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【3分で読める世界史】スイスの宗教改革

クールなルターの影響は、どんどん広がっていきました。

今回はスイスの宗教改革を見ていきましょう。


■ツヴィングリの宗教改革

神聖ローマ帝国の影響下にあったスイスでも、宗教改革が始まります。

まずルターに触発されたツヴィングリが、チューリヒで贖宥状の販売を批判しました。

しかし、信仰によってのみ救済される聖書第一主義はルターと同じだったものの、そのほかの点でルターと対立。

さらにカトリック派との戦いの中で、ツヴィングリは戦死してしまいます。


■カルヴァンの宗教改革

つぎにフランスからスイスに亡命し、宗教改革者の立場からキリスト教を記した『キリスト教綱要』を発表したカルヴァン

この著書に感動した有力者たちが、カルヴァンを指導者としてジュネーブに招き、新たな宗教改革が始まりました。

ルター同様に、救済は信仰によってのみ、拠りどころは聖書のみと主張しますが、ほかに新しい3つの考えを示しました。


■教義の3要素

まずは①「予定説」。神はあらかじめ救われる者と救われない者を決めていて、それを人が変えることはできない、としました。

「それでは、まじめに信仰しても変わらないじゃん」と言うひとが出てきます。

しかしカルヴァンは「そのように考えるひとは救われない側のひとです」と説き、自分は救われる側だと信じて、信仰と勤労すべしと主張しました。

次に②「長老制」。聖職者である牧師と補佐役の信者の代表である長老で教会を運営する制度です。

これにより、カトリックからの独立を目指しました。

最後に③「営利活動の肯定」。従来のキリスト教の観点からは、お金はよくないものとされていましたが、予定説により勤勉となり、禁欲の生活を送ると自然にお金が貯まってしまいます。

そこでカルヴァンは、神から与えられた天職を行い、禁欲によって貯まったお金は神からの授かりものだとし、営利活動を肯定しました。

これにより、カルヴァンの教えは商人を中心に広まり、資本主義の発展を後押しすることになります。


■編集後記

予定説は、つい「じゃあ真面目に信仰しても意味ないじゃん」となってしまいそうなところ、うまい論理でやられますね。これは参った。

世界の偉人の頭の良さを垣間見た気がします。

こうやって出来事だけじゃなく、歴史からいろいろなことを学んでいくのは実にたのしいですね。

それでは、また次回!


参考文献


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