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白に始まり、白に還る薔薇

薔薇を買い続けて数年になる、大好きな薔薇屋さんがある。
その薔薇屋を営んでいる女性の方々は人生の大ベテラン。
営業のスタイルは彼女たちの無理の無い範囲で。
だから、タイミングが合わないとなかなかお目にかかれないこともある。
特に夏は暑すぎて外にいるだけで体力が消耗するので、どこにも出店せずに問い合わせのみの対応。個人の一般生活者の家に素敵な薔薇が届くことは結構難しい。先日、夏前の最後の出店のタイミングで偶然再会できたので喜んで薔薇をお持ち帰りさせていただいた。

心を明るく元気に、ポジティブに。活発に。
そういう意気込みが強いタイミングだったからだろうか、選んだ薔薇はほぼオレンジをベースとした色の、力強く、可憐な子たちだった。すると薔薇屋のお母さんが「見送りの薔薇」、ということで1本おまけしてくれた。

赤、白、ピンク、黄色、オレンジ、紫。

一言では言い表せないくらいの色彩豊かな薔薇たちの中からお母さんが選んでくれた薔薇は「白」だった。

「『白に還る』という意味を込めて。しばらくお休みいただきますけど、元気でね!」

白に還る、という言葉を始めて聞いたが、とてもすてきだなって思った。
白。何にも染まっていない、無垢な色。
何色にもなれるし、何色かを和らげることもできれば、何色になる必要も無い色でもある不思議で深い色。

言の葉(言葉)と共に贈っていただいた白いバラは、満開を過ぎて少しずつ散りつつあるが、それも美しい。
散り際の花びらさえも白い。生まれてから、死ぬまで白であり続けるってなんか、深いよなあ。

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