マガジンのカバー画像

【ライブラリ】notes

3,211
Excellent curation of the noters, a truly inspiring compilation of content:
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

聞こえないというのはなんだろうか 〜身体特徴と文化性を通して〜

何故,この記事を書き留めようと至ったかというと少々長くなるので,ご承知を. 元々,約2年前にこんなことを考えてて,制作をずっと頭の中に模索し続けていた.(未だに制作に取り掛かれていないのは己の未熟) それとまた別に密かにずっと疑問に思っていたのが,”どこからどこまで同じ人間でどこから聞こえないという障害と差別するのだろうか?同じ身体を持ち合わせているのにもかかわらず,聞こえないと分かった瞬間,何かの隔たりや距離感を感じてしまう”. これらの疑問は,元々自分が取り組んでい

新今宮に訪れてから、129日間で学んだこと

お読みいただく前に  この文章は私、島田彩が、自身の表現の反省および改善を目的として執筆いたしました。インターネット上のご意見や、新今宮エリア内における方々からお話を聞くことで学び、その内容を綴ったものであり、あくまで個人の見解です。PRを目的とするものではありません。また、「新今宮ワンダーランド」「新今宮エリアブランド向上事業」からの公式見解ではありません。  なお、本稿のインタビューについては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に配慮し、原則一対一でおこないました。 は

つながりと結節点の学 | ハイデル日記 『越境の文化学』

実は、ずっともやもやしていたことがあった。 オランダでの3年間のリベラルアーツ型学士号で人類学や哲学を学んで以降、世界を謙虚な目でとらえなおそうとすると、よく「相対主義」という大きな壁にぶちあたる、ということだった。どういうことか? たとえば、日本における捕鯨を例にあげてみよう。日本では古くから捕鯨がおこなわれてきた。しかし近年、環境NGOなどがその過度な捕獲量と残酷な手法を批判し、国際社会(IWCなど)からプレッシャーを受けるようになる。彼らの主張の根幹にあるのは、動物

フィンランドデザインの質の高さは「工業」と「アート」の往復運動から生まれる 〜アアルトとカイフランクのデザインアプローチ〜

みなさんこんにちは! 暑い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか? 今回の北欧デザインコラムでは、フィンランドデザインのクオリティの源泉を、アルヴァ・アアルトとカイ・フランクの二人の名デザイナーの事例を引きながら「工業」と「アート」という二つの視点から紐解いてみたいと思います。 1.アアルトのデザインにおける「遊び」の役割先日、世田谷美術館で開催されていたアルヴァ・アアルト展に行ったときのこと。最後のブースにアアルトが描いた「絵画」が展示されていました。アアルトと言

「忘却されつつある歴史」に属する本|隠岐さや香さんが選ぶ「絶版本」

 今、地球上で最も読みづらい本の一つは、20世紀後半の日本の絶版本である。そのことを実感する機会がつい先日訪れた。  近年は古い貴重な書物ほどオンラインで読めるという矛盾した状況になっている。私は18世紀フランスの科学史が専門だが、18世紀に出版されたフランス語の本はそういう状況である。特にGoogle Booksが激しい勢いで書物をデジタル化してしまったこともあり、当時の新聞や雑誌を除けば、大半の刊本はネットで読めるという感覚がある。  しかし20世紀の書物となると、著作権

見ることも触れることもできない世界へ -広井良典著『無と意識の人類史』を読む

広井良典氏の『無と意識の人類史』を読む。 人類の歴史は、人間たちの「意識」のあり方の歴史でもある。 広井氏は意識について、それが「"脳が見る共同の夢"」としての「現実」を作り出すものであると書かれている(『無と意識の人類史』p.24)。 これはユヴァル・ノア・ハラリ氏が『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』で論じた「虚構の力」にも通じるところがある。 "脳が見る共同の夢"は「現実」であり、「有」の世界、「ある」ものたちの世界である。それに対して「無」とは、意識が、自ら作

有料
198