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エッセイのほう

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野蛮で図々しくてくだらないことを書いています。400字~2000字くらいでしょうか。
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#日記

『ほう』

「ほう」と感心してみましょう。 何ごとも「ほう」から始めてみましょう。「ほう」には含みが持たせてあります。一例をあげましょう。「ほう」と言いながら、その間に脳をフル回転させて見ましょう。二の句が出てこない時の時間稼ぎの「ほう」です。そのわずかな時間で失言も防げるでしょう。 また、よりよい対人関係づくりの為の一歩だと思って、毎日トーンを変えて「ほう」の練習を心掛けてみましょう。リラックスして反響する風呂場がいいのではないでしょうか。そこから、メロディーが出てきたら儲けものです。

『ま夏。八月二十八日。ノンアルで乾杯』

一応、アルコールは断っている。とりたてて、アルコールは控えるような指示も頂戴していない。と思う。ノンアルも悪くない。喉の「しゅわしゅわ」があれば十分だ。 午前一時にふと目覚めて、ノンアルでキメている。なにが、どのようにキマっているのかわからないが。キマっている。確実に、私の喉はキマっている。じめっとした空気に「しゅわしゅわ」がキマッた。その実感はある。 手と足の指先が若干しびれてきている。いままでは、このしびれの症状は化学療法センターで色々点滴した当日の終わりごろから発症

『ま夏。八月二十七日。我が町』

昨日、9階の病棟から下界の我が町に降りてきた。暑いな。 迎えに来てくれた父親の車を途中で降りた。散歩がしたかった。 そして、看板を見つけた。私はてっきり今年の夏祭りは「ない」ものと思っていた。どうやらあるらしい。九月二十八日と二十九日の二日間だ。折しも私の五十歳の誕生日と重なった。 いつから、九月末は夏になったのだ。もう、収穫祭を兼ねた秋祭りでいいではないか。米不足らしいしさ。結局、祭りには行かないのだけれど、健康志向に転向した私に、ラード、サラダ油、砂糖、ソース、たっぷり

『ま夏。八月二十六日。退院日』

五時半。爽やかな朝だ。 鎖骨に埋めた、カテーテル・ボートの傷みもない。鳥のように、ぱたぱたと九階の私の大部屋から飛び立っていった。 さあ、これからは三週間で一回のクールから、二週間で一回のクールに変わる。ただ、二週間の最初の三日間で抗がん剤治療は終わる。あとは、抗生剤を日に朝夕二錠づつ服用する。入院中に最初の三日間は終えた。体調不良はなし。每日、三食しっかり食べた。入院食は、魚も多く、シーチキンなども良くでた。初めて入院される方は、フロスを持っていったほうが無難でしょう。咳

『ま夏。八月二十五日、その二。明日、退院予定』

暇なので、もう一本文章を書こう。家にいたときも暇ではあったけれど、環境が変わると書くものが増える。「書を捨てよ、街にでよう」か。 軽く、筋トレを始めている。 ベッド内や廊下の壁際で。もも上げ腹筋。プランク。スクワットをしている。カテーテル・ポートの埋め込み場所に痛みもない。 三種類目の抗がん剤治療の副作用もない。しゃっくりは、「水分補給を多めに取ると治りますよ」と言われて、その通りにしたら、明らかに減じた。どの看護師に教えて頂いたのか忘れてしまったけれど。感謝、感謝。 看

『ま夏。八月二十五。腕点滴からおさらば』ありのままの写真を載せています。不快に思われそうな方は注意してください。

腕の点滴からは、しばらくおさらばできる。なかなか、血管が見つからなくて看護師を難渋させてきた。これで、winwinの関係を結べる。 何か、緊急事態が起こらないかぎりはこれでゆけるはずだ。もちろん、入院、手術となれば腕の点滴に戻ることもあるだろう。 気になることもある。鎖骨に埋め込まれたポートに針をさすときに、「なんだこれきつい、ふん、ふん」と、力をこめて「痛いでしょう。ごめんね」と、男の看護師が言っていたことだ。化学療法センターに男の看護師はいただろうか。この二週間で器具が

『一気読み用、ま夏入院日記。八月十五日~まとめ。随時、追記。おそらく私の気分が秋になるまでつづく』

肝臓がんの手術が延期になった事は昨日書いた。 ひょっとすると、セカンドオピニオンで幾つかの病院を受診すれば、この状態でも「手術はできる」という外科医はいるかも知れない。私も当初「それでも、手術をしてほしい」と言った。けれど、想像してみた、このまま一生退院できずに入院暮らし、そのまま終末病棟ゆきの未来が見えてしまった。 『リスクの選択』だ。どちらを選んでもリスクはある。私の希望は最後の最後まで家で過ごす事だ。そして、最後の最後までバイクで走る事だ。自分の下の世話ができなくなるま

『ま夏。八月二十四日。とつぜん二人部屋になる、と思ったら三人部屋に』

いつのまにか、私の大部屋から人数が減った。退院したり、入院患者の体調の急変でナースセンターの近くの場所を確保して移動。そんなことはよくある。因みに、私の部屋はいちばん遠い東側だ。 昨年はナースステーションの目の前の真ん中の部屋から、手術の痛みから回復するごとに遠くの部屋に移動になった。今年は、はじめからいちばん端だったので同部屋の患者たちも、予後がいいのだろうと思っていた。 一人減り、二人減り、四人部屋が二人部屋になった。なかなか愚図って、看護師と患者の部屋移動を賭けた軽

『ま夏。八月二十三日。今年は涼しい』

外気温のことではない。私が入院している棟内の室温が、昨年と比べてなぜか丁度いいのだ。私の体調もあるのだろう。なにせ、盲腸がんの昨年とは手術後の痛みが雲泥の差だ。痛みは昨年の十分の一といったところだと思う。 昨年は、術後の点滴後にホットフラッシュを食らっていた。それで、熱が出たのだ。ホットフラッシュとは簡単にいうとアレルギー反応の事で、眠剤か傷み止めの点滴と私の相性がたまたま悪かった。その結果、発熱した。今回はそれがない。けれど、手術室へ向かう前のエレベーターに乗った時に、む

『ま夏。八月二十二日。腕立て伏せ注意』

半眠り状態で手術にのぞんだからだろう。あっと言う間にカテーテル、ポート手術が終わった。埋蔵完了だ。右の鎖骨あたりに百円玉くらいの機具が埋蔵された。 ただし、胸筋を鍛えるのは出来れば控えてほしいとのことで、とくに、腕立て伏せはご法度らしい。プランク、スクワット、腹筋運動は大丈夫。 腕立て伏せの上下運動は、器具の破損に繋がる可能性があるそうだ。鎖骨あたりの、筋肉と筋肉がずれ合うような運動は控えよう。ゴルフのスイングのようなひねり運動も止めたほうが良いそうだ。農作業のクワを振り

『ま夏。八月二十日。あれから11年』

時々、頼んでもいないのに、八月二十日の十一年前の写真です。とか、グーグル先生が教えてくれる。設定を変えれば、そんなおせっかいもなくなるのだろうけれど、放置している。 私は、十一年前の、ま夏に北海道の網走湖畔にある、呼人浦でキャンプツーリングを楽しんでいたそうだ。今でも同じバイクに乗っている。タンクとサイドカバーの色が変わり、ウィンカーは大きくなった。そのほかにも消耗品を交換している。勿論、事故でも何度か交換している。 今では、テントも居住空間をもうすこし大きくとれるサイズ

『ま夏。八月十九日。入院準備中』

せっせと、八月二十一日の入院の準備を進めている。 昨年の経験から、いるものといらないものの正しい選別ができる。折しもまったく同じ季節なのだ。ま夏だ。 長ズボンはいらない。病院内は暑かった。レンタルのタオル、部屋着セットもいらない、持参してゆけばいい。ハーフパンツと七分袖のシャツがいちばん過ごしやすい。ま夏はとにかく速乾性重視でいいだろう。髪は坊主頭。靴はいらない。靴下もいらない。踵付きのサンダルでいい、入院中にも色々検査がある、金属のついた服は着替えなければならない、ファス

『ま夏。八月十八日。猫者』

おっと、日付を一日間違えている。めんどくさい続けよう 猫者のはなしだ。猫者は、ねこじゃと呼んでいただきたい。地域猫者の糞はあいかわらず絶えない。私に、猫者への恨みはない。「仲良くやろうじゃないか」と、私はいいたい。 何より、猫者には土地を買い求めたり、または、特別軍事作戦で我が土地に侵攻するような、猫者の楽園を創る野心もない。勿論、検問所から人間を他国へ追い出すつもりもない。我が家の土地は神に約束された地ではない。土地なんて、地球から借りているに過ぎない。けれど、糞は控え

『ま夏。八月十七日。カテーテル』

カテーテル埋蔵人間になるようだ。 抗がん剤は三回目になる。つまり、カテーテル埋蔵人間3号でもある。 ついでに、私は偶然にも解脱している。カテーテル埋蔵人間偶然解脱阿闍梨3号でもある。カテーテルを身体に埋蔵するなんて、サイバーパンク、SFの世界だ。とうぜん、私はバイク乗りだ。 私は、『カテーテル埋蔵人間サイバーパンク偶然解脱阿闍梨3号ライダー』になるのだ。私は元来、このようなくだらない文章を日がな一日書いていたい人間だ。 カテーテルの正確な造形もあやふや。多分、管を使うのだろ