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エッセイ集『二十一日の夜明け前に』

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どうしてこの星にやって来たのか思い出せなくなってしまったときに。 Cover illustration : Satsuki Mishima
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#日記

エッセイ集「二十一日の夜明け前に」リニューアルスタート

「誕生日」という数字にどきどきする 11月14日から22日のあいだは毎年そわそわして過ごしてい…

晩夏と夜の海

 一日外に出なかった。夜九時すぎ、海まで散歩に行った。海のそばに住んでいても夜に行くこと…

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今日が雨でよかった、と思える日が少しでも人生に多くありますように

 梅雨らしいしとしと雨の日、友人と会った。    長谷の大仏さまへつづくにぎやかな通り沿い…

日記を書いている「私」はだれなのか

先日、日記とは一体何か?なぜ私たちは日記を書くのか?について思案したことを書いた。そのつ…

日記を書くということについて

1944年3月7日火曜日に、14歳のアンネが書いた日記だ。 2年に及ぶ潜伏生活の末にナチスに連行…

ただしい一日の暮れかた

   あの日、伊勢原の里山の、ひと通りもまばらな道ばたにほっかむりをしてちょこんと座りこ…

年を重ねようとしている雨の土曜の朝に

 三十四回目の誕生日まであと一週間。  同い年くらいの友人の中には「じぶんの誕生日、うっかり忘れてた」なんていう人もたまにいて、そんなことってあるの?と聞くたびに疑ってしまう。もしもじぶんよりも大切な存在ができたりして(わからないけれど、子どもとかだろうか)、その人との毎日に息つく暇もないくらい必死で取り組んでいたりしたら、あるいは日付の感覚もなくなるくらい仕事に忙殺されていたりしたら、そういうことも起こるのかもしれないなあと思う。けれど、仮にわたしにそういう状況がやってき

来年の目標を作るより、来年がどんな年だったか思いだしてみる

 もうすぐ新しい年がくる。  来年の目標をたてることはずっと苦手だ。来年のことを話すと鬼…

たまたま隣り合わせた人とふたり、じっと新年をまつ

この数年、年の瀬がせまるといつもすこしさみしくなる。 街は今年の役目を終えてしだいに閉じ…

なにをしにこんなに遠い星まで

 三日三晩寝不足の旅先からへとへとで帰宅した、とある深夜。  W杯のグループリーグを突破…

この街がすきだなあと思うとき

鎌倉に暮らしている。 一年前の夏に越してきた。極彩色の東京から。 それから季節がひと巡り…

自分と世界がイコールになる日のために

中沢新一さんと山極寿一さんの対談「未来のルーシー」を読んだ。山極さんの言葉を読むのは初め…

パートタイムの最中と帰り道に集めておいた、とっておきの東京の思い出

三十歳も過ぎて、まわりはみんな結婚とかしていって、子どもに囲まれて、それでなくてもいい企…

人に食べてもらう料理を作るということ

コロナ禍の2020年初め、料理サポート(あるいは出張料理)という仕事を個人で始めた。仕事や育児などで料理をする余裕のない人の代わりにそれぞれのおうちへ赴き、野菜中心の健康的な作り置きおかずを作る、というもの。他にもっとわかりやすい呼び名があったかもしれないけど(ケータリング?と聞かれることもたびたびあった)、とりあえずそう呼んでいた。 緊急事態宣言の時はさすがにお休みしたけれど、それ以外は平均で週3回、多い時は週4回のペースで約1年間。それぞれのおうちへ行って8~10品ほど