見出し画像

余裕のなさは温かさをよりいっそう引き込んで

この間、家庭教師先から家へ帰る途中、お好み焼き屋が目に入った。
なんとなくお好み焼きが食べたくなって、折り返してお店に入った。

平日のお昼時、そのお店の客はあたししかいなかった。お好み焼きというと焼いてくれたものを出してくれるお店、材料からだけ持ってきて自分たちで焼くお店。今回は後者だった。お店に入った後、鉄板を見てそのことに気づいてしまったと思った。

席にひとり。ならまだしも店内にもひとり。ここでお好み焼きを焼くのはなかなか精神を持っていかれる。まず失敗はできない。第一、あたしそんなにうまくお好み焼き焼けn…(割愛)
メニューに目を向けると苦手な方は焼くので言ってくださいと書いてあったので焼いてもらうことにした。

あたしは小食なので、小さめのお好み焼きをひとつ頼むことにした。安目のものだったので少し申し訳ない気がした。

多分、店内にひとり、中にひとりだったと思う。
中のおばさんがやってきて快く焼いてくれた。目の前で携帯をいじるのは失礼かなと、というよりかなんとなくもったいない気がして焼いてくれている様子をじっと見ていた。

人間火を見ると落ち着くらしいけれど、お好み焼き焼いているところをじっと見るのも悪くないなと思った。

完全に逸れるけれど高校生の頃、彼女とお好み焼きを食べに行って焼いてもらったのを思い出す。冗談混じりに、実はあたしはなかなかに本気だったのだが、

俺の彼女、お好み焼き上手に焼けるよ!

って自慢していたのを思い出す。今そんなことを言うと怒られそうなものだが。当時も相も変わらず当たり前だろと呆れられていた。バカなのかもしれない。すごいことだと割と思っていたんだけどな。なんか素敵だったんだよね、きっと何かそういった時間や空間に憧れていたのだろう。そういう純粋?な気持ちで恋愛したいよね。

焼いてもらっていると、お母さんと娘息子と思われる3人がお店にやってきた。お母さんは結構若い感じの綺麗な人で娘は高校生くらい、息子は小学生だと思う。

夏休みだったのかな、平日の昼間に親子で仲良くご飯に来ている感じが羨ましかった。なぜかその店は10~20年くらい前の曲が流れていて、アップテンポな曲に合わせて男の子が踊っていたりしてそれを女の子とお母さんが笑いながら見守っていて。

3人はずいぶんお好み焼きを頼んでいたと思う、少なくともあたしの3倍は…笑
それは置いておいて、3人も焼くのを頼んでいた。
おばさんが男の子と話しながら楽しそうに焼いていく。途中少しやってみる?とか言ったり。それは女の子に対してだったかな。とにかく楽しそうだった。

隣の席でひとりでいたものだからあまりじろじろ見ては怪しいと思って我慢してはいたけれどずいぶん怪しい男だったと思う。

べつに悲しかった、さみしかったとか思っていたわけではないのだが、なんとなく精神的にキツい今日この頃、対照的に見て仕合わせそうな家族が妙にしみたので書くことにした。

あまり客もいないし大丈夫だろうと高を括っていたが甘かった。服はお好み焼き臭くなっていた。あたしはその匂いと1日付き合うことになった。

#日記 #エッセイ #あの夏に乾杯 #お好み焼き #家族 #彼女 #人生 #親子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?