太陽との″未来の約束″を叶えた雨の笑顔がまぶしかったドラマ『君が心をくれたから』最終回
こういう”ジ・エンド”ならアリなのかも…そう感じさせてくれたドラマ『君が心をくれたから』の最終回でした。賛否両論いろいろあるかとは思いますが、私個人としては宇山佳佑氏の「ファンタジーラブストーリー」の世界観が、きれいに完結したラストだったと思います。
初回から重たい内容で、徐々に”五感”を奪われていく雨を観ているのが本当に辛い前半戦でした。太陽との楽しい時間が描かれたりはしたものの、一話ずつ何かを奪われていく雨の姿をこの先最後まで観続けられるのかどうか、正直まったく自信がありませんでした。
でも雨が”五感”を奪われていくという内容以外を思い返してみると、ストーリーの中盤以降、このドラマはしっかりと「人間愛・家族愛」が描かれた良質な作品だっといえるのではないか?と今は感じています。
登場人物それぞれの関係性がすべて優しさに溢れていて、みんな自分のことではなく「誰かのことを一番に考えている」というのがたまらなく愛おしかったです。
祖母の雪乃と雨の家族愛。
母・霞美と雪乃、雨と母・霞美の親子愛。
太陽と母・千秋の親子愛。
雨と太陽の妹・春陽の人間愛(家族愛)。
太陽と父・陽平の家族愛。
太陽と妹・春陽の兄妹愛。
母・千秋も含めた太陽一家四人の家族愛。
朝野煙火工業で働く人たちの人間愛。
雨と司の人間愛。
日下と千秋の案内人としての愛。
…そして、もちろん雨と太陽の愛。互いが互いのことを想い合い、それぞれの選択があのラストへと導かれていったわけですね。
誰かのことをこんなにも求めて必要として…そんな深い愛を感じながら3か月間過ごせた二人は、きっと幸せだったと信じたいです。
雨が最後の”五感”を失った後、日下が現れて太陽に告げた言葉。
このシーン、なるほどそう来たか…という感じでした。でも思えば太陽が”猶予”という言葉を使ったように、本来なら3か月前に命を落としていたはずの太陽が”奇跡の3か月”を雨と一緒に過ごせた…。雨を心から好きで愛していた太陽が、自分の人生や自身の死を、すべて納得して受け入れるために必要な時間を神様が与えてくれたのかもしれない…そんな風に感じます。
雨にとっては”五感”を奪われるというのはあまりにも過酷な選択だったかもしれないけれど、自分の人生に光を与えてくれた太陽との”永遠の別れ”を雨自身もしっかりと受け止めて、前を向いて生きていくために必要な時間を与えられたのかもしれないと。
十年後の大みそかに再会する約束をしたように、太陽がもう一度雨と交わした”未来の約束”。
互いに見えないはずの二人の指切りが、しっかり交わされたこのシーンは自然と涙が溢れてきました。
そして数年後太陽との約束の通りパティシエになり、自分のお店「SUN&RAIN」をオープンさせた雨の姿。二人の思い出のつまった品々や花。そして夢が叶った雨に、天国から太陽が降らせた雨。あの赤い傘をさす雨。
そして、このドラマの中でたびたび登場していた赤い傘。最終回で太陽が雨に見せたかった「俺の人生で一番大切だった十秒間」を表現した花火を、今度こそ雨が見ることができたシーンがありました。
高校生のとき、勇気を出して赤い傘に一緒に入らないかと雨を誘った太陽にとってはあの瞬間こそが人生で一番大切だった…こんなにも誰かのことを愛せたら本望ですね。この”赤い花火”は私の心に深く刻まれました。