11.2.8 北ヨーロッパ諸国の動向 世界史の教科書を最初から最後まで
北ヨーロッパの、スウェーデン王国、ノルウェー王国、デンマーク王国の3国は「北欧3国」とくくられるグループ。
激動の19世紀ヨーロッパにおいて、憲法をつくって議会の力を強め、大国が主導する国際政治とは距離をとる“平和路線”を歩むなど、独自のポジションを確立したことで知られるよ。
それぞれのプロフィールを確かめていこう。
スウェーデン
三十年戦争(1618〜1648年)でドイツ地方の沿岸部を獲得し、バルト海の覇権をにぎっていたスウェーデンは、ロシアのピョートル大帝との「北方戦争」に敗北。
バルト海のコントロール権を失った。
ドイツ北部の領土も、プロイセンに奪われてしまう。
しかし、鉄鉱石の産地が分布することから製鉄業が盛んで、
豊富な針葉樹林は造船業にも役立ち、イギリスの海上進出を裏で支えることになった。
19世紀初めには君主をしばる憲法がつくられ、イギリスのように君主ではなく議会に責任を負う内閣の制度が整備されると、政治・経済が安定するようになった。
なおナポレオン戦争中の1809年には、フィンランド地方はロシアに割譲されている。フィンランド地方はそれ以降、ロシアの支配を受けることとなったのだ。
特に北方に暮らすトナカイ遊牧民サーミにとっては、いっそうつらい時期となっていく。
ノルウェー
一方、ノルウェー王国はナポレオン戦争後にウィーン会議の結果、スウェーデン王国との同君連合(スウェーデン王がノルウェー王を兼ねる形)となった。
しかし独自の憲法をもつことがゆるされ、1905年には国民投票によって平和的にスウェーデンから独立することとなるよ。
デンマーク
最後にデンマーク。
「ドイツ統一プロジェクト」を進行中のプロイセン王国首相ビスマルクに目をつけられ、1864年の戦争でボロ負け。シュレスヴィヒとホルシュタインの2地域を失った(プロイセン=デンマーク戦争)。
しかし、それ以降は農業と牧畜をメインとする国づくりに努め、狭い土地を有効活用するアイディアで勝負するようになっていくことになる。
イギリスへのお肉や乳製品の輸出も急増し、「イギリスの食卓はデンマークによって成り立っていると言われるくらいにまでなるよ。
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