聖矢

‘98 新卒入社1年半でうつ病。日々優しさを考える。         好きなのはラジオ…

聖矢

‘98 新卒入社1年半でうつ病。日々優しさを考える。         好きなのはラジオと読書。散歩も。

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  • 優しさ2.0

    うつ病をきっかけに、僕たちは優しさとどう向き合い、優しさをどう扱えばいいのか。 考えてみる事にしました。

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優しさ2.0

”優しさ”をアップデートする。 そのためにしばらくnoteを続けてみようと思う。 昨年2023年11月、新卒で入社して一年半で鬱を患った。今も療養生活を続けている。こんなにも人や社会と関わることが辛いことだとは思ってもいなかった。 鬱になってから、普段だったら平気なこともストレスを感じたり体力を奪われるようになった。朝起きること。人との会話。電車に乗ること。そして一番は、SNSを受け入れられなくなった。 「ポストする」というボタンもみんなで一斉に押せば誰かを他界させると

    • 言葉に頼らず、それでも寄り添い合えるか

      今日も小説を読む、映画を見る、漫画を読む。 そうやって多くの言葉に出会い、その言葉たちがスクランブル交差点を渡る人間達のように、どこにも誰にも当たらずスムーズにすれ違っていけばどれだけ言葉を浴びてもただニコニコと頷いていられるのだが、僕の場合心にデコボコやざらつきが多いからか、それともたまたま僕の浴びる言葉が歪な形をしているのか、どちらであれ、僕の頭の中で言葉達がスムーズに通り過ぎて行くことはほとんどなく、そのいちいちにあれこれ思考を巡らせてしまう。 いや、「お前は考えすぎ

      • 人口密度と生きづらさ。

        引き続きうつ病療養生活を続けている。 働いていた名古屋を離れ、地元に引っ越した。 都市部とは程遠く、高収入を喧伝する色とりどりのトラックも走っていなければ、東西南北どこを見ても山か川で、緑色と水色に画一化されたような町だ。都会に住む子供達は巨大広告に彩色された街を見て僕よりも若く、多くの色を知ったのかもしれない。 いくつかの不便さと引き換えに家族ごと確立した土地を得たこの町では、同じ土地に上下何層にも重なって住むことなど滅多にない。足音に気を使うこともなければ、上の階の掃

        • 車窓に見つけた紫陽花と朧げな井の頭線

          あと2分で西永福駅に着く京王井の頭線。この電車に揺られていると山手線や小田急線じゃ描き出せない複雑なコンテクストが電車の揺れに身を任せて脳味噌からポタリポタリ、タプンタプン、と溢れてくる。僕の大好きな映画の主人公たちはなぜみんな京王線沿いに住むのだろう。車窓に見つけた紫陽花に映画のストーリーが勝手に重なり、その鮮やかな紫色や水色に意味を付け加えていく。電車は西永福駅に着いた。 久しぶりの京王線だった。西永福駅に用があり吉祥寺から約10分ほど、電車に乗って移動していた。 あ

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        優しさ2.0

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          33本

        記事

          いい会社に入るための、いい大学に入るための、いい高校に入るための勉強

          そのために勉強を頑張ってきた。いい会社に入るためには有名な大学に入る必要があると。 そんな大学に入るためには進学校と呼ばれるような、受験に力を入れている高校に行くのがいいらしい。 それが人生のために素晴らしい選択だと信じてやまなかった。 そのためにはもちろん中学生の頃からたくさん勉強もしなければならないだろう。 僕は高校に入るときに初めて受験というものを経験したけれど、周りを見れば中学受験や、小学校、幼稚園に受験した人も大勢いる。 小学校や幼稚園に受験をすることを”お受

          いい会社に入るための、いい大学に入るための、いい高校に入るための勉強

          雨が上がり,蜘蛛の巣の中に僕がいた。

          灰色の雲が通り過ぎた頃、雨を纏った蜘蛛の巣は何か小洒落た装飾品を身につけたようで、蜘蛛の糸と糸が交差するところには水滴が光を反射していた。虫と雨が創った小さな粒なのに、空も木も、ビルも道路も、僕も他人もその中に映っていて、僕にはそれが、その水滴が僕のように見えた。 (上の画像がイメージです。) 自分の存在を疑うときは、もっとイメージ的で、宇宙的で、「水晶に映ったあなたの前世はケセランパセラン…」みたいな、そんな時かと思っていたのだけど、その瞬間は思ったよりもロジカルだった

          雨が上がり,蜘蛛の巣の中に僕がいた。

          うつ病と診断されて6ヶ月の現状

          たとえば、今すれ違ったカップルが家に帰ってから、一緒にご飯を食べて、キスをして、夜の営みをして、そうやって生活をつづける中で、自然と脳内に溢れてくるはずの神経物質を、僕はカタカナが3つか4つ、もしくは6つか7つ、幾つであれ、たまたま落ちていたのを拾って組み合わせたような名前の錠剤を毎晩飲むことで補っている。 薬は魔法みたいで、眠くなったり、足元がふらついたり、気分が良くなったり悪くなったり、いつもよりおしっこが黄色くなったり、体にいろんな変化を起こすのだけれど、半年間たくさ

          うつ病と診断されて6ヶ月の現状

          その多様性、ダウト。

          皆に一通りトランプが配られたようなので、自分の手札を確認する。 (さんかくのじゅうなな!?)心の中で静かに叫ぶが誰にも言えない。▲17という見慣れない、存在しないはずのトランプが手元に15枚もある。 それを裏返しにして、3と言ってみたり10と言ってみたり、そうやって、いつか誰かに「ダウト!」と言われまいか、ドキドキしながら生きている。 「いやぁ、最近はいつパワハラって言われるか分からないから先輩方の方が大変ですよ、厳しくしてもらってこその成長だったはずなのに、時代ってな

          その多様性、ダウト。

          増える被害者、増えない加害者。

          「○○君の事件に伴い、本校でも全生徒、全教員を対象にアンケートを実施しましたが我々の学校にいじめの存在は認められませんでした。」 遺書に学校が辛いと書いてあったのに。 被害者が存在するのに加害者は存在しない。 これじゃまるでマジックだ。 パワハラ、セクハラ、モラハラ、カスハラ、増える虐待、毒親、アダルトチルドレン、親ガチャ、入れない保育園、上司ガチャ、部下ガチャ。 SNSに被害届を提出。 「上司のパワハラが最悪。」 たくさんのいいねとコメント。 みんな上司の言動に苦し

          増える被害者、増えない加害者。

          段々とわからなくなる他人のこと

          他人の痛みにいつからか鈍感になってゆく。 自分も知っていたらしい痛みなのに、まるで人生で触れたことのない痛みのように感じられて、相手は何やら傷を見せびらかしては痛みを訴えているが、何を言っているのかさっぱりわからずまるで宇宙人との会話。 それでもなんちゃらハラスメントだとか毒親とか言われたら困るから、とりあえず「それは大変だね」と伝え、それ以降その件については触れないようにした。 僕はよくK -POPアイドルを見て全員顔が同じに見える。 少女時代が日本にやってきた時、本

          段々とわからなくなる他人のこと

          「心の傷」と「想像」

          自分だけが感じている心の痛みは誰にもわからない。 「誰か私の心の傷に気づいて」と他者を求めるのに、 「その気持ちわかるよ」とか言われると、 「わかった口聞くなよ」と他者を遠ざけてしまう。 痛みを抱えていることを知って欲しいのに、 決して私の何かを理解された気にはなってほしくない。 これはわがままなのか。 メンタルヘルスから生まれたのに、その略語のルがラに変わった途端に厄介でめんどくさいやつに変換されて、気づけばマイメロとクロミちゃんをトッピングされてしまった。 メンヘラっ

          「心の傷」と「想像」

          街並み照らすヤツらだが、情熱はある。

          大学の頃、仲のいい5人組で考えた遊びが、サークルの代表にバレて、それサークルのみんなでやろうよ!となった途端、その遊びがつまらなくなった。 好きなバンドがiTunesのランキングを駆け上がり、夏になるとオフショルとショートパンツでフェスにいくような知り合いのストーリーに「最近のイチ推し」と歌詞のスクショが載ったときから、聴かなくなってしまった。 そんな自分が情けない。本当に嫌になる。 売れてるとか売れてないとか、自分だけが知っているとかいないとか、そんな他者に惑わされるよ

          街並み照らすヤツらだが、情熱はある。

          「まえならえ教育」VS「人と比べず自分らしい生き方」

          「でもさ、それは人と比べることじゃなくない?自分がそれでいいと思えればそれでいいんだよ」 いやわかってるわ! 何度も言われたわ! お前が世界で初めて気づいた人間の真理みたいに言うな! あとお前、自分の言葉で誰かに影響を与えようとしてる時、口から太字が出てるぞ! 上の文見てみろ! な? 言葉が太線になってるぞ! てかなんなら自分の声にエコーかけて周りの照明落としてスポットライト当てながら喋ってるだろ! 使い古されて手垢でベドベドの言葉にスポットライト当てんな! 「人と比べるな

          「まえならえ教育」VS「人と比べず自分らしい生き方」

          心の20%と体の80%

          妹が就活を迎えている。 就活を経験した身として、できる限り力になりたいとは思っているが自分の経験したこと、感じたことが全てではないし、時代も変わっていると思うのでとても歯痒い。 就活中に「これは自分の人生の中で相手にとって都合がいい部分を切り取って相手にとって都合がいい人間を演じるゲームなのだ」と感じた。 「なんで?」「どうしてそう考えたの?」「いつそう思ったの?」 徹底的にWhyを問うてくる面接官に対し、自分の過去の出来事、特に幼少期の出来事などを披露し、自分の価値観

          心の20%と体の80%

          100回の舌打ち

          家から出ようと部屋の扉を開ける。 ちょうど隣の部屋に来ていたフードデリバリーの配達員がうちの扉の前を通ったらしく、扉が彼の足にぶつかったようで、「チッ」と舌打ちをされた。 エレベーターに乗って一階に降りる。 出ようとしたら乗ってくる人がいて、彼女はスマホを触っているから僕が乗っていることに気づかず、ぶつかりそうになる。目線を上げて少し驚い顔をした彼女は、すれ違いざまに「チッ」と舌打ちをした。 駅に向かって道を歩いていると、前から歩いてくる人がいた。 避けようとすると相手も

          100回の舌打ち

          言語学と優しさ2.0

          最近、言語学の論文や本を読んでいる。 まるで自分が世界で初めて発見したかのような気づきに、言語学の世界では100年も前から研究がされており、サピア=ウォーフの仮説、ないしは言語的相対性原理という名前がついていることを知ったからだ。 自分が気づいたというのは、世界というのは認知する人間の数だけ違う世界が存在しているのではないかということ。 きっかけはうつ病を患ったことだった。 その件については過去のnoteで書いている。 言語学の世界では、人の数だけではないが、使用する

          言語学と優しさ2.0