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静と動

「日日是好日」  森下典子

最初の出会いは「映画」だった。
樹木希林さんの演じるお茶の先生が魅力的だった。

お茶から学ぶものは、いちいち音楽を学ぶに
繋がっていて、静かに感動したのを思い出す。
あれから何年経ったか・・
最近とある所で本を目にした。
「本でも読んでみたい」と思っていたことを思い出した。

本を手に取ると
そこには「静」の世界が広がっていた。
(と同時にお茶の先生「樹木希林」が登場)

お茶の世界は音楽と似ていて、
ここにいながら、世界が広がり、
その世界が宇宙までも広がる。
お作法が身につくまでの道のりも
ピアノの技術を身につける道のりもどこか似ている。

点が線になる瞬間。

空気や音、季節感・・息づかい・・所作・・
故意ではなく自然に流れるように身体が覚える。
いつもと同じがいつも同じでないことへの気づき。
すぐに出来たり、すぐに理解出来たりするものではなく
長年経ってあるとき、ふと、気づくもの。
その気づくものは、続けている限り増えていくと思う。

・・・・

「簡単に見えるものほど難しいの」
「あなた 今どっかよそへいっちゃてるでしょ。
ちゃんとここにいなさい」
「間違えるのはかまわないの。だけどキチンとやりなさい。
一つ一つにキチンと心を入れるのよ」

・・・・

お茶もピアノも 大切なのは「今ここにいる」こと。
「いる」とは、心がここに「いる」「ある」ということ。
お茶の先生の言葉は、先生のいる境地「ここ」に生徒を引き上げる。先生ご自身が「ここ」の境地の素晴らしさと厳しさを知っているから導く言葉が生まれる。

本当の優しさは厳しい言葉の根っこに愛がある。
その愛の言葉がたくさん詰まっている本。
心がざわついたとき、疲れたとき、静けさが欲しいとき
この本を手に取り「お茶の世界」を旅してみようと思う。

・・・・・

「わたしのマトカ」 片桐はいり

これも。とある場所で「わたしのマトカ」の本を目にした。
その時の「面白かったですよ」っという言葉に
さっそく読んでみることに。

読み始めて思わずクスっと笑ってしまった。
そこに、ここに「片桐はいり」がいる。
映像として動いたり喋ったりする本人がチラチラ現れる。
はいりさんは旅した先、撮影先などでは、公共交通機関を使って
その国や街を堪能する。じっとはしていない。
あっちにこっちに出向き街を探検する。街の探検家みたいだ。
フィンランドの国民性や街の空気・・
出会う人たちの個性・・片桐はいりワールドに
私も読みながら一緒に探検し、探検し過ぎて目が回ってしまった。

起承転結でいうなら起承・・起承転・・が
どんどん押し寄せてくる。
「結」・・旅でいえばゆっくりくつろぐ、はない。
好奇心旺盛で行動派・・
現実の世界、目に映るこの世を
生きている間 可能な限り堪能する「動」の人と思った。

旅から帰って、思わず言ってしまうひと言
「・・やっぱり家が一番落ち着く・・」が
読み終えた最初の感想だった。
「グアテマラの弟」も面白いですよ・・とのこと。
旅の疲れが癒えたころ読んでみよう。

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