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高校生の主体性を育む方法

本校の教育方針は「社会で活躍できる、自律・自立した女性の育成」です。
過去の記事「改めて考える、自立するって何だろう」に書きましたが、自立した人の共通点は「やりたいことがある」だと思っています。

では、どうしたらやりたいことが見つかるのか。
そのキーワードの一つは「主体性」ではないでしょうか。

もともと主体性がある生徒はよいのですが、まだ主体性が発芽していない生徒に対してどう対応すればいいのかは、意外と難しい問題ですよね。

そこで今回は、高校生の主体性の育み方について考えてみたいと思います。



主体性の芽生えは早い方がいい?

遅かれ早かれ、程度の差こそあれ、基本的に大人になるまでには主体性は培われるとします。ただ、それはなるべくなら早い方がいいと考えられます。

なぜなら、それが「やりたいことを見つける」きっかけになり得るから。
やりたいことを早く見つけられれば、それだけ幸せに近づけると思うんです。

ですから、学校としては、生徒の主体性をできるだけ今のうちに育ててあげたいわけです。
さあ、どうしましょう?


主体性を損なうやり方

教員が熱心であればあるほど、手取り足取り教えこんでしまいがちです。
生徒が考える前に、道筋を示してしまう。さらに言うと、指示をしてしまう。
もっと言うと、ルールで縛って答えが一つの状態を構築してしまう。

これ、良くないですよね。
こうなると生徒は、不満を持ったり反論することはおろか、諦めて、思考停止に陥り、無抵抗になり、活力がなくなっていくでしょう。
教員側が教育熱心さを一歩間違えると、主体性を育むどころか逆方向に進めてしまい、大失敗するというわけです。

こういうとき、たいてい教員はこう言ったりします。
「生徒に自由にやらせても、怠けるだけで何もできないから意味がない」
「生徒はある程度導いてあげないと、自分たちでは計画も立てられないし実行もできない」
「むしろ生徒に強制的にやらせることから始まる教育だってある」
「生徒はまだ子どもなのだから、大人の指示に従うことで気付くことも多々ある」

―――そうなのかもしれませんね。わからなくはありません。
でもそれは、単に生徒に丸投げしているだけだからではないでしょうか?
大人の高慢さではないでしょうか?


未熟と成熟との狭間で

高校生は、まさに子どもと大人の移行期間となる年代です。
子どもと大人の両方が混じり合っているときなので、教員は生徒に「対子どもの応対」と「対大人の応対」を両刀使いする必要がある、と言えないでしょうか。
これが今回の記事のポイントです。

では、どういうときに「対子どもの応対」をして、どういうときに「対大人の応対」をすべきなのか。

私は、その答えが最近ようやく見えてきたような気がしています。


■「対大人の応対」を取るべき場面

学校生活を送っていれば、課題に直面し、それに取り組むという局面が無限にあります。
このとき、生徒に「任せること」が対大人の応対だと思うんです。

教員がヒントを出すのはアリです。「どうして?」「それから?」「ほかには?」などと発問することで、生徒の思考が行き詰まらないように展開を手伝うという意味で。

マイルストーンを設けてチェックしてあげるのも良いと思います。
そういった教員の支援が自分たちの後押しになることは、生徒も直観的に理解します。

こうすることで、主体性を育むことに直結していきます。

逆に、生徒が物事に取り組むというときに、教員が「生徒にやらせる」とか、さらには「生徒を脅してやらせる」という姿勢を取ってしまうのは、最悪のパターンです。

生徒は半分大人です。生徒が前に進もうとしているときが大人になりつつあるときなので、そのときこそ大人扱いするべきです。


■「対子どもの応対」を取るべき場面

一方、生徒が活動をして失敗したときに「許すこと」が対子どもの応対だと思います。

失敗にもいろいろありますが、それが初歩的な失敗だったときほど、教員は叱りたくなります。
例えば、遅刻したとき、期限を守らなかったとき、やり終えていなかったとき、単純に忘れたとき、サボったとき、等々。
あぁ、なんて子どもなんでしょう・・・

ですが、このとき叱らない。
その代わり、なぜその失敗をしてしまったのか原因を一緒に考える。どうしたら次に繰り返さないかを一緒に考える。そして、次は正すことを約束する。
大目に見ることが大切だという気がしています。

こうすることで、主体性を損なわないようにするわけです。

逆に、生徒が失敗したときに、変に生徒を大人扱いして責任を問うように叱ってしまうと、場面と応対のミスマッチが起き、こじれてしまうでしょう。
「先生に言われたくない」「仕方ない理由があった」「いつもはできるのに」「じゃぁあの人はいいのか」「そもそも先生の言っていることはおかしくないか」などと、ふて腐れたり反発するだけの知恵を高校生はいくらでも持ち合わせています。
それで教員が感情的になってしまったりすると、もう最悪です。

生徒は半分子どもです。生徒が失敗してしまったときが子どものときなので、そのときこそ子ども扱いしてあげるべきです。


大人扱いと子ども扱いの使い分け

まとめましょう。

・生徒が物事に取り組むときは、大人になるときなので、大人扱いする
 ポイントは「任せる」(=手出ししない)
・生徒が失敗したときは、子どもの面が表れたときなので、子ども扱いする
 ポイントは「許す」(=叱らない)

ところで、生徒が成功したときは、どっち扱いすればいいんでしょうか。

成功したときは、大人も子どももありません!
褒められれば嬉しいのは大人も子どもも同じですので、思いっきり褒めることだと思います!


ということで、今回は高校生の主体性を育む方法について整理してみました。
これは親子間でも同じかもしれません。いかがですか。下手をすると、真逆になっていたりしないでしょうか。

実際にはいろいろなケースがあるでしょうけど、考え方をこんな風に整理しておくだけでも、役に立つんじゃないかと思います!

(H Sakamoto)

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