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『ま夏。八月二十七日。我が町』

昨日、9階の病棟から下界の我が町に降りてきた。暑いな。
迎えに来てくれた父親の車を途中で降りた。散歩がしたかった。
そして、看板を見つけた。私はてっきり今年の夏祭りは「ない」ものと思っていた。どうやらあるらしい。九月二十八日と二十九日の二日間だ。折しも私の五十歳の誕生日と重なった。

いつから、九月末は夏になったのだ。もう、収穫祭を兼ねた秋祭りでいいではないか。米不足らしいしさ。結局、祭りには行かないのだけれど、健康志向に転向した私に、ラード、サラダ油、砂糖、ソース、たっぷり濃いめのテキ屋のメニューは合わない。ついでに、免疫力のおちた私に人混みも合わないだろう。

私にできることは少ない、『静養』だけだ。若しくは他者に迷惑をかけないことだけだ。右鎖骨にカテーテル・ポートを埋め込んだことにより、激しい運動は出来ない。二週間のうち三日は抗がん剤治療で、一月に一回は心療内科に通う。そして、暇つぶしに文章を書く。文章の能力はなかなか上がらない。そもそも、語彙を増やす努力をしていない。
私は『テンポ派』だから、語彙はいらないのだ。と、うそぶいている。「楽がしたいだけなの~」、スーパー・バター・ドッグを聴こうかな。

兎に角、今のところ私にできることは様子見だけなのだ。肝臓がん特有の血液検査の数値が、手術ができる上限の倍を叩き出してしまった。そんな私の不摂生がいけないのだ。何の数値だったのかわすれたけれど、この数値は0になるほど良い。手術可能な上限値が二十らしいのだが、私は二十をオーバーランして四十半ばの数値を叩き出した。これでは、肝臓が弱り過ぎらしい。弱っている自覚がそもそもないので「やっちゃえセンセイ」とも思わないでもない。

新しい、三種類目の抗がん剤の副作用は『発疹』かも知れない。その予兆が私の身体に現れはじめた。かゆみはない。ステロイドは(顔用、身体用)二種類処方された。あとは、保湿クリームだ。
まだまだ暑い季節は続くけれど、どくだみ風呂でお肌を整えよう。

春に買った3m✕3mの安物のタープが真横文字にすぱっと切れていた。私の身代わりなのか、それはまるで『ハラキリ』のように。で、また同じ安物を注文した。台風十号が抜けたら取り付けようと思う。今年は暑かった。四十度にせまる日もあった。取り付けっぱなしのタープが三千円で五ヶ月は持った。まあ、いいだろう。



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