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【書評】科学的な適職

初めに

「自分に向いている仕事ってなんなんだろう?」

多くの就活生が悩むポイントでしょう.
自己分析を繰り返しても繰り返しても自分が何をしたいのか見えて来ない.

でもタイムリミットは着々と近づいてくる.

そんな悩める就活生に向けて,紹介したいのが本書です.

本書では,従来言われているような,

などが明確に否定されています.

上記の項目に関わらず,本書の内容はこれまでの就活を全否定するものかもしれません.

しかしそれは,我々が知らなかっただけで全て科学的根拠に基づいた事実なのです.

一度就職してから後悔するよりも,今本書を読んで道を変えるほうが
よっぽど傷は浅いと思います.

是非勇気を持って手にとって欲しい一冊です.

仕事を辞める理由とは何か?


私達が仕事を辞める理由とは何なのでしょうか?

結論から言えば,それは人間関係では無いでしょうか.

実際に本書においても,以下のような格言が紹介されています.

これには首を縦に振る人も多いと思います.実際に以下のようなデータも
あるとのことです.

かなり衝撃的な数字ですが,人間がどこまでも社会的な動物である事.
すなわち集団の中で生きている事を踏まえれば納得がいきます.

もちろん,職場に友達や親友を作るというアプローチもあります.

しかし,現実に自分が上に行けば他の人は上に行けないという構造のもとで親友を作れる人がどれだけいるのでしょうか?

自分は難しいのではないかと考えています.
職場ではある種ライバルと言えるような存在にとどめておき、親友や友達はプライベートで作るのがよいかと思いました。

結論:仕事を辞める理由とは何か?
仕事の内容以上に職場の人間関係に何らかの不満を持っており,その関係を清算するため.

何が社員の幸福度を下げるのか?

本書では,amazonを引き合いに出して信賞必罰およびタスクを明確にすることが社員の幸福度に貢献すると述べられています

考えてみると確かに,

などが社員の幸福感を下げる要因になる事は容易に想像できます.

しかし,ここではあえて
ちょっと反論を述べたいと思います.

その理由は,
社員自身が上層部および会社に依存している点も見逃せないのでは?

と感じるからです.実際の所,幹部であってもただの人間です.

● どちらの方針で進めれば経営状態が良くなるか?
● この人材を採用すべきか?

など,正解など事前に分かるはずもない事は多々あるでしょう.

そんな中で,何のためにこれをやるのか?というのをその都度上司に説明を求める.という姿勢でいるのは,あまりに受け身なのでは?と思うのです.

もちろん最低限の説明は必要ですが,自ずから納得していく姿勢も大切にしなければならないのではないでしょうか.

結論:何が社員の幸福度を下げるのか?
信賞必罰およびタスクが明確でない職場環境.

今後の行動:自ら納得する姿勢も忘れない
そのような環境を選ばないようにすると同時に,自ずから何のために目の前のタスクをこなすのかを理解して納得する姿勢を持とう

所属すべき組織を考える際の必須条件とは?

所属すべき組織(=就職すべき会社)を考える際ネガティブな人間の存在を可能な限り避けるべきと述べられています.

実際にネガティブな人間が組織に及ぼす悪影響は甚大であるということでした.

そのような人物の割合はそんなに多くはないでしょう.

しかし,ただ一人の存在によって組織が大きな影響を受けることは間違いなくあります.
特にその人物の立場が高ければなおさらです.

悪は善よりも強い

この一言に尽きます.

基本的に,組織のレベルはその組織に所属する個人のレベルの平均より少し低いくらいになるという感覚を自分自身は持っています.

大切なのはその事実を受け入れたうえで,自分の身をより高い環境に置き続けることでは無いでしょうか.

そうすれば自動的に高いレベルに引き上げられ以前とは比較にならないほど成長できるでしょう.

結論:所属すべき組織を考える際の必須条件とは?
ネガティブな人間の存在を可能な限り避けること.

今後の行動:常にちょい下の環境に身を置く
自分をレベルアップさせるために,常に自分がちょっとした下くらいの環境に身を置いてみましょう.(特に20代は)

ギグエコノミーは幸福か?

まずギグエコノミーとは,
企業からの仕事をプロジェクト単位で請け負う仕事形態
であり新時代の働き方として耳目を集めています.

しかし,そのような働き方をしている人の幸福度は決して高くない
ということが述べられています. 

はじめは自由を感じられるが,
・不安定な賃金や勤務スケジュール
・次の仕事を受注できないなどのストレス
などの理由から長期的には幸福度が下がる傾向があるのだそう.

これを聞いたときに,海外で日本企業向けに現地語のガイド等を生業としている知り合いの顔が頭に浮かびました.同様の悩みを持っているように見えたのは気のせいではなさそうです.

ただし、高度なプロフェッショナルとして仕事を受注する立場であれば、幸福度は高いのだそうです。どんな業界に進んだとしても「プロになる」という意識を持つことは,個人主義時代を生き残る上で重要でしょう.

結論:ギグエコノミーは幸福か?
高度なプロフェッショナルとしてのギグエコノミーであれば幸福を享受しやすい.

今後の行動:プロとして生きる覚悟を決めよう
必要な資格を取得するなどして高度なプロフェッショナルになる.
まずはその覚悟をしよう.

意思決定をするために重要なことは?

人生とは間違いなく意思決定の連続です.

時には1つの意思決定が人生を大きく左右する事もあるでしょう.

その1つが就活と言っても過言ではありません.

本書では,意思決定を妨げるものとして様々なバグの存在が述べられています.

実際に,正しい意思決定にはそのようなバグを適切に取り除くことが重要であると書かれています.

そして,人間が陥りやすいバグとしてバイアスの存在が述べられています.

代表的なものとして,

などなど...これが現在研究レベルで
確認されただけでも170はあるといいいます.
全てを取り除くのは大変そうです.

その上でまず重要なのは,

自分がバイアスに囚われているかもしれないという可能性を自認すること
ではないでしょうか?

「愚かなるは他人ばかり」と思わず,本書で紹介されている様々なプロトコルを定期的に使ってみる必要がありそうです.

個人的には,
・イリイスト転職ノート
・友人に相談する

がもっともイメージが湧きやすいと思いました。
重要な意思決定の前に実施してみて下さい.

結論:重要な意思決定をするために重要なことは?
脳内に巣食っているバグを取り除くこと.まずは,そのバグの存在を自認すること.

今後の行動:バグ取りと決断をワンセットに
重要な決断をする際には,様々なプロトコルを用いてバグ取りを行った上で決断を下す.

あなたが本当にやるべき仕事とは?

あなたが既に働いているとして,
本当に担当すべき仕事とはどのようなものなのでしょうか?

これを知るためにはジョブクラフティングという手法が有効かもしれません.

ジョブクラフティングとは以下のような手法です.

本書では自身の仕事を価値観に基づいてとらえなおす手法
として紹介されていました.

簡単な方法としては,
・自分が現在従事している業務内容をいくつかのブロックで書き表す
・自身の動機・情熱・強みを可視化する
・仕事に費やしてる時間とエネルギー配分を見直す

などが考えられます(詳しくは本書および参考文献参照).

きっと皆さんの日々の業務改善にも有効である思います.

もしかしたら,あなたが当たり前に取り組んでいるその業務は実はあなたのやるべき業務ではないかもしれません.

そして,同僚のあの人が取り組んでいる業務はあなたの得意が発揮される業務かもしれません

一度,自身の一日の時間の使い方を可視化して,自分が何に何時間使っているのかを調べてみましょう.

そして,可能なら自分以外の同僚にも取り組んでもらいましょう.

お互いにとって有意義な取り組みになると思います.

結論:あなたが本当に取り組むべき仕事とは?
自身の動機・情熱・強みが生きる仕事であり,それらの割当を決定するためにはジョブクラフティングが有効である.

今後の行動:時間の使い方を可視化して割当し直そう
まずは自分の一日の時間の使い方を可視化してみよう.そしてその時間の使い方を自分の価値観に基づいて割当し直そう.

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は,鈴木祐氏の著書
「科学的な適職 4021の研究データが導き出す,最高の職業の選び方」

の書評を執筆しました.

最後まで読んでいただき,ありがとうございました.
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Kindle版はこちらです。

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