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自分の履歴書⑫ 30代中盤にしてはじめての成功体験

この記事は移動交通に異動してから、予想外に仕事が成功しはじめた記事です。

愛着が湧き、友だちに教えたくなる製品か

配属されてから早々にお願いされたのがデザインリニューアルでした。当時のスマホの画面デザインはリアルな表現を用いていました。それがフラットなデザインに移り変わる節目でもありました。アートで言うところの具象的な表現から抽象的な表現への移り変わりに近いかもしれません。リアルに作り込む手間は大幅に減った分、使い勝手をしっかり考えないと非常に使いづらいデザインになってしまいます。このような経緯から、新しいデザインのあるべき姿を徹底的に熟考しました。

デザインの考え方や手法といった類が流行り始めていた時期でもありましたが、自分が大切にしていたのは、まず自分が毎日使う道具として心から愛着が湧くかどうかでした。そして、この製品を友だちに教えたくなるかどうかという点でした。漠然としていて感覚的ですが、きっとデザイナーに限らず製品を生み出す多くの職種の方にも大事な判断基準だと思います。

また、無料で提供しているサービスでもチープにはしたくないと思いました。イメージとしては、安い金額なのにハイブランドが手に入る、そんな体験にしたかったのです。

デザイナーだったらデザインで見返してやる

私は入社当初からダメな社員扱いをされてきました。それは本当に悔しい日々でしたし、親会社に戻ったことでその思いは再燃していました。デザインリニューアルをきっかけに絶対見返してやりたい、そんな強い思いがありました。
デザイナーだったらデザインで見返してやろう、それが仕事の醍醐味でもあるはずですから。世の中は、なぜか個人のスキルではなく、嫌がらせや権力だけで本質を伴わない勝ち方をする人が多いですよね。私はそういう勝ち方はしたくなかったのです。

デザインに理解のあるチームだった

一番恵まれていたのは、デザインに対して理解のあるチームだったことです。特にアプリ開発においては、デザインの実現にあたって開発コストが膨らむことを避ける傾向にありますが、デザインについて全職種のメンバーと本当に良いデザインを追求しながら進められました。
デザイン的に開発コストが膨らんでしまった部分もあれば、シンプル明快な体験に改善することで無駄な仕様や、こだわり過ぎた仕様を削ぎ落とし、コスト削減できた部分もありました。

よく「属人化するのは悪いことである」と言われています。それは正しいことですし、運用リスクを下げられると思います。しかし、恵まれたチームでの日々から、良いプロダクトを生み出すにはやはり属人なのだと思いました。
私の考える良い意味での属人とは、皆が同じ方向を向いていて、遠慮なく意見を言い合えることです。

仕事ではじめての成功体験

出来上がったアプリはまるで我が子のようでした。そしてついにリリース。信じられないことにアプリのレビューやSNSで評判が広がりダウンロード数や利用頻度が右肩上がりに伸びていきました。広告出稿ではなくアプリ単体で拡散されたのです。想像もしていなかった伸びようにデザインのチカラって実はすごいな、、と思いました。デザイナーで良かったと心から思いました。これが私にとって社会人ではじめて仕事で成功した体験となりました。社会人になって約10年、30代中盤。あきらめないで良かったと思いました。

成功とは一人で実現するものではなく、協力してくれる方がいて、そして評価していただけるお客様がいて成り立つものだと実感しました。
また、感謝の気持ちを忘れてはいけないと強く思いました。

理屈よりも結果

同じ頃、世界的に有名なデザイン企業が担当した競合サービスがデザインリニューアルで大失敗をしていました。ロジカルにデザインを攻略していて、セミナーなども意欲的に開催していて、私も参加することがありました。
この失態を目の当たりにして、素晴らしい思考を持っていることが、必ずしも素晴らしい成果物を生み出すとは限らないと気づきました。口先だけがウマくて顧客満足度の低い営業マンと同じです。口先がウマいことも生きていく上で大切なのでしょうが、やはり結果が大事である、と強く思いました。そうでないと結果として社会に何も貢献していないことになる訳ですから。

周囲と交わらない

良い結果はありがたいことに社内でも広がり始めました。そうすると、今まで距離を置いていた人が話しかけてきたり、話を聞きたいという人が増えてきました。成功した時にしか近寄ってこない人とは、当たり障りない程度に距離を置くようにしました。きっと先々また失敗したら今度は非難してくる人たちだからです。

安岡正篤氏の「有名無力無名有力」という言葉があります。有名になると周囲の目を気にし過ぎて本質を見失い、結果として無力となる。逆に無名である方が周囲を気にせず本質を見極められるという意味です。私は決して有力だとは思っていませんが、あまり有名になるのは本意ではありませんでした。対外的に話題となるデザインを作るのではなく、本当にユーザーに評価されるデザインに注力したいと思っていました。
そのような経緯から、評価はいただきつつも周囲とは交わらないようにしていましたし、対外的にナレッジなどを発信することもしていませんでした。

社会人30代後半その1へ続きます

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