雑記:東京都内の史跡、その四(世田谷豪徳寺)

世田谷区の豪徳寺は、井伊家の菩提寺であり、二代藩主井伊直孝を救った伝承に由来する招き猫は、この寺の「名物」にもなっている。

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豪徳寺の境内には井伊家の墓所があり、江戸で死去した藩主と夫人や一門の墓所が建ち並んでいる。

墓塔の形式はいづれも江戸時代の広く見られる位牌型の角柱塔であり、中には二代藩主直孝(下の写真二枚目)の墓や、幕末の大老として著名な井伊直弼の墓(下の写真三枚目)もある。

微妙な形式の違いはあるが、江戸期の大名家の墓石は次第に無個性化するため、直孝など初期の当主の墓が当時のものなのか、ある時期に一度にまとめて造立されたものなのかはあまりよくわからない(江戸時代の大名家の墓所では、墓石には機械的に没年が刻まれているため、中世の石塔のようにそれが直ちに造立年とイコールなわけではなく、幕末に一度に歴代藩主の墓をいわば「リニューアル」して造立するケースも多い)。

ただ、寛永年間くらいには関東地方で位牌型の角柱塔の事例が見られ、また直孝と直弼の角柱塔では笠の部分に明確な違いが見られるため、直孝の墓塔が死後まもなく造立されたものと見てもさほど違和感はない。

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