村岡崇光『聖書を原語で読んでみてはじめてわかること』(いのちのことば社、2019年)を読んで。
聖書はヘブライ語とギリシア語で書かれているのだと多くの人は理解すると思う。聖書の世界に足を踏み入れるとどうもそれだけでないことがだんだんわかってくるであろう。聖書が多数の言語で重層的に書かれており、その翻訳の歴史と相応して真正な原文を確定しつつ意味を読み取っていくという途方もない作業に取り掛からなければならないことが見えてくると思う。そこまで分かったとしても聖書を原語で読むことの意味は何だろうかと思う人がいることと思う。訓詁学的な字義の詮索に終始するのではないか、と。本書『