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京都


半年間、会いたいね、会いたいね、あなたの事興味あるよ、って言ってくれていた、音楽を始めとする趣味の合う2つ上の男の子が、大学進学で京都に来たから初めて会った。

ずっとたのしみにしていた瞬間。

京都駅についたとき、会いたい気持ちや楽しみより、緊張が勝って足が震えた。すくんだ。


京都タワーが見える京都駅中央口。

くるりの伝説のライブが行われた場所。

同年代で京都駅中央口を通った時、

くるりのそのライブのことを思い出す人はこの人しかいないと思う。


インド料理屋、町中華、レコード屋、商店街など

京都の街のディープな部分を巡る予定だったデート。

だったが、まさか行き先は彼の家。

あーあ、やっぱりわたしの見た目がわるかったな。

本命にはされないんだ。

不貞腐れたわたしは呆れて彼の部屋に置いてあったBECKを読む。

彼はわたしに身体を寄せてくるりの"東京"の弾き語りをはじめる。

この世の中に存在する曲で一番こころを締め付けられるギターリフ。

ついこの前わたしも1人で練習したこの曲。

なんだかなあ。 いやなんでもないなあ。

結局、また身体を許してしまった。

わたしの恋はこうやって終わるばっかりだ。      

1度散ってしまった花びらはどんな術を用いようとも、
元の花には戻らないのと同じで、

彼の恋の花びらが散ってしまったと同時にわたしの恋の花びらは散ってしまって、

もう元には戻れなくなった。

松山ケンイチにどこか似ている彼。

彼におすすめされた、松山ケンイチが出ている映画、「人のセックスを笑うな」に出てくるこの言葉。

この言葉を心の奥深くにとじこめて、いつか会えると何度も言い聞かせたけど、

会って終わる恋もあるんだとわたしは今自分に言い聞かせている。

そして彼の連絡先を消して、

この怒涛の半年間をなんにもなかったことにした。



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