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飲食のUX

前回に続き、デザインとは離れたシーンにおけるUXを例に上げていきます。

食べる行為のUX

例えば、大手チェーン店の大半で売っているフライドポテト。手に油がつきますよね。フォークをつければよいのかもしれませんが、低コストで売っている以上それは難しいかもしれません。しかし例えば容器の形状をちょっと工夫すれば、手に油がつくことなくポテトを食べることは可能なはずです。

ソースをつけて食べるメニューがあります。ソースの器が小さくて、つけられない体験、結構頻繁にありませんか? お客様に提供する前にきちんと試したのか、まったく器に入らないものもあります。些細なことですが、こういう気配りができていないとがっかり体験になります。

この体験では、UXというよりはUIの課題と言えるでしょう。建築家のル・コルビジェは、建築物や家具において最適なサイジングを「モデュロール」として定義しました。この最適なサイジングは、本当はもっと細部にまで浸透させるべきだと思っています。上述の飲食メニューにおいてもしかりです。チキンナゲットにケチャップをつけるメニューであれば「チキンナゲットモデュロール」をしっかり定義すべきなのです。

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食器のUI

もう一つの例としては、食器です。ナイフとフォークのマナー、難しいですよね。しっかり練習すれば美しいテーブルマナーになります。しかしながら、食器の形状は本当に考慮しつくされたのでしょうか。メニューの形状も複雑化するなかで、食器は進化が停止しており、もはや前時代な道具となっています。人間と道具の関係性は定義されていますが、これからはその先にあるメニューとの関連性もしっかり考えると、より多様な道具が登場することでしょう。

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快適な飲食を提供するUX

高級なお店に行くと、店員がお客の一挙手一挙動をチェックしています。例えば、料理を提供したときに左利きだったことが分かれば、次から食器の配置を左利き要に置く。お客様同士の会話がやや長く途切れてしまったら、会話をはさんで場を和ませる。このような一流の「気遣い」をあらゆるサービスに提供できればUXは飛躍的に向上するでしょう。

飲食というビジネスサイクルから世界を変える

フェアトレードという言葉が言われるようになりました。飲食の世界をより大きな視野で見たとき、例えば原材料の産地の状況も改善し、すべての人が幸せになるような取り組みをすることもできます。これもUXと言えます。
例えばコーヒーの豆で言えば、産地の農家の人が味にこだわればそのものの価値を上げることができます。それをお客様に出す店舗の人が、メニューや提供方法にこだわりを持てば、お客様は多くの選択肢を得る楽しみが増えます。そしてさらに新しい商品を求めるようになるでしょう。このような取り巻く環境全体を俯瞰して体験を構築することも非常に大切です。

普段のデザイン業務とは違った視点で見るUX、いかがでしたか?

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