と共に、この作品もブルガリアからの参加作品です。一見すると絵の構造がわかりにくいのですが、よく見ると女性がもの思いにふけっている様子が描かれています。
 作者は女性の顔や背景の一

もっとみる
自由な気持ち

自由な気持ち

ミハイロワ ヨシカ 作 185×270mm
“Feeling of Freedom’ by Yoshka Mihaylova

 高く波頭が立っている大波。手前からその波に向かっている人が小さく見えます。この波に乗っている時、重力から解き放たれて自由を感じることができるのでしょう。
 波の色と上部の空は写真を使用しているように見えます。波の細い先は海の部分を切り抜き、波頭の方は白い紙を切り抜いて

もっとみる
潮騒 I

潮騒 I

神田 いずみ 作 200×286mm
“The Sound of the Sea I” by Izumi Kanda

 波を背景に、貝殻を耳に当てて波の音を聞いている女性。彼女は何を思っているのでしょうか?何となくストーリー性を感じさせる作品です。
 神田さんは、この作品をいくつもの色和紙を重ねることによって作り上げてました。背景の水色の紙の上に、波を切り抜いてものを重ねて貼っていますが、場所

もっとみる
波の型遊び

波の型遊び

大野 愛 作 355×240mm
“Having Fun with Wave Shapes” by Ai Ohno

 日本の伝統模様青海波を思わせる図柄。大野さんは瓶の底や、身近にある道具を使って、この曲線を描いたそうです。そうした型を利用して描いたのが、このタイトルの由来だとのこと。
 青海波のように規則的に並んでいるようにも見えますが、その中には少しずつ波の違った形を描き込み、変化をも

もっとみる
波立つ

波立つ

日野 晴美 作 365×450mm
“Big Splash” by Harumi Hino

 圧倒的な波間に飛び上がるクジラと、そこから湧き上がる波。壮大な海の一瞬を描いたダイナミックな作品です。濃紺の和紙から波の繊細なラインを切り出し、下に一枚冴えた水色の和紙を敷きました。こ波頭の部分を切り抜いて、一番下に白い紙を置いてあります。
 一方クジラの部分は少しラメが入った黒とグレーの紙を重ねて

もっとみる
瀬戸の海

瀬戸の海

宮本 真理 作 100×148mm
“Seto no Umi - Seto Inland Sea” Mari Miyamoto

 今回の作品展の中で、最初に提出された、一番シンプルな作品です。ゆらゆらとたゆたう波の上に浮かぶヨット。その帆は遠く近く数隻漂っていて、とても幻想的に見えます。
 宮本さんは、紫色の和紙を切り出して、その下に薄い水色のむら染の和紙を置きました。その陰影が、波の揺らぎ

もっとみる
「波」展の飾り付け

「波」展の飾り付け

 今日は、お客様が遠くからいらっしゃっるとのことだったので、急いで飾り付け。テーマが「波」であるだけに、海の風景が多く、会場の中は爽やかな色合いになりました。梅雨の時期だとしっとりとし過る感じかも知れませんが、湿度が高くなりむし暑くなってくると涼しげに見えるのではないかと思います。
 水元公園の菖蒲は少し盛りを過ぎつつあるようですが、まだまだ菖蒲田に花は多く、紫陽花も美しい色合いで咲いています。梅

もっとみる