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立春大吉/休日は西へいく


2023.2.3

立春。暦のなかでもかなり好きな日。パートナーが朝食の皿洗いをしているとき、うちでいちばん高い、ゆえにぜったいに割りたくない、大のお気に入りのスープ皿が割れた。すぐに鎌倉近辺で金継ぎをしてくれるところをしらべた、見積もってもらった価格はお皿の値段とほぼ同じ。別のところのワークショップもしらべたがさらに五千円ほど高い。SDGsもあって金継ぎが流行っているみたいだけど…SDGsってお金かかるな。

氣流の先生のところへ治療にいくので、実家のある伊東へ。年末年始は帰っていないのでやや久しぶり。節分だったので母が菜食の恵方巻きを用意してくれていた。金目鯛のしゃぶしゃぶというのもはじめて食べた。身がほろほろになってすぐに溶けた。あっというまになくなったけど、いつも二人ぼっちで食べているからにぎやかで楽しかった。ふたりぼっちはさみしい。とくに寒い季節は。そういえば最近レミオロメンの「3月9日」をなにかのきっかけで聞いて、そのあともなんども聞き直していた。ミュージックビデオも。ほんとうにいい歌。あのときは中学三年だった。イントロを聞くだけでなにもかもがよみがえる。


2023.2.6

すがすがしい陽気。本にする原稿の整理と書き直し。お昼はパートナーとロジャーさんと偕楽へ。いつものタートルネックを脱ぎ、下着の長袖のうえにトレーナーいち枚で外に出られちゃう。嬉しい。前回、前々回とおなじく肉なしで中華丼を注文。お昼時で次から次へと地元の人たちが入店してくる。地元民に愛されているお店で食べるごはんは幸せ。ひとりのお客さんが多いから皆無口だけど、ああ美味しいなってみんなが空気でハモっているのがいい。ロジャーさんはシーカヤックが趣味だという。逗子でやっている。無人島まで行ってお昼を食べて帰ってくるツアーがあるらしい。もう少し暖かくなってきたら私もやってみたい。午後は関野くんと展示のミーティング。日没後、浜へ散歩。夜はおなじみの塩麹鍋を三人で。今日はよく喋った。楽しかった。話せる人がいるのは何よりの幸せ。

偕楽へ


2023.2.10

午前中は雪が降った。三日間の東京でのアルバイトを終えた。帰宅ラッシュの駅のホームで、前にいた男の人が、周りから隠れるようにして小さなコームをポケットからすっと取り出し、ゆっくり二度、前髪をとかし、何事もなかったようにまたすっとコームをしまった。いつも、すぐ取り出せるようにポケットに入れているのだろうか。地味な格好をした、青年と中年のあいだくらいの、とても細い人。京都のけいぶん社でみつけた「ジーン・リース短編集」を読んでいる。一本目からかなり面白い。こういうの読みたかった!久しぶりに好きな作家に出会えて嬉しい。

雨のなか帰宅。ひと昔前は同じ状況で全身がぐったり重たくて、ひどくくたびれ果てていらいらして、帰宅後にごはんを作るなんてありえないから外食か適当に買った美味しくも栄養もないものを暴食するかで、ほぼ営業といっていい苦手な仕事内容のおかげでストレスもたっぷり溜め込んでいるのですこぶる機嫌もわるく、ぶつぶつ言いながら疲れた体をひきずってなんとか風呂に入り泥のように眠るしかなかったのに、今日は元気だった。というより、気持ちが落ち着いていた。丁寧に買い出しまでしたし、ちょっと贅沢して半額になっていた刺身盛りも買ったし、鍋も作ったし、おまけに映画までみた。わたしはもしかしてすこしだけ成長したのかもしれない、あと体力が戻ってきたのかも。二回目にみるグレタ・ガーウィグ監督の「リトルウィメン」はとってもよかった。ほんとうによかった。何度も泣けた。元の小説も、映画も、ほんとうにいい。幸せな気持ちで眠った。


2023.2.11

洗濯機を三度まわし、掃除機をかけ、炊飯の用意をしてから思い立って大磯まででかける。ぽかぽかの晴れだからずっと外にいて太陽を浴びていたい。昨日まで体力仕事もがんばったし、のんびりしたい。
途中、平塚でいつもいくお蕎麦屋さんへ。駐車場までお出汁のいい匂いが立ち込めている。新メニューれんこんそばをえらぶ。すりながしれんこんがベースの汁がとっても美味しかったし、そこにすりしょうがをたっぷり入れて食べるのも温まっていい。ここはオリジナル甘酒もいくつかあって、黒米甘酒をいつも頼むけど、今日はりんご甘酒というのにしてみた。甘いし、栄養を飲んでいる感じ、元気が湧いてくる。北海道の立派な原木無農薬椎茸が十個で四百円とお買い得だったので買う。ここはレジ前でそういう野菜とか、手づくりの味噌、塩麹などを安く売ってくれている。近所に住みたいなあといつも思う。

散歩がしたいから、大磯の城山公園に行く。眺めもいいし、いるだけで気持ちいいし、休日でも人もそんなにいないし、いい感じに気が抜けてリラックスできる。鎌倉ももちろんいいけど、休日はどこも人人人だから。パートナーは抹茶を飲んだ。私はカフェインで眠れなくなるからみてるだけ。たっぷり満喫して、駅前の地場屋ほっこりさんに行って、ここでしか買えない食材を買い出し。自然系だけでなくいろんな食品があってここも大好き。大磯産の野菜も売っている。もうひとつ気になっていた昔ながらの構えの商店に行ってみたら、中は珍しい商品や自然系も充実してあって、おまけにお店のおじちゃんがチャーミング。ジンジャールイボスティーのパックを買ったらどうやら賞味期限が切れていたらしく、いいよこれあげる、とおじちゃん。切れててもなんの問題もないからさ、と。ああ大好き!そうなのよ問題ない。なにもかも。帰宅して、きのこの練りものや野菜や白滝、牡蠣などをたっぷり入れたいつもの塩麹鍋。

抹茶をのむ


2023.2.12

日曜日。朝から晴れている。風もない。おだやかで、春を感じさせる。昨夜ひさしぶりに濃く煮出したよもぎ湯をしたら、疲れた体にエネルギーがしんしんとみなぎった。肌の調子もすごくいい。やっぱりすごいなあ、よもぎ。鍋の残りにあおさのりを足しておじやにしたものを食べ、新しいトースターで宮崎県の干し芋を焼く。ふるさと納税の返礼品。今日もゆっくり休もうと思う。谷口ジローさんの「遥かな町へ」「犬を飼う、そして猫を飼う」を読む。朝から涙をぐっとこらえる。いい作品を知れて幸せだなと思う。

秦野の弘法山公園に散歩をしにいく。だいぶ高いところで、海側、山側とまるくかなり遠くまで見渡せる。出雲大社相模分祠にも寄った。地域の農産物を売る場所に行って落花生味噌を買ってみる。夕暮れ、二宮が意外と近いということで日用美さんへ。ずっと行ってみたかった。小高い丘のようなところにある、とても素敵な空間。天井が高くて、すがすがしくて、落ち着く。おまけにkajitsu kamakuraさんの根菜生チョコを手に入れることができた!すごいんだこれ、長芋、ごぼう、百合根、れんこん、あずきがすり込まれてあって、ヴィーガン仕様、白砂糖なし。ひとくち食べてみるとほんのりとした甘さで、体が疲れない。夜は平塚でたまたま見つけた、こじんまりして可愛いベトナム料理屋さんへ。生春巻きをチリソースじゃなくて味噌ソースで食べるのがよかった。シンプルなフォーは薄味で油こくないのもうれしい。自分よりも年下であろう若いお姉さんがひとりで手際良く切り盛りしている。

帰りの車で槇原敬之の「GREEN DAYS」にはまりなんども聴く。







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