京都府内の石造物㊱:大長瀬町公民館宝篋印塔
名称:大長瀬町公民館宝篋印塔
伝承など:なし
所在地:京都府京都市左京区大原大長瀬町 大長瀬町公民館
大原三千院より南に下って十五分ほど歩いた大長瀬町の公民館の傍らに、二基の宝篋印塔が並んで建っており、元々この地に存在した墓地にあったものと言う。
場所がややわかりにくいが、京都バスの梅の宮前バス停で下車し、梅宮神社の脇の道を登り切った所にあるお休み処の奥にある。
向かって右側の塔には、鎌倉時代末期の元亨元年銘があり、左の塔はほぼ同型であるが、こちらはやや時代の下る南北朝時代の作とされる。
ただ、二基ともに非常にバランスの悪い塔であるため、どこかの時点で両者のパーツが入れ替わっている可能性がある。
おそらく左塔の笠が本来は右塔の笠で、右塔の笠は基礎にある元号の元亨元年よりもやや古い鎌倉時代後期の風格を思わせる。
あるいは、右塔の笠と左塔の基礎が本来は一具で、無銘ではあるが元亨よりも以前に造立された宝篋印塔かも知れない。
してみると、後補とされている相輪も、後補ではなく双方が逆になっているだけの可能性もある。
パーツが入れ替わっている可能性があるものの、おそらく二基のパーツ自体に欠損はなく、鎌倉時代の在銘塔と言う点でも貴重である。
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